菌糸、シナプス、脳だらけ
戦争では規定人数まで足りずドゥリーヨダナwith百王子がカリ化したものの暴走したので致し方なく妖精國形式で埋め立てて土地を広げてヨシ!した感じのインド特異点での一幕
グロ肉的な表現があるので人を選ぶ。
ビーマ視点。
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ぐち、と攻撃を受けたそれが歪んでいく。
ドゥリーヨダナの姿をした怪物がぐちゃぐちゃと肉塊になって頽れていく。
「本物のドゥリーヨダナはどこだ」
こんなものがアイツと同じものであるはずがない。
そうであってはいけない。
だってアイツは人間だ。
悪辣で強欲でどうしようもない奴で悪鬼羅刹にすら気に入られてこそいたが、それでもアイツは人間だった。
ドロドロと、解けていく。
こんなものと同質であっていいはずがない。
だから聞いた、偽物のそれに。
あの男の姿を模しているんだ、アイツが今どうなっているのかだって知っているはずだと。
ははは。
びちゃり、びちゃりと腐り落ちた肉を滴らせそれが笑う。
ああ、やっぱり全く似ていない。
アイツはこんな風に笑う人間ではなかった。
諦観とこちらに向けられたものでは無い嘲笑。
こんなにも似合わぬ笑顔があるか。
アイツはもっと、自らを一遍も疑いやしないような傲慢と自信と悪辣と、そうして笑い怒り泣く男だ。
「なんだ、気づいていなかったのか」
「……なんだと」
「本物の“わし様“はお前がずっと踏んでおるでは無いか!」
びちゃり。
それが溶けきった。
……踏んでいる?
どういう意味だ、と考えて、ふとマスターから教えてもらった異聞帯のことを思い出す。
……まさか。
「ビーマ!?」
マスターの声を無視し、地面を掘る。
道具をとってくる時間すら惜しい。
掘って、掘り進めて、柔いなにかに指先が触れた。
土を取り除く。
「ッ……!」
肉があった。
蠢く巨大な肉が、そこに埋まっていた。
掘っていないところまで、覆うように広がる肉がそこにあった。
紫色の、カリと同じ、あるいはさっき溶けて消えたアレと同じ色の。
どくんと脈打つ肉がそこにあった。
人とカリとが混ざりあったおぞましいそれがそこにあった。
腫瘍のような肉塊がそこにあった。
「そういうことかよ……!」
その肉の中心。
カリの肉に覆われてなお残っていたそれ。
紫色のよく知る眼球がクルリと周りを見渡して、そしてキロリ、と、目が合った。