花も折らず、実も取らず。
「ごめん。……ごめ、ん。」
もう堪えきれなくて、これ以上何も聞きたくなくて首を絞めた。
強く強く、絞めた。
何がレイプだ。これは俺の意思だ。俺がヤると言ったんだ。
俺が決めた事だ。
中途半端に飴なんて与えないでほしい。
中途半端に優しさなんて見せないでほしい。
中途半端に心配なんてしないでほしい。
何もわかって無いくせに、何も!何も!!!何も!!!
世一に一方的に奪われたようだなんて思ってた。そんなハズはないのに。
俺の行動が遅かっただけなのに。サッカーならここからいくらでも持ち直す理論を思いつくのに。
ダメだ、俺はここから進めない。進めないんだ。
この泥沼の情の中でもがくことしかできないんだ。
例えるなら、蜘蛛の巣に絡み取られた哀れな虫ケラのように。
例えるなら、もがいては逃げ出そうとするほど絡め取られていく哀れなムシケラのように。
ああなんでコイツなんだろう。
ああなんで俺なんだろう。
なんでコイツのことなんて好きになってしまったんだろう。
ロレンツォの首を締め付けているのは俺のハズなのに、呼吸が上手くできないのは、胸が苦しいのは、目の前が霞んでいるのは。
誰のせいなんだろう?
まあ、そんなものを今更考えても後戻りできないのだけれど。