花の降る日
ユッダが出てくるイベントのお話
これにて終幕
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ユッダ
「……私に一つ策がある」
「策?」
「どんな?」
ユッダ
「ドゥフシャラーを人間に戻す策」
アシュヴァッターマン
「戻せるのか!?」
ユッダ
「一か八かだけどやってみる価値はある。ただ時間かかるからジャヤドラタの足止めをしてくれないか?」
ビーマ
「……ドゥフシャラーが人間に戻ったらアイツも止まるかもな。どうするマスター」
「ドゥフシャラーが人間に戻るなら嬉しいけど……」
「どうやるの?」
ユッダ
「そりゃあ企業秘密だ」
ビーマ
「はあ?」
ユッダ
「さっさと話せって感じの圧かけんな。まあ悪いようにはならねえよ」
アシュヴァッターマン
「……信じていいんだな」
ユッダ
「ああ」
「分かった」
「こっちは任せて」
ユッダ
「おう。任せたぜ」
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カリの間を縫うように進む。
カリ(同胞)たちはこちらをチラリと見るが直ぐに目を逸らしてどこかに去っていく。
「うーん、そろそろだと思うんだが……ああ居たな」
花畑の中に機構と化してしまったドゥフシャラーが居た。
元は白かったのであろう真っ赤に染まった服を着て、異形の足に咲いた紫色の花からカリを生み出している。
顔はかつてのドゥフシャラーそのままだったがずっと涙をこぼしていた。
「ごめんなあドゥフシャラー。私が仕事を成せなかったせいでこんな事になってしまった」
ユッダは手を伸ばしてドゥフシャラーの涙を拭う。
「お前にその仕事は向いてねえよ。だから、返してもらうな」
そう言ったユッダはドゥフシャラーの機構としての権限を奪い取った。
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「カリが消えていく……」
ビーマ
「アイツ、やったのか?」
ジャヤドラタ
「どうしてカリが……ドゥフシャラー!」
ジャヤドラタが森へと向かう。
アシュヴァッターマン
「ドゥフシャラーの元に行くつもりか」
「俺たちも行こう」
「ドゥフシャラーとユッダの元へ」
アシュヴァッターマン
「分かった」
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ジャヤドラタとマスターたち向かった先には花畑の中に眠る人間の姿をしたドゥフシャラーと一体の巨大な異形のカリがいた。
ジャヤドラタはドゥフシャラーの元に駆け寄って抱き起こす。
ジャヤドラタ
「ドゥフシャラー!」
ドゥフシャラーはゆっくりと目を開けて、ジャヤドラタとカリを見た。
ドゥフシャラー
「ジャヤドラタと……ユッダお兄ちゃん?」
ユッダ
「……凄いな、分かるのか」
ジャヤドラタ
「ドゥフシャラー……ごめんなさい。俺が聖杯を手にしたせいで、お前は」
ドゥフシャラー
「良かった」
ジャヤドラタ
「え?」
ドゥフシャラー
「ジャヤドラタとユッダお兄ちゃんが、生きていて良かった」
「ひとりぼっちになっちゃったかと思ったの」
「でも一人じゃないのね」
ジャヤドラタ
「……ああ、そうだよ。一緒に行こうドゥフシャラー」
ユッダ
「……おやすみドゥフシャラー、ジャヤドラタ」
一陣の風が吹く。
散った花びらがまるで祝福するかのように3人に降り注いだ。
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眠ったジャヤドラタの手からユッダが聖杯を取ってマスターに投げ渡した。
ユッダ
「ほら持っていけ」
「……うん」
「ユッダはどうするの?」
ユッダ
「無理やり機構を移行させたからかな、なんか変な負荷がかかってそろそろ私も限界だ。特異点が終わるまでは一人が嫌いな妹とバカな義弟と一緒にいるよ」
「……分かった」
アシュヴァッターマン
「……悪いようにはならないって言ったよな」
ユッダ
「あー……すまん」
アシュヴァッターマン
「謝るな腹が立つ。……2人が寝ていることだし、ここではとやかく言わねえよ。またいつか会った時に怒るからな」
ユッダ
「そうか。……その時はお手柔らかに頼むぜ」
「じゃあなアシュヴァッターマンとカルデアのマスターとついでに風神の子」
「短い間だったがお前たちとの仕事は楽しかったよ」
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マシュ
「お帰りなさい先輩」
ユッダ
「よ、ようお帰り……」
「ただいまマシュ……!?」
「えっユッダ!?」
ビーマ
「なんでお前が!?」
ユッダ
「いや、その。特異点が消えたすぐ後に『カルデアのマスターのことが気に入ってるなら力になってあげなさい』と大地の女神サマに言われて、ここに送り込まれまして……」
「そうなんだ……」
「大地の女神様に振り回されてるなあ」
アシュヴァッターマン
「なるほどな。ところでさっきの会話はもちろん覚えているよな?」
ユッダ
「はい……」
アシュヴァッターマン
「そうか。とりあえずカルデアを俺が案内するぜ。最初はシュミレーターでいいな?」
ユッダ
「うわーなんか嫌な予感がする。具体的に言うとなんかフルボッコにされる気がする。お手柔らかにお願いします……」
「ほどほどにねアシュヴァッターマン」
「頑張ってねユッダ」
アシュヴァッターマン
「おう。ほら行くぞユッダ」
ユッダ
「はーい……」
「行ったね」
「新しい人も来たことだし、歓迎会しようか!」
マシュ
「分かりました。準備しますね!」
ビーマ
「……俺も何か料理でも作るとするか」
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ユッダ
曇っていた人その1。
自分がちゃんと仕事を果たしていたらこんな悲劇は起こらなかったのにと思っている。
ドゥフシャラーが機構から人間に戻ったら死ぬことは分かっていたが、妹と義弟のために人間に戻した。
実は巨大なカリの姿の方が本来の姿。生前にビーマに角を一本へし折られてるため、サーヴァントになっても角が一つ途中で折れている。
特異点が消えたらもうサーヴァントとして活動することは無いだろうなと思って友人とそのマスターとついでにビーマにちょっとデレたすぐ後にカルデアにぶち込まれて真顔になった。
ジャヤドラタ
曇っていた人その2。
死にかけていたところに聖杯を見つけて思わず妻と生きて再会したいと願ったらバタフライエフェクトで大惨事になった可哀想な人。
妻が機構になり、義兄が軒並み死に、アシュヴァッターマンが自分を庇って妻に殺されてメンタルがボロボロだった。
多分この後ガチャされてカルデアに来る。
そして魔性ドゥフシャラーを見て真顔になるがなんやかんやでイチャイチャする。
ジャヤドラタ「妻が可愛くて生きているのが楽しい」
ユッダ「良かったな」
ドゥフシャラー
曇っていた人その3。
兄たちが死んで、夫も死んで(誤報)曇っていたところを機構化してしまった可哀想な人。
悪夢を過ごしていたらユッダお兄ちゃんが起こしてくれて、夫が迎えに来てくれた。
アシュヴァッターマン
曇っていた人その4。
平行世界の自分のやった事が一因で大惨事になっていてメンタル削れた人。
カルデアでユッダと模擬戦した後に歓迎会の会場へドナドナした。
花畑の中で眠った2人とユッダを見て花へのトラウマが増えた。
ビーマ
曇っていた人その5。
正直ユッダに対してはどう対応したらいいのか迷っていたが少し折り合いがついたようだ。
食堂でユッダが美味しそうにご飯を食べるのでなんとなくサービスしている。
花畑の中で眠った2人とユッダを見て花へのトラウマが増えた。
マスター
曇っていた人その6。
最近インドの特異点と聞くと身構えるようになってしまった可哀想な人。
今回の悲劇にも胸を痛めていたがユッダが来てくれたのは嬉しい。
この後めちゃくちゃ歓迎会をした。
大地の女神
曇ってない神。
お気に入りの部下の後悔を晴らしてあげようと善意で特異点にぶち込んだ。
そしてカルデアにもぶち込んだ。