自分語り
…お疲れ様です。今日も書類作成が多いですね。最近の高専生はどうなっているんでしょうか…
…気晴らしに私について教えて欲しい?……息抜きに少しだけ話しましょうか。
幼い時の記憶は今でも鮮明に覚えている
物心ついた時から、他人には見えないものが見えた。
「ソレ」を指さしても誰にも見えなかった。
小学生になると両親には心配され、精神病を疑われた。
だけど私になんら異常は無かった。
当然だと今なら言えるが、当時の呪術について何も知らない私には恐怖でしかなかった。
それは私の周りの人も同じだった。
小学校でも、中学校でも、友人に露骨に避けられ、教師に怒鳴られた。
そして中学2年生の時、遂に両親は私を自室に閉じ込めた。
この時に「術式」が使えるようになった。
引き延ばされ、無限にも思える複数の思考をし続けた。
どうして、何で皆には見えないの?
どうして、私しか見えないの?
どうして、私を指さして怯え、笑うの?
どうして…誰も助けてくれないの…?
どうして…誰も信じてくれないの
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして…。
時が経って、中学三年生の三学期辺りのある日のことだ。
その日、食事の時間以外で初めて部屋の扉が開いた。
廊下には見知らぬ人が立っていた。
目の前の人は言った。
「大丈夫、君はおかしくなんてないよ」
…これだけですよ、この言葉だけで私は僅かに無くしかけていた「感情」という物を思い出せたんです。
その後はそのまま高専に通って…卒業して補助監督になりました。
あの日の事だけは生涯忘れられないでしょうね。
………無駄話が過ぎましたね、仕事に戻りましょうか。