自信過剰ダメ絶対!!

自信過剰ダメ絶対!!



「珍しいじゃないか。体調不良でぶっ倒れるのはいつも僕の方なのに」

「……………」

ぐったりと横たわる晴信に常の覇気はない。

高い湿度が体力を奪う今回のレイシフト先。いつも通りに駆け回り、宝具を何度も発動し、帰還直後に倒れてしまった―――という訳だ。

細々とした処置をした医神は『熱中症だな。何か異常が起きたらすぐに僕かサンソンかフローレンスを呼べ』と言い残し、医務室という名の戦場へと戻っていった。素人である僕に見張りを任せるのだからそう重症ではないのだろう。

見た目だけなら随分と病人だが。

「みず、……………」

「はいどうぞ。零さないよう気を付けて飲めよ」

「……ん」

差し出したペットボトルはあっという間に空になった。

いつにも増して顔色が悪い。口調はどこか不明瞭で、ほんの少しの会話さえ体力を消耗する様子。

「もっと」

「………ちょっと待ってろ、しっかり冷えた奴持ってくる」

「………………」

上着の裾が無言でぎゅうぎゅうと引っ張られ、思わずため息をつきそうになった。

言葉は無くとも目は口程に物を言う。

『いかないで』『近くにいて』

まるで初めての留守番に臨む子供だ。

「離してくれないとおかわりが来ないぞ?」

「……………」

渋々仕方なく、といった様子で裾が解放される。

『早く戻ってきてね』

無言の要求を背に受けつつ、ベッドを取り囲むカーテンから抜け出した。


─────何だこの晴信はヤケに可愛いな、なんて口に出したら怒られるだろうな。絶対に。


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