腰ヘコし出すカク

腰ヘコし出すカク




 下着の中でぬちゃぬちゃと粘っこく張り付く不快感と緩い肛虐の僅かな快感に唇を引き攣らせていると、お喋りな女神像がまた何か話し出す。

『付けて終わりじゃないよ♡お腹をよく見て♡』

 見れば彼の下腹部にはモニターらしきものが現れ、そこにはカクから見える位置にこういった文面が写し出されていた。

【外し方:ガニ股腰ヘコ:あと[62]回】

「腰、ヘコ……?」

 聞いたことはないが決して良いものだとも思えぬ単語が目に入り、頭の上にクエスチョンマークが浮かぶカクを前に、女神像が懇切丁寧にその行為を教える。

『外したいならね♡脚を一杯広げて腰を前後にへこへこ♡振らなきゃいけないんだよ♡それがこの貞操帯の外し方♡62回やらなきゃ一生このままだよ♡』

 想像してそのあまりの無様な格好に頭の中が真っ白になる。それをこの像の目の前でやらなければいけないのだ。一人きりでも憚られるようなそんな間抜けな動きを、黙って見ている訳もないこの女人像の前で。拒否したところでこの女神が帰してくれる筈もなく、人の体液のような温かさで濡れて張り付く貞操帯を着けたままでいるのも無論嫌に決まっている。

『ほら♡早くやってみて♡腰振るだけだよ♡簡単でしょ♡手は頭の後ろに置こうね♡』

「分かった……分かったわ」

 言われたのならばやらなければならない。命令なのだから。恥ずかしくてもそうしなければならないのだ。貞操帯を取る為にも仕方ない。力なく腕を後頭部に回し、その場で脚をゆっくりと開いて腰を落とす。姿勢の為か自然と尻に力が入り、栓として入ったスライムをきゅっと締め付けてしまって、体がビクリと震えた。

『お尻に入ってるの気持ち良くなっちゃう?♡気持ちよくならない為の貞操帯なのにね♡貞操帯着けて気持ちよくなっちゃうの、恥ずかしくないの?♡』

 その一瞬の痙攣も像は見逃さず、目敏く責め立ててカクを煽る。

「……すま……ん」

『いいよ♡許してあげる♡気持ちいいの許してあげるから、無様にガニ股腰ヘコダンスして♡へこへこなっさけないポーズで腰振って♡』

 女神像の声に合わせて、カクの腰が目の前の白い体に伸びるように弾かれる。弦を引っ張るように腰が引けて、張った糸を離したようにまた前方に弾かれる。自分がどれだけ馬鹿みたいなことをしているのか、分かっていても止められない。止めることを許されていないのだから仕方がない。

(あぁ……なんじゃろこの感覚……)

 熱はもう全身に溶けて回って、カクの体も心も蝕み、最早まともな思考など難しくなってしまった。その暗闇のような頭の中でほんの少しだけ火を灯す、単純に恥ずかしいというだけではない感覚、感情。腰を振る度に下腹の奥が妙に疼き、スライムの巻きついた恥部が締め付けられて淡く痛みを覚える。

 鍛えられているといえど、腰を落として前後に振るという慣れない動きはそれなりに体力を使うもので、知らず知らず犬のように息を荒くしてしまう。

「ふぅっ、ふっ、ふんっ、はっ」

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