聞きたい言葉は
「ローさんその口癖直してください」
ペンギンに包帯を巻き直されている別世界のローは何も言い返せずにいた
それは遡る事、と言う程前ではなくほんの数十秒前の事
「いつも悪い」
とローが言った瞬間、包帯を巻き直しているペンギンは口のへの字にして不服の表情を浮かべる
そうして先程の言葉をローにぶつけた
散々虐げられ、傷つけられたローは何をしても何をされてもまず真っ先に口を突いて出てくるのは謝罪の言葉になる癖がついてしまっていた
ローもそれは自覚していたが染み付いた癖は中々抜けない
「あ、いや悪い……」
「ローさん?」
「この場合は謝罪で良いと思うんだが……」
視線を下に落としてペンギンから目を逸らすロー
そんなローを見てペンギンは小さく息を吐く
「俺達全員、ローさんに対して迷惑だなんて思ってません。治療だ何だも俺達が『やりたくてやってる』事なんです。それに対して謝られるのは、正直気分が良くないです」
「それは、その……すまない……」
俯いたまま謝るローの額をペンギンは指先で軽く小突いた
「ローさん」
「あ……」
ローは少しの間黙ってから包帯の巻き直しを再開したペンギンを見て、一度深呼吸をしてから口を開いた
「いつもありがとう」
「いえ、どういたしまして!」
ペンギンが笑うとローも小さく笑った