聖なる夜の衣装と変態さんたち

聖なる夜の衣装と変態さんたち


生徒会室を訪れた私にクラークが相談を持ち掛けてきた。

その顔にははっきりと「私困っています」と書かれていた。

 

「どうしたの、クラークちゃん」

「ガールちゃん、これなんですけど」

 

彼女がロッカーから二つの紙袋を持ち出してきた。

口はガムテープで厳重に閉じられていて、それぞれクラーク用・ガール用と書かれた張り紙があった。

見覚えのある筆跡だ。

具体的にいうと毎日のように私が会う人とクラークの良く知った人の筆跡である。

思わず溜息を吐いてしまう。

あの人達は何をしているのだろうか。ひょっとして暇なんだろうか。

私のじゃないし開けちゃったらまずいよね、でもこれ私用ってなってるし——とクラークが呟く。

 

「開けちゃいなよ。多分、しょうもないものだと思うよ」

「えっ、でもこれ誰の物なのかも分からないですし」

 

いいのいいの——と言って、狼狽えるクラークを後目に鋏で袋の口を切り開けた。

その様子を見ていたクラークは本当にいいのかなぁ——と呟きつつこちらを覗き込んできた。どうやら好奇心には勝てなかったようだ。

二人で中身を覗き込むとそこにあったのは、赤い布の塊だった。

なんだろうと思い取り出してみると、正体が分かった。

サンタの衣装だ。

それも普通のサンタコスではない。

所謂ミニスカサンタというやつで上と下に分かれたセパレート式で、足元は赤いブーツと白いファーのついた赤いサイハイソックス、紅いショーツとカップ付きキャミソールまで入っていた。

上は胸下までしかないノースリーブで、もし着たとしたらこの寒い時期だというのに肩とお腹が丸出しになること間違いなしだ。

下は膝上何センチだとか考えるのも馬鹿らしくなる程のミニスカ。スカートの役目を果たすことはないだろうことは明らかで、少し動いたらショーツが丸見えになる。ひょっとしたら動かなくても見えてしまうかもしれない。

ブーツは足囲まで含めて私の足のサイズぴったりだった。

きっとショーツとキャミソールも私のサイズぴったりなのだろう。

正直言って、かなり気味が悪い。

 

「えっ、何ですかこれ。ひょっとして私の方も——」

 

そういってクラークは丁寧に紙袋を開けていく。

案の定というべきか、クラークの紙袋にも私と同じ物の一式が入っていた。

クラークは入っていたショーツを摘まんで広げると、絶句してわなわなと震えはじめた。

その目には薄らと涙が浮かんでいる。

それはそうだ。

こんなものが自分宛てに置いてあるなんて、怖いもの。

よく見るとクラークが摘まんでいるショーツは、私の袋に入っていたものより二回りほど小さいサイズのようだ。

あの人、なんでクラークのサイズまで知ってるんだろう。

ひょっとして浮気?

いや、もう一人のほうの仕業か。

そんなことを考え始めた時、大きな音を立てて入口の扉が開いた。

そこにいたのは黒と白の改造学ランの男二人組。

普段は顔を合わせれば喧嘩ばかりしている二人がなぜ揃ってここに来たのだろうか。

 

「なんだ、もう開けてたのかなら話は早いな」

「うむ、少し早いがそれは私達からのクリスマスプレゼントだ」

 

私は大きく溜息を吐いて——。

雷を落とした。

私の激高ぶりを見た二人組——ガガガマジシャン先輩とガガガカイザーさんはその場で土下座。

何故このような行為に及んだのかを語り始めた。

話を纏めると——来年には自分達はこの学園にはいない。愛しい恋人を残していくのは仕方がないが、せっかくだからこの時期にしかできない思い出を作りたい。そこで二人揃ってアイディアを出し合った。初めのうちはクリスマスパーティなど普通の内容だったのだが、いつの間にか暴走。自分の彼女がどれだけ可愛いかの舌戦になり、じゃあどっちがより可愛いか勝負しようということになった。お題はこの季節ならクリスマス。つまりサンタだ。それならいっそミニスカサンタにしてしまえ。おお、それはいい考えだ、と二人揃って意気投合——というのが彼らの口から語られたあらましである。

当然、私は激怒した。

自分の彼女を見せ物にしようとするんじゃない、と。

何かを頼むなら筋を通せ、と。

恋人だからといって相談もなく何してもいいというわけではない、と。

クラークは今の話を聞いて、私の後ろで震えている。

可哀想に怖かったのだろう。

 

「とにかく着ませんからね! まったくこれだから男の人って」

 

先輩とカイザーさんを部屋から追い出して、勢いよく扉を閉めた。

机に広げられた衣装を見て、再び溜息を吐く。

どうしよう、これ。

とりあえず、先輩からのプレゼントには違いないので持って帰ることにしよう。

着るかどうかは——また後で考えればいい。

 

 

 

「それで、先輩。あの衣装、本当に着てほしかったんですか?」

 

あれから数日後。

私は自室で先輩と一緒にいた。

椅子の背もたれを脚で挟み込みながら訊ねると、ベッドに寝ころんでいた先輩が跳ね起きた。

 

「そりゃあもう、当然」

 

その顔は期待に満ち溢れていた。

じとっと見つめると、先輩は少しだけしゅんとしてしまった。

そんなに私にあれを着させたいのか。

女の子にあんな衣装を着せたいとは、なんて悪い人なんだろう。

私でなければ愛想を尽かしてもおかしくないというのに。

まあ、他の人がいるならともかく先輩の前だけなら。

そこが妥協点だろうか。

 

「まったく、しょうがないですね。少し待っててください」

 

件の衣装が詰め込まれている紙袋を手に取って、部屋を後にする。

脱衣所で衣装を広げると、少しだけ後悔が沸き上がってきた。

真っ赤なショーツはどこで調べたのかサイズがぴったりだった。

布面積が少ないので、前は辛うじて隠れているが後ろは殆ど丸出しだ。

上も谷間こそ見えないものの腋は惜しげもなく披露されている。

腋もアンダーヘアも、処理していなければ目も当てられないことになっていたかもしれない

毎日手入れしていてよかった。

そんなことを考えてしまう。

スカートは案の定丈が短すぎて、ショーツ——というよりもお尻が丸見えである。

最後にハイサイソックスを履いて完成である。

ブーツは家の中なのでやめておく。

しかし、意外と暖かい。

上半身は兎も角、下半身は太腿で厚手の靴下に覆われているので室内なら風邪をひくことはないだろう。

歩く足の動きに合わせてスカートが捲れあがる。

誰が見ているわけでもないのにかなり恥ずかしいが、先輩のためだと自分に言い聞かす。

 

「入りますよ、先輩」

 

ノックをして入室する。

先輩は私を見ると放心したかのように固まった。

揶揄い半分でくるりと一回転する。

ふわりとスカートが舞い上がった。

辛うじて隠れていた部分も丸見えだっただろう。

 

「どうですか先輩。似合ってます?」

「ああ、凄い似合ってるよ」

 

そう言った先輩の顔は歓喜に満ち溢れていた。

近くにあった姿見に目を遣ると、そこには季節に似合わず露出過多な自分が映っていた。

どう控えめに見てもこれは——痴女である。

男性からすればひどく煽情的に見えるだろう。

その証拠に先輩の股間は元気にテントを張っているようだ。

やっぱりエッチなプレゼントを期待してるじゃないですか——。

そんな言葉を呑み込む。

まったく。

こんな露出どころか裸もしょっちゅう見てる癖に。

すぐにエッチなことをしたがるのはこの人の悪いところだ。

そんなところも好きなのだけれど。

そんなことを考えていると、ちょっとくらいやり返してみたいという気持ちが沸き上がってきた。

エッチの時だっていつも私がされるがままなのだ。

少しくらい反撃したっていいだろう。

先輩の横に座って、しな垂れかかる。

手を盛り上がった股間の上に置くと、先輩が期待するような眼差しで見つめてきた。

ジッパーを下げて、苦しそうにしていたものを解放する。

まるで発条仕掛けのように勢いよく跳ね出てきた肉棒は、亀頭から流れる体液で濡れていた。

むわりとした雄の匂いが広がって、お腹の奥が疼く。

 

「まったく、先輩は悪い人ですね。自分がこんなになっちゃうようなものを、他の男の前に晒すつもりだったんですか?」

 

肉棒を擦りながら耳元で囁くと先輩の身体がびくりと反応する。

 

「先輩は私にこんな格好させて、何してほしいんですか?」

「それは——」

「言わなきゃ、わからないですよ?」

 

耳を甘噛みすると、亀頭から粘液が溢れてきた。

 

「こんなかわいいサンタからプレゼントを貰いたいなって」

「ふぅん? ただのプレゼントでいいんですかぁ?」

 

もう少し、引き出したくて意地悪する。

すると先輩は私の頭を撫でて、笑った。

撫でる手の動きが気持ちよくて、つい頭を差し出してしまう。

 

「かわいいサンタから、エッチなプレゼントがほしいな」

「もう、しょうがないですね」

 

そこまで言ってくれれば十分。

肉棒を掴んでゆっくりと上下に手を動かす。

溢れ出ている先走り液を潤滑油代わりにして、カリのあたりを重点的に擦り上げる。

頭を撫でていた手が離れた。

それと同時に唇を塞がれて、口の中に舌が侵入してきた。

先輩の舌が私の舌を絡めるように動いていく。

目を閉じてキスの感触に集中しようとすると、手が服の下に潜り込んできて胸を弄り始めた。

硬くなった乳首を摘ままれて、鋭い刺激に襲われた身体が反応する。

苦しくなって唇を離すと、先輩との間に唾液が光る橋のように繋がった。

それがぷつんと切れると、ようやく息ができるようになった。

仕返しに少し激しく肉棒を扱くと、先輩の腰が跳ねる。

その拍子に胸を揉んでいた手が離れた。

 

「よくも、好き勝手してくれましたね? お返しです」

 

先走り液が泡立ってぐちゅぐちゅという音を立てている。

笠の裏を指で撫でると肉棒がびくりと反応した。

亀頭ばかり攻めるのもと思い竿を握ると、手の平に浮き出た血管の感触が伝わってきた。

どくどくと拍動していて、熱い。

少し乱暴に竿を扱くとあっという間に限界がきたらしく、肉棒が少し膨らんだ。

尿道を強く抑えて、昇ってくる精液を無理矢理押し止める。

突然の行動に困惑したのか先輩は私の顔を見つめてきた。

口には出さないが、続きをしてほしいと目が語っている。

先輩の頬に軽くキスをして、ベッドにうつ伏せに倒れ込む。

お尻を先輩の方に向けて高く上げて、ショーツを膝まで下ろす。

ショーツは薄らと濡れていて、自分で思っていたより興奮していたみたいだ。

秘所を指で開いて奥まで見せつける。

溢れている愛液で水音がした。

 

「彼女が大好きな先輩に、クリスマスにはまだ早いですけどサンタさんからのエッチなプレゼントですよ。」

 

私に圧し掛かってきた先輩は、勢いよく膣内に肉棒を捻じ込んできた。

 

「ひっ♡ やあああああッ♡」

 

力強く最奥を叩かれて絶頂に達してしまった。

全身の痙攣を先輩全身で押さえつけられて、また気持ちよくなってしまう。

お尻も挙げていられず完全に寝そべる体勢になってしまったが、関係ないとばかりに肉棒が私を蹂躙していく。

 

「ひゃっ♡ らめっ♡ もうイってる♡ イってるのぉ♡」

「ガールの膣内、いつもよりキツイぞ。こういうの好きなのか」

「ちがっ! すきとかじゃなくてぇ! 先輩がくれた服だからぁ♡」

 

なんとか言葉を絞り出すと同時に、肉棒が膨らんで火傷しそうな程の熱さをした奔流が膣に溢れ出した。

一番奥の子宮をぐりぐりと亀頭がこじ開けようとしてくる。

 

「ひゃぁぁぁぁん♡」

 

先輩の身体の下で身動ぎすらとれないまま、再び絶頂に達した。

しばらく目の奥がチカチカするような感覚に酔っていたが、突然の浮遊感で現実に引き戻される。

 

「えっ? なに、なんなの? せんぱい?」

「俺が送った服だからこういうことしてくれたんだろ? せっかくこんなにかわいいんだし、ガールにも愉しんでもらいたいから——こうしてだなっと」

 

姿見が目の前にあった。

それには後ろから先輩に抱き抱えられている私が映っていた。

右の足首にショーツが引っかかっている。

両太腿を手で支えられて、繋がっている。

 

「やっ♡ はずかしいよぉ♡」

「駄目だろ。ちゃんと見なきゃ」

 

思わず両手で顔を覆ってしまうが、許してくれなかった。

耳を甘噛みされた快感で両腕がだらりとぶら下がってしまう。

先輩は私の身体を軽々と上下させている。

肉棒を咥え込んでいる秘所は上下運動に合わせて潮を噴き出している。

抜けそうになると、膣肉がいかないでと言うように肉棒に吸い付いている。

見ているだけで恥ずかしいし、淫靡だ。

だけど、目が離せない。

 

「今日のガールいつもよりかわいいし、エッチだな。ほら見てみな」

 

姿見に映っている私の顔は快楽に蕩け切っていた。

赤く上気した頬。

だらしなく開いた口の端からは唾液が流れている。

一番奥に亀頭が辿り着く度に口が大きく開かれて嬌声が響く。

 

「ひっ♡ あっ♡ せんぱい♡ はげしっ♡ もっと♡ もっとはげしくぅ♡」

「わかった。ガール、手をついて」

「うん♡ わかったぁ♡」

 

言われた通りに壁に手を突くと、激しいピストンが始まった。

先輩の、本気のピストン。

私をぐちゃぐちゃにするためだけの腰の動きに、頭の中がどんどん白く塗りつぶされていく。

 

「ひぐ♡ うぐ♡ らめらめらめぇ♡ ひぇんぱぁいっ♡ ぱんぱんはげしくて♡ わらひこわれちゃう♡」

「壊れろ! 俺だけのガールになれ!」

「なる♡ なりまひゅぅ♡ ひぇんぱいだけのものになるぅ♡」

 

身体を壁に押し付けられる。

子宮を乱暴にノックされ続けて、もう限界。

 

「イくっ♡ イってるのぉ♡ らめらめらめらめぇ♡ もっとイくぅぅぅぅぅっっっっ♡♡♡」

 

濁流のような快感に飲み込まれて、そこで意識が途切れた。

 

目が覚めると、先輩の顔が視界一杯に広がった。

頭の後ろの少し硬い感触で膝枕をされているのだとわかる。

頭を優しく撫でられていて、これが気持ちよくて安心できる。

どうやら身体を拭いてくれていたらしく、汗や体液のあれこれでべとべとということはないようだ。

私が目覚めたのに気がついたのか、撫でる手が動きを止めた。

 

「起きたのか」

「はい。先輩、ずっとこうしてくれてたんですか? ありがとうございます」

 

先輩はむず痒そうな表情をした。

寝返りをうつと、そこにはトランクスに包まれた股間があった。

膝枕するのに丸出しなわけがないし履くのは当然なのだが、何故か少し残念だった。

いつもだったら終わったら口で綺麗にするよう先輩に仕込まれているからだ。

やっぱり、綺麗にしたほうが喜んでくれるのかな。

興味本位でスリットを開けると半萎えになった肉棒が顔を出した。

吹き切れていないのか、所々先輩と私の体液で濡れている。

なんだ、先輩も期待していたんじゃないか。

そんな風に都合の良いようにとりつつ亀頭に軽く唇を落とす。

 

「ガール?」

「なんですか先輩」

「いや、ガールは本当にエッチだなって」

「——誰がそうしたんでしょうね」

 

意地悪く笑うと元々じゃないのか——と先輩が呟いたので亀頭に犬歯で軽く噛みついた。

呻き声とともに謝罪の言葉が聞こえてきたのでそれでよろしい——と言った。

 

「大体セックスしたらお口でお掃除して綺麗にって、教えたの先輩じゃないですか」

「そうだったっけ?」

「そうです。ですからエッチな後輩サンタさんのプレゼント、大人しく受け取ってください」

 

そう言って肉棒を咥え込む。

肉棒はみるみるうちに大きくなって、私を攻めたてていた時の硬さを取り戻した。

頭を大きく揺らしながら舌で鈴口と尿道を攻める。

先走り液の苦味が口いっぱいに広がる。

何度も、何度も味わったものだが未だに慣れない。

先輩も軽く腰を動かしている。

喉の奥を叩かれて反射的にえずきそうになるが、なんとか我慢できた。

気がついたら肉棒は喉の奥どころか食道にまで入り込もうとしていた。

舌で竿を突っついて、そっちじゃないですよ、舌のご奉仕も気持ちいいですよとアピールする。

すると、肉棒が引き抜かれて口腔内に亀頭が戻ってきた。

えらいえらいと鈴口に舌を捻じ込む。

カリ裏を唇で擦ると、少し大きくなった。

 

——射精しちゃえ。

 

亀頭を甘噛みすると、三回目だというのに勢いよく精液が噴き出てきて口中に溢れかえった。

肉棒が引き抜かれて、私は先輩の膝に頭を乗せた。

 

「見せて?」

「ひゃい」

 

数度咀嚼して、舌の上に乗った生臭い精液を見せつける。

先輩は満足したように頷くとよくできました——と頭を撫でてくれた。

わざと音を立てて嚥下する。

濃くて粘度の高い精液は一度では飲み込み切れず、二度三度と飲み込んでようやく口内から姿を消した。

再び舌を出して飲み込みましたよとアピールする。

肉棒は未だに硬さを保ったままだ。

軽く指で触れると、肉棒が反応した。

 

「んふふ。サンタさんのプレゼント、まだいけますよね?」

「勿論」

 

 

 

翌日、私は生徒会室でぐったりとしていた。

理由は明白だ。昨日のアレである。

先輩の激しさには慣れたつもりだったが、辛いものは辛い。

私も気を遣りすぎて朝まで意識を失うくらいには愉しんでいたのだから文句は言わないが。

それにしても腰が痛い。

先輩の腰が当たり続けたせいか、心なしかお尻も痛い。

机に突っ伏していると、私の頭を誰かが撫でた。

誰——と聞くまでもない。

 

「ありがとクラークちゃん。でも撫でるなら一言声掛けてほしかったな」

「あれ、起きてたんだ。ごめんね。朝からガールちゃん辛そうだったから、つい。でも確かに声はかけるべきだったね。ガールちゃんの頭はマジシャン先輩のものだもんね」

 

撫でていいかな——と聞いてきたので、いいよ——と返事をする。

優しく子供をあやすような手つきで頭を撫でられる。

心地いい。

ところで——とクラークが話を切り出してきた。

 

「この間のあれ、ガールちゃんはどうしたの?」

「どうしたもこうしたも家にあるわよ。学園に置いておくわけにもいかないし。どうしたの藪から棒に」

「いやね、明日ってクリスマスイブじゃない? ガールちゃんってあれ着たりするのかなって、気になっちゃって」

「そりゃあ——」

 

そこまで言って、言葉に詰まる。

昨日、着た。

着て、いっぱいシた。

そのことを言ってしまっていいのだろうか。

先輩の口からは漏れないだろうけど。

返答に困っているとクラークは笑みを浮かべて語り始めた。

 

「あれね、結構温かそうだよね。靴下が結構厚手だから、身体のほうが薄手でも案外なんとかなるというか」

「わかる。脚が温かいと部屋の中なら意外と気にならないんだよね」

 

つられて——本当につられて語ってしまった。

私の言葉にクラークが驚いたような表情を浮かべた。

私も同じような表情をしているに違いない。

お互いにしばらく目をぱちくりとしていたが、意を決して言葉を紡いだ。

 

「そっかぁ。ガールちゃん、あれ着ちゃったんだぁ。一緒だね」

「クラークちゃんも、着ちゃったのかぁ」

 

遠い目で窓の外に目を向けると、雪が降り始めていた。

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