翁と大名

翁と大名

ここだけゾロがルナーリア族Part2の145

※閲覧注意

※【ここだけゾロがルナーリア族】のスレより

※ゾローリアの更にIFネタ

※ファンタジスタした幼少ゾロがキングに拾われ百獣海賊団所属√

※幼少ゾロはくいなと約束する前

※くいな生存&麦わらの一味√

※CPはゾロ×日和

※IFネタの派生⇒百獣√

※キャラエミュが微妙

※文才なしの駄文

※捏造設定あり

※それでも良い方のみ、お読み下さい
























城の2階から庭を見下ろす。

庭には、ワノ国の新しき将軍となった“霜月”であり“百獣海賊団”である男と、ワノ国将軍の伴侶となった“天月”の血を継いだ“光月”の姫が仲睦まじく散策をしていて。

「…20年を待たずして、ワノ国に平穏が戻るとは、思わなんだ」

天狗の装いを辞め、かつて将軍であった頃と同じ様な羽織袴へと装いを変えたスキヤキ様が独り言の様に呟かれる。

「…スキヤキ様。よろしかったのですか?」

諸々の理由があれど、それなりに気に入っていた刀鍛冶・天狗山飛徹では無く、生き残っていた“元将軍・光月スキヤキ”として残りの人生を歩む事を決めた元主君に問い掛ける。

「正直な所、百獣海賊団の大看板であるのは複雑ではあるが…あの男自体は、紛う事無く“霜月の侍”。そんな男に、頼まれたからな。それに…」

確かに。

百獣海賊団の大看板である事は、複雑な心境になる…フリコの血筋が戻って来たのは慶事ではあるが。

「それに?」

「……何もしてやれなんだ孫娘が、幸せそうだからの」

口籠ったのを促して続きを聞けば、日和様の幸せを望む言葉で。

なんだかんだで、この方は身内には甘い方なのを思い出した。

「…爺馬鹿の発言ですな」

溜息混じりに思わず思った事を口に出す。

「そういう康イエも、“白舞”の大名へと戻る事と隣の“兎丼”の大名をも引き受けておっただろうに」

そうすれば、スキヤキ様はわしに対して呆れた様に言われて。

「…今のワノ国に大名を出来る者がいないのですから、仕方無い事です。スキヤキ様が補佐とは言え、日和様も“九里”の統治を…彼の者は“将軍”としての仕事の他に、元々の“鈴後”と新しく“希美”の統治、そして“百獣海賊団の大看板”としての行動。これ以上を背負わせる訳にはいきますまい」

本来ならば1人の大名が治める郷は1つ。

しかし…大名の血筋は、ワノ国には既に片手で数えられる人数のみ…女人である日和様ですらスキヤキ様の補佐の元で郷を治めなければ成らぬ程。

元々は父親が治めた郷でなければ、大名の血筋であろうと反対が出てもおかしくはない采配なのだ…だからこそ、スキヤキ様を補佐としたのだろうが。

それに……彼の者は花の都を含む3つの郷を治めているが、将軍である故に実質は全ての郷を治めている様なもの…そこに百獣海賊団の大看板としての働きをしなければならないのだ、僅かでも同じ“霜月”としては支えてやりたくなるのは当たり前の事。

「本来は休む暇すら無いだろうに、日和の為に時間を作っている様だからの…しかし…」

「未来へ飛んだ…モモの助様と4名の配下の事ですか」

傳ジローらから聞いた、おでん様の死の後に20年後の未来へと飛んだ5名。

未来へ飛ぶという事は、過去で時間が止まっているという事でもあって…。

「あやつらが、この平穏を受け入れられれば良いのだが…ワノ国を虐げてはおらぬが、カイドウは健在だからの」

「…カイドウに手を出されれば、いくら“光月”の関係者を受け入れている彼の者でも動くでしょう…」

そう…彼の者が受け入れるのは百獣海賊団に仇なさない者のみ。

百獣海賊団に仇なせば、ワノ国の将軍としてではなく…大看板の“戦災”として動くだろう。

そして…ワノ国の民衆は、侍達は…“霜月康イエ”は、それを許容する。

“今のワノ国”が平穏なのは、彼の者の“庇護下”であるからだと理解しているからだ。

「……20年を経験するか、否か…やはり、この差は大きいだろう」

「…そうですな」

嘆く様に首を振るスキヤキ様に同意しながらも、もう一度、この方は身内には甘い方なのだと思い出す。





この“ワノ国”で気が付いているのは、わし一人だろう…彼の者が“ワノ国”を〝自分の物〟だと認識している事を。



それでも…例え、彼の者が“ワノ国”を〝自分の物〟だと認識しているとしても。

〝自分の物〟であるからこそ、守り慈しんでいる現状を知るからこそ、目を瞑る。


それが、17年間…何も成す事の無かった男が、唯一出来る…“ワノ国の平穏”を守る為の最後の事だからだ。





だが…何故、あれ程までに“霜月の血筋”であり“霜月の行動”であるのに、“霜月の思考”では無いのだろうか…。

壊れている様には見えなんだが…我々とは、明確に〝何か〟が違うと感じて。


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