総力戦「白雪姫のりんご」
歓迎します、シャーレの先生
私はアンジェラ、ロボトミーのシステムを全て管理する高性能AIです。
今回お呼びした理由ですが、現在脱走し地上を目指しているロボトミーの管理する怪物、『幻想体』を鎮圧して頂きたいのです。
幻想体は基本的に凶暴な猛獣という側面を持ちますが、脅威となるのはそれだけではありません。
この世界における幻想体は、形を持った恐怖。
人の恐れたもの、恐れられる側面、「こうであったら怖い」という一種の妄想(イフ)
本来であればその姿を見ただけでも恐慌状態に陥り、対峙する事も出来ないでしょう。
今は私が貴方達の認知に干渉し、正しい姿を認識できない状態にする事で対策を取っていますが…
キヴォトスの住民全てにこれを施す事は、端的に言えば不可能と言って良いでしょう
パニックに陥る民衆と、それを襲う怪物…映画さながらの光景ですね。
今回貴方達が鎮圧する相手は「白雪姫のりんご」(Snow White's Apple)
「もしも、白雪姫の口にした毒りんごに自我があったら」という妄想から生じた恐怖です。
白雪姫の食べた毒りんごは、その役目を終えた後、枝葉を四肢として立ち上がり、白雪姫のような自らの運命の人を探し始めます。
しかし毒りんごは毒りんご。魔女の込めた呪いと毒を振り撒きながら、今も王子様を求めています。
美しい悲恋の物語ですが、地上に出せば毒に塗れた枝葉が大通りを埋め尽くす事でしょう。
期待していますよ、シャーレの先生。