絶倫ハーレムカルデア 女だらけのカルデア プロローグ後編
ユーイチ「で、落ち着いたかしら」
「はい……すいませんでした」
数分後、何とか泣き止んだ俺はアニムスフィアさんと藤丸さんに挟まれる形でベッドに腰かけてフォウ君をわしゃわしゃと撫でまわしている。
「それで、何で部屋に入って泣いたの?」
「いや……その分からないんだ。部屋に入ったら何故か涙が止まらなくて……何か、懐かしい感じがして」
「懐かしい感じね……始めてきたのに不思議だね~デジャブってやつかな?」
俺は何で泣いていたのか思い出そうとしたが、何か誰か懐かしい人の姿を見た気がするんだけど、誰だが思い出せないんだ……
「はあっ……だらしないわね。あんた、どこの出身の魔術師よ。藤丸と同じ性だし、親戚か何か?」
「ええと」
「あー藤丸君は一般人だよ? 殆ど誘拐の形で連れてこられた」
「……はい?」
泣き出した俺にあきれているアニムスフィアさんが俺の出身を聞くが、何と答えたらいいか迷っていると、あっさりと藤丸さんが伝える。
呆れたアニムスフィアさんに俺が来た経緯を説明する藤丸さん、アニムスフィアさんは説明を聞いて顔を青くして頭を抱える。
「あんの馬鹿人事部どもが! 何素人に説明なし、同意なしで連れてきてんのよ! 現代に合わんことするんじゃないわよ! くそ魔術師どもがああっ!」
「ちょっ、オルガマリー所長! 落ち着いて!」
「はあっ……はあっ……失礼、ミスター藤丸、あなたが不当な手段でここに連れてこられたのはよくわかりました。ですが、今は大事な作戦を実行中なので帰すわけにはいかないわ。申し訳ありません」
スカウトのやらかしに発狂しそうになってるアニムスフィアさんは、藤丸さんに何とか落ち着かせてもらった。
「い、いえ、大変そうですねアニムスフィアさん」
「本当よ! 年が若い小娘だからってバカにしたり、舐めてくるし陰口をたたくしもう最悪よ! 私だって頑張っているのに……何で誰も私を認めてくれないのよ。誰か私を褒めてよ……」
俺は苦笑いして、アニムスフィアさんをいたわろうとしたが、アニムスフィアさんは我慢の限界が訪れたのか今までの不満や憤りがあふれ出ていて、目には涙が浮かんでいた。
『いや……いや、いやだ! なんでこんな……嫌だここで死ぬなんて! やっと褒めてもらえたのに……やっと認めてもらえたのに……誰か……誰か助けてよ! こんなところで死にたくない! なんで……なんでよ……頑張ったのに、何で頑張ったのにこんな目に遭うのよぉ……!! 父さんの望みを……!! 人類を守ろうと頑張ったのにぃ!!! やだぁ……! やだよぉぉぉぉっ! しにたくないよぉぉぉぉっ!』
ふと、俺の脳内に泣きじゃくるアムニスフィアさんの姿が浮かんだ。
今のはいったい……いや、今はそんなことよりアニムスフィアさんを……
俺は泣いているアニムスフィアさんを抱きしめた。
「なっ、なあっ!? 何すんのよあんた!?」
「……アニムスフィアさんは頑張ってますよ」
「あんたに何がわかるのよ! 今日初めて会ったあんたが! 魔術のまの字も知らないあんたが! 先代と比べられるプレッシャーがあんたみたいな一般人にわかるもんですか!」
泣きながら俺に向かって胸に押し込んでいた思いをぶつけるアニムスフィアさん、俺はその思いをただ受け止める。
「確かに、俺は今日初めて出会った何も知らない一般人です。だけど、アニムスフィアさんは大事な日である今日までこのカルデアを守っていたんですから。アニムスフィアさんが頑張っていた結果ですよ。たとえ、世界のすべてがアニムスフィアさんを認めなくても、俺が認めます。だから、自分をそんなに追い込まないでください」
「何よ……何よ、何も知らない素人のくせに……うわああああん!」
アニムスフィアさんは俺の胸に頭をうずめて泣き出してしまい、その涙を俺は受け止める。
「い、今のことは忘れなさい! 良いわね!?」
「は、はい! 分かりました! アニムスフィアさん!」
五分ぐらい泣いたアニムスフィアさんは泣き止んて顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。
俺もさっきまで、泣いてたしお相子かな?
これにて決着!と思っただけど、アニムスフィアさんはどこか不満そうにして俺のことを睨んでいる。えっ? 何で、俺また悪いことした?
「ええと、アニムスフィアさん? どうかしました?」
「……オルガ」
「えっ?」
「アニムスフィアさんじゃなくて、オルガって呼びなさい。あなたには私のことを名前で呼ぶのを許可します」
苗字予備がどうやら気に入らなかったようで、アニムスフィアさんは名前で呼ぶようにと強要してきた。
「でも、あなたは所長で俺は一応部下という立場になるので……」
「ああっ! もうっ! じれったいわね! 良いって言ってるでしょ!? 所長命令よ! 私のことはオルガって呼びこと! あと、敬語は禁止! 良いわね!?」
「わ、分かったよオルガ……」
「分かればいいのよ。あと、あなたのことは立夏って呼ぶからよろしく」
すごい剣幕で俺は思わず了承してしまった。了承すると、オルガは嬉しそうにしている。ついでに俺のことを名前呼びするらしい
「ねえ、立夏」
「なに、オルガ」
「ふふふっ、呼んだだけよ」
「こいつ~」
オルガに呼ばれて反応すると、恋人同士のようなやりとりをする。オルガは悪戯が成功した子供のような朗らかな笑顔を見せた。
「笑うともっと可愛いんだよな~」
「にゃっ!? 可愛い!?」
思ってたことを思わず言ってしまったせいで、オルガは顔を真っ赤にして俯いてしまう。き、気まずい……!
「ねえ、2人とも、私達がいるの忘れてない?」
「フォウ、フォウ……」
「っ!?」
気まずくしていると、俺たちの隣でジト目で睨んでいる藤丸さんとフォウ君がいた。
ま、まずい忘れていた。
「なーんか、二人とも恋人同士みたいだったな~」
「こ、恋人!?」
「所長ばっかり藤丸君とイチャイチャして羨ましいな~。私もイチャイチャしたいな~」
藤丸さんはオルガのことを羨ましそうに見ていて、オルガはさらに顔を赤くして混乱しかけている。
さらに気まずくなりそうになっている。この状況どうしよう……うん?
『ちょっ……押さないでよ!』
『何か、聞こえそうですわ!』
『密室で男女二人何も起こらないわけもなく……』
……何か部屋の外から話声が聞こえるな。
俺はドアの前まで歩いて、ドアのロックを解除する。
「「「「「きゃあああああっ!?」」」」」
ドアのロックを解除すると、聞き耳を立てていたのか、ドアの前に立っていた五人の女性が倒れこんできた。
その中の三人には見覚えがあった……
「何をしてるんですか、遠坂さん、間桐さん、エーデルフェルトさん……」
そう、さっき知り合った遠坂さん達だったのだ。遠坂さん達の他にも部屋の外に三十人ぐらいの女性がいた。
「あ、あなた達! こんなところで何してるの!?」
「何って、藤丸くんが藤丸さんと2人っきりでいると思って何話してるのかなーって聞き耳立ててました!」
「あれ? 所長、キリエライトさんが出て行った後に部屋出てこなかったっけ?」
「え? それってどういう……」
オルガは部屋の前にいた女性たちに驚いて目を丸くしていたが、そこにいた女性たちから聞いたオルガはすでに部屋を出て行ったはずと聞いて俺とともに不思議そうにしていた……その時、
ドカアアアアンッ!と何かが爆発した音が聞こえ、地面が激しく揺れて、電気が消えた。
「キャアッ!」
「っ! オルガ!」
爆発に驚いたオルガが倒れそうになったのを支える。な、何が起きたんだ!?
「ありがとう、立夏。モニター、何が起きたの!? 映しなさい!」
そう叫ぶと、壁に埋め込まれたモニターの電気がついて映像が映し出された。
「っ! 何で、何で管制室が燃えてるのよ!」
そのモニターに映っていたのはさっきまで俺たちがいた管制室が燃えている映像だった。
「何が起きてるのよ! 何で私のカルデアが燃えてるのよ! ねえ!」
「オルガ、落ち着いて!」
「落ち着けるわけないでしょ! だって……」
「今、俺たちがやるべきことは何? ここで取り乱してることじゃないでしょ。このカルデアで何が起きているのか、けが人がいるのか、生存者はいるのか。いたら俺たちが助けきゃでしょ!?」
オルガは自分が守ってきたカルデアが燃えているせいで、激しく動揺していて冷静さを失っていた。
だから俺はオルガを優しく諭して落ち着かせようとする。
「でも、私だけじゃ……」
「確かに、こんな困難を一人で何とかしようなんてできない。だけど、オルガには俺が、俺たち仲間がいる! 一人じゃできない困難も仲間とだったら乗り越えられる! だから、俺たちを頼ってくれ」
「立夏……そうね。みんな! 私に力を貸してちょうだい!」
諭されたオルガは冷静さを取り戻して、みんなに向けて頭を下げた。
「了解です所長!」
「わたくしの力でよろしければいくらでもお貸しいたします!」
「さあ、何でも言ってちょうだい!」
オルガに頭を下げられたみんなは頼られて嬉しそうにして頷いて、力を貸してくれる。
「ありがとう、みんなじゃあ……」
力を貸してくれたみんなにお礼を言って、オルガは指示を出し始めた。
オルガは落ち着いたけど、俺も内心焦っていた。何故なら管制室にはあの子が……マシュがいるんだから。
「立夏、ぼーっとしない! 人選決まったからさっさと、私たちも行くわよ!」
「っ! 了解!」
俺が考え事していると、さっさと人選を決めたオルガの指示で行動を開始する。
俺はオルガ、遠坂さん、間桐さん、エーデルフェルトさんに藤丸さんとあとフォウ君に他数名で管制室の生存者の確認、地下発電所の様子を見る。他のメンバーはカルデア内の被害状況の確認をしてもらうことになっている。
マシュ、どうか無事でいてくれ! 俺はそう祈りながら管制室に向かって走る。
「っ……ひどいな」
「これは……やっぱり、生存者は……」
全力で走った俺たちは管制室に到着した。管制室は映像の通り、炎に包まれており、生存者は絶望的だった。
「まだよ! 水の魔術を使える人を中心に消化して生存者を探すわよ! ……っ! そこにいるのは誰!?」
「待ってくれオルガ、私よ。ルマンダよ」
指示を飛ばすオルガ、だが、何者かの気配を感じて振り返る。俺たちもそれにつられて振り返ると、仮面をかぶり、顔を隠した女性が数人の女性を引き連れていた。仮面からは光り輝く金色の髪が見えている。
この綺麗な人は誰だろう……
「ルマンダ! よかった生きていたのね!」
「ええ……何とかね。君が生きていたのも驚きだけどねオルガ。君は何をしおうとしていたんだい?」
「立夏とおしゃべりしていたらこんなことが起きたのよ。それで生存者の捜索と発電所の様子を見に来たのよ。他にも無事だった人がいたからカルデアの被害状況の確認をしに行ってもらってるわ」
「そうだったのね……私たちも奇跡的に無事だったからあなた達と同じで様子を見に来たの。とにかく、オルガ、あなたは安全なところに逃げなさい。地価の発電所と生存者の確認は私たちがするから。君はカルデアの所長なんだから死んではだめよ。君たちもね。良いわね! そこの数人は私についてきて」
オルガとルマンダさんは簡単にお互いの状況を確認して、ルマンダさんはオルガと俺たちに安全なところに逃げるように告げて、地下の発電所へと向かって走っていった。その時、遠坂さんたち以外についてきた数人の女性たちはルマンダさんの後をついていく。
逃げてか……だけど、あの子がマシュは見つかっていないんだ。
俺は周りをキョロキョロと見渡す。
すると、がれきの中で彼女の薄紫の髪が見えた。
「「マシュっ!」」
「立夏、藤丸! 待ちなさい!」
俺と藤丸さんは同時にマシュを見つけて、駆け出した。オルガに制止されたけど、俺たちは止まらなかった。
「マシュ! 助けにき……」
マシュのそばに近づいた俺たちは息をのんだ。何故ならマシュのお腹に大きながれきが突き刺さっており、血もたくさん出ていて素人の目から見ても助からない致命傷を負っていたからだ。
「いやああっ! マシュ! 死なないで!」
「っ! 藤丸さん、落ち着いて!」
マシュのけがを見て藤丸さんはかなり取り乱して、激しく揺らそうとしたのを俺は止めた。これ以上、血を流すとやばい!
「……はい、ご理解が早くて助かります。みなさん、私を置いて逃げてください」
「そ、そんなのできないよ友達を置いてなんていけないよ!」
力なく告げるマシュに藤丸さんは彼女の手を握りながら涙を流す。
「藤丸! どうしたの……っ!」
「マシュさん!」
「これは……もう」
「そんな……」
遠坂さん達も追いついてマシュのけがを見てもう助からないことを理解した。
『観測スタッフに警告します。カルデアスの状況が変化しました」
すると、突然管内アナウンスが鳴り響く。な、何が起きているんだ? ……っ!
火の勢いが強くなり、俺たちの周りを火が取り囲んだ。
『シバによる近未来観測データを書き換えます。近未来、百年までの未来において、人類の痕跡は発見できません。人類の生存は確認できません。人類の未来は保証できません』
「生存? 未来? 保証? 何を言っているんだ?」
「っ! 嘘!? カルデアスが赤く……」
館内放送が何を言っているかわからず困惑していると、オルガは管制室中央に浮かんでいた大きな地球儀みたいなのを見て驚いていた。
見てみると、地球儀の色が青色だったのが赤色に染まっていく。あれがカルデアス……
カルデアスが染まっていくと同時に火の勢いがさらに強くなる。これはヤバいかな。
「す、すみません……みなさん……わたしのせいで逃げられなくなってしまいました」
マシュは一人、申し訳なさそうにする。だが、俺はそんな彼女に優しく語りかえる。
「そんなことないよ。きっと大丈夫だよ。何とかなるよ」
「っ! は、はい……」
俺は不安で押し殺されそうになるけど、マシュを安心させようと片膝をついて目線を合わせる。
『コファイン内のマスターのバイトルマスターのバイトル、基準値に達成していません』
『レイシフト定員に達していません。該当マスターを検索中……』
『発見しました。適応番号8番遠坂凛、適応番号9番間桐桜、適応番号10番ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。適応番号18番藤丸立香。適応番号48番目藤丸立夏。適応番号外オルガマリー・アニムスフィアをマスターをとして再設定します』
「あの……先輩……藤丸さんと一緒に手を握ってもらってもよろしいでしょうか?」
「ああ、勿論だよ……」
管内アナウンスは適応がどうとか言っているけど、俺はマシュに言われたように彼女の手を握った。
『アンサモンプログラムスタート量子変換を展開します』
『全工程完了。ファーストオーダー実証を開始します』
その館内放送を聞いた瞬間、俺の視界は真っ白になって意識を失ってしまった……
『En上特I点F 冬木 人理定礎値C+』