絶倫ハーレムカルデア 女だらけのカルデア プロローグ前編

絶倫ハーレムカルデア 女だらけのカルデア プロローグ前編

ユーイチ



『……い、起きてください……目を、開けてください』


炎に包まれているどこだか分からない場所で誰かが泣いていた。誰かは顔が見えないけど、大切な人だった。そんな感じがする。


『なんで……私たちが……を救ったのに何で……』


その誰か周りには黒い靄が纏わり付いていく。


『……を救った私たちを世界が拒絶するなら、そんな世界、私はいりません。そんな世界は私が拒絶して破壊します』


靄が晴れたそこには黒い鎧を全身に纏った人がいた。顔は見えないけど、とても悲しそうだった。






―――塩基配列確認 ヒトゲノムと確認


―――霊器属性 善性・中立と確認


ようこそ、人類の未来を語る資料館へ、ここは人理継続保障機関 カルデアへ



「……フォウ……フォッキュウ」


「うん?」


奇妙な鳴き声とモフモフとした触感で目を覚ますと、目の前には真っ白な毛で覆われた犬みたいな猫みたいな……リスのような奇妙な生物にぺシペシと頬を叩かれていた。


何だろうこの子……そもそもここはどこだろう? それにいつの間にか服も白い制服に変わっていた。


「ええと、君は……」


俺はこの生物を抱き上げてじろじろと眺める。


このモフモフの生き物……どこかで見たことあるような。


「それにここ……」


辺りをキョロキョロ見渡してみると、窓が見えた。窓からは吹雪が吹き荒れているのが見える。ここは雪山なんだろうか……


「確か俺は……」


「あの、質問よろしいでしょうか先輩?」


なぜ俺がここにいるか思い出そうとしたところ、後ろから声をかけられて後ろを向くと、パーカーを羽織って黒い服とスカートが一緒になった服を着た薄い紫色のショートカットの女性が立っていた……って!?


座ったまま振り返ったせいか、見上げる形になってしまったせいで彼女のスカートの中が見えてしまった。


「く、黒……」


「?」


「な、何でもないよ」


「はあっ……ところでなぜ、ここで眠っていたのですか?」


思わずパンツの色を呟いてしまって慌ててごまかした。


「ええと、俺にもわからなくて……」


「あっ、マシュ―フォウ君いたー?」


この状況をどう説明したらいいか迷っていたら、また後ろから声がして振り返ると、そこには赤みががったオレンジ色の髪をした活発そうな女の子が立っていた。


「藤丸さん、はい先輩と一緒にいたのを発見しました」


「そうなんだ。よかったね~それで……君は? アタシは藤丸立香、時計塔所属の魔術師でここのマスター候補の一人だよ! よろしくね!」


「えっ? 藤丸立夏!?」


オレンジ髪の女の子が自己紹介してくれたが、俺は彼女の名前を聞いて驚いた。何故かだって? それは……


「そ、そうだよ。藤の花の藤に丸に立つ香って書いて藤丸立香」


「そうなんだ……実は俺も藤丸立夏なんだ。君とは違って立つ夏と書いて立夏だけど」


そう、俺の名前も藤丸立夏だ。漢字が一文字違うけど同年代ぐらいの同姓同名の子と出会うのは珍しい。ましてや、俺の名前は珍しいと思うし。


「えっ!? マジで!? そんな偶然あるんだ!? すごいね! マシュ!」


「は、はい! 同姓同名の方が揃うのはかなり珍しいかと」


藤丸さんもマシュと呼ばれた女の子もびっくりしていた。そりゃあ、こんな偶然遭遇したら驚くよ。


「俺もびっくりだよ。まさかこんなところで同姓同名の人と出会えるなんて」


「そうだね~ええと、藤丸君は何でカルデアにいるの? アタシは両親が魔術師だったからスカウトされたんだけど、藤丸君も魔術師?」


「ええと俺がここにいる理由は……」



さっきから聞こえてくる魔術師ってキーワードが気になるけど、俺はここに来た経緯を思い出してみた。


「あれは俺が献血に行った時のこと……献血して帰ろうとしたらスーツ着た男の人に付きまとわれて、ボランティアだからお願いって頼まれて、まあ、休みの間だったらいいかなって了承したら目隠しされて……あれ? どうしたの二人とも?」


俺がここに来た経緯を説明していたら、藤丸さんもマシュも頭を抱えていた。いったいどうしたんだろう?


「ねえマシュ……これって誘拐だよね」


「はい……これは裁判になったら確実に負けます。完璧な誘拐拉致です」


ひそひそと話し合っている二人……なんかまずいことがあったのかな?


とりあえず、ここがどんな場所か聞いとかないと……


「あのさあ、二人ともここって……」


「あっ、いたいた。マシュ、立香。こんなところにいたのね。所長が探していたわよ」


頭を抱えている二人に話しかけようとしたら凛とした綺麗な声が聞こえた。


声の聞こえたほうを向くと、そこにはスラリとしたスレンダーな体型の女性がいた。黒い瞳に長い黒髪を二つに結んだツインテール、10人の人が10人とも振り返るであろう美しさ……


藤丸さんとマシュも美人なんだけど、二人は可愛い系、この人は綺麗系なんだ。


「姉さん、待ってください! 先に行かないでください」


「まったく、考えもせずに突っ込むなんてまさにイノシシですわね」


ツインテールの女性に見とれていると、彼女がやってきたほうからさらに二人の女性がやってきた。

ツインテールの女性と違い、その二人はグラマスな女性だった。


最初に来た女性は紫色の髪が特徴的で、ツインテールの女性とどことなく似ていて、胸や尻もかなり大きい。


続いてやってきた女性は金髪の縦ロールの髪型のザ・お嬢様という風貌だった。ツインテールの女性と似ているというかほぼ瓜二つだった。髪の色と瞳の色と胸の大きさ……


「あんた……失礼なこと考えてない?」


「そ、そんなことないよ!」


ジロリとツインテールの女性に睨まれる。もしかして、考えていたことがばれた?


「そう……それより、ルヴィア! 誰がイノシシよ! この成金ゴリラ!」


「あなたに決まっているでしょうが! それにわたくしはゴリラではありませんわよ! ゴリラは立香さんでしょうが!」


「ちょっ、二人とも落ち着いて! って私まで巻き込まないでよ!」


ツインテールの女性と縦ロールの女性が言い争いを始め、藤丸さんが止めようとした。


「三人ともやめなさい!」


「あたっ!」


「いたっ!」


「なんでえ!?」


喧嘩になりそうだった二人だが、紫色の髪の女性がどこからか取り出したハリセンで藤丸さんを含めた三人の頭をひっぱたいて止めた。


「なにすんのよ桜!」


「叩くことないでしょう!?」


「もう、ここは時計塔じゃないんですから暴れないでくださいよ」


「ねえ、何で私も叩かれたの!? 止めようとしていたよね!?」


ひっぱたかれたところを押さえながら涙目で二人は抗議して、紫色の髪の女性は呆れていて藤丸さんは涙目で抗議していた。


「さっきから気になっていたんだけど、あんた誰?」


「あっ、そうだ。凛ちゃん、桜ちゃん、ルヴィアちゃん! この人は藤丸立夏君、私と同姓同名な私たちと同じマスター候補生だよ!」


「「「ええっ!?」」」


今更になって俺のことが気になったのか、俺の素性を聞いてきたツインテールの女性に藤丸さんは嬉しそうに俺の名前を伝えて、三人は俺の名前を聞いて驚いていた。


まあ、同姓同名の人がいるのは珍しいからね。


「どうも、俺は藤丸立夏。立つ夏と書いて立夏だよ。よろしく」


「へー立香と同姓同名なのね。あたしの名前は遠坂凛。よろしくね」


「よろしくお願いします。藤丸先輩、私の名前は間桐桜。ちょっと事情がありまして姓が違いますが、遠坂凛の妹です」


「わたくしはルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。魔術の名門であるエーデルフェルト家の現当主ですわ。どうぞよろしくお願いいたします」


「遠坂さん、間桐さん、エーデルフェルトさんですね。よろしく」


俺は3人に自己紹介して、握手した。遠坂さんと間桐さん姉妹だったんだ。事情があるって言ってたけど、何があったんだろうか。


「あっ! そうそう。マシュ、立夏、藤丸君! 所長が管制室に集まってて言ってるから行くよ」


「あっ、もうそんな時間か! みんな、行こう!」


時計を見た遠坂さんが慌てている。どうやら何か集まりがあるようだ。


遠坂さんの背中を追って藤丸さん達も駆け出す。それほど、重要なことなんだな。


「あっ、藤丸君。ちょっと良い?」


俺もみんなに着いていこうとしたら藤丸さんに手招きされる。何だろう……?


「何かな藤丸さん?」


「……女の子は胸とかお尻とかへの視線に敏感だから気を付けてね」


「へ?」


藤丸さんに近づいたら、耳に向けて小声でそんなことを言われて一瞬フリーズしてしまう。えっ? バ、バレてた? 藤丸さんやキリエライトさん、間桐さんにエーデルフェルトさんの胸を見たことや遠坂さんの尻と足を見てたことも……


俺は少しショックを受けていると、藤丸さんは速足で遠坂さん達に追いついていく。


はぐれないように俺もとぼとぼと着いていく。次からは見ないように気を付けよう……






「ねえ、何か藤丸君からいい匂いしなかった?」


「姉さんも感じましたか? 確かに藤丸先輩から甘い匂いみたいなのがしましたね」


「遠坂凛に同意するのは癪ですが、彼から嗅いだことのない匂いがしたのは事実ですわね」


「あれ? みんなも匂いしたんだ。なんか実家にいるような安心する匂いがしたな~」


「はい……先輩からはまるで太陽のような温かく優しい匂いがします」


「あれ~何かマシュ、藤丸君に対して態度違くない? もしかして……」


「ふ、藤丸さん、揶揄わないでください!」


「あはははっ! 顔を赤くして可愛い!」







「ふふふっ、何か面白いことになりそうだね~これは」


どこかにある世界の果ての楽園の花園……一人のハーフサキュバスが藤丸立夏のことを見ていた。


「あのお兄ちゃん、いいね! ちょっと手伝っちゃおうかな~」


彼女は妖しく微笑みながら何かを企んでいる。彼女が彼らに何をもたらすのだろうか……







「時間通りとはいきませんが、全員揃ったようですね。ようこそ、特務機関カルデアにようこそ。所長のオルガマリー・アニムスフィアです」


遠坂さん達についていき、管制室についたところで中央に立っている女性、オルガマリー・アニムスフィアさんが説明会を始めようとしていた。


ついたとたん、管制室にいた女性たちが何故かこちらを一斉に見て、顔を赤らめている……何故?


そして、女性たちが何故か俺たちの周りに集まつて来る。


「次の遅刻は許しません。私の命令は絶対ということは覚えておいてください」


アムニスフィアさんは鋭い目で俺たちを睨みながら話を続けているのだが……


「では、話を戻します。あなた達は各国から選抜、あるいは選抜された稀有な……」


「ちょっと……藤丸さん……」


何と、となりにいた藤丸さんが寝息を立てて、もたれかかって来てる。ちょっ、藤丸さーん、所長が説明中です、聞いてますかー!


っ! 今度は誰かが俺の尻を揉んでる!?


後ろを振り返ると、誰か分からない女性が俺の尻を揉んでいた……困惑していると、その女性はにこりと微笑む。ええっ……


「ちょっと、そこ! 何しているの!」


すると、アニムスフィアさんが鬼の形相で俺がいるほうにやってくる。


「あんた達! 何、説明中にいちゃついてんのよ!」


「ひいっ! す、すいません!」


鬼の形相なアニムスフィアさんに思わずビビってしまった。別にいちゃついてたわけじゃないんだけどな……


「遅れてきたくせにいい度胸してるじゃない……レフ! 二人に話があるから先に説明してて!」


「ふふふっ、了解です。できるだけ、早く戻ってきてくださいね」


「さあ、行くわよ! マシュ! この馬鹿のマイルームに案内しなさい!」


「はい、お供させていただきます!」


アニムスフィアさんは近くにいた背の高い男性に声をかけて、俺と藤丸さんの首根っこを掴んで、マシュを引き連れて管制室から出た。ど、どこにいくんだ!?


「なんでさ……」


そうつぶやいて俺はされるがまま、アニムスフィアさんに連行されていくのだった。


俺たちの後ろをぞろぞろと女性たちが付いてきたことを俺たちは気が付かなかった。







五分ほど歩くと、歩くと、真っ白な部屋の前にたどり着く。


「つきました。ここが先輩の部屋です」


「ありがとう、キリエライトさん。助かったよ」


「いえ、気になさらないでください先輩。できたら私のことは名前で呼んでいただけるとありがたいです」


「ははっ、善処するよ」


「では、所長。先に戻っていますね」


キリエライトさん……マシュと軽く話して、マシュはアニムスフィアさんに頭を下げて、その場を後にしようとする。


「ええ、この馬鹿たちに言いたいこと言ったらすぐに戻るから先に進めてて」


「はい、失礼します」


マシュはぺこりと頭を下げて管制室に戻っていく。この時にマシュの肩からフォウ君が飛び降りて俺の肩に移っている。


この時、マシュの歩いた後に花が一輪ずつ落ちていったことを俺たちは気が付かなかった。


「ねえ……藤丸君、オルガマリー所長、何であんなに怒ってるの? 私、寝てて何があったのかさっぱりなんだけど」


「藤丸さんが説明中に居眠りして、俺にもたれかかってるのを見たアニムスフィアさんが『何いちゃついてんのよ!』ってキレて俺の部屋に連行して説教するみたい」


「ええっ……」


「2人とも、何コソコソしてるのよ。中に入るわよ」


マシュが去った後、藤丸さんに今の状況を説明して、困惑しており、アニムスフィアさんは痺れを切らしてドアのロックを解除して中に入っていく。藤丸さんもそれに続いて俺も中に…


『誰だ君は!? ここは僕のサボり場だぞ!?』


「っ! ドクター?」


中に入ると、制服の上に白衣を着た男性がサボって……


「ミスター藤丸? どうしたの?」


「えっ? あれ?」


男性はおらず、アニムスフィアさんが怪訝そうに俺のことを見ていた。今、俺は何を見ていたんだ?


「ちょっ! 藤丸君!? どうしたの!? 何で泣いてるの!?」


「え? 嘘?」


藤丸さんに指摘されて頬に触れると、確かに頬がぬれていた。あれ……? 何で涙が出て……止まらない……


「くっ……うわあっ!」


俺は訳も解らず泣き崩れてしまい、藤丸さんとアニムスフィアさんは困惑しながらも介抱してくれた。



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