純粋なる愛のカタチ -part.2-

純粋なる愛のカタチ -part.2-

サラダ事変「純愛ルート」

 桑上カホは唖然とした。

 眼下に広がる触手と植物由来のネバネバした深緑色の粘液で畳一枚すら見えていなかった場所に、突然として空間ができていたのだから。

 それはさながら、神話に登場する「海を割った聖人」を思わせる奇跡を自分の目の前で繰り広げられている--そう彼女は思っていた。

 ……しかし、現実は残酷であり予想外な出来事がこれから始まろうとしていた。


(……チセちゃん!?どうして怪物たちと一緒にやってきたの!?)

「む”ぐっ”、む”ぅ”う”う”う”う”う”う”う”っ”……!!!」


 ニコニコした表情を浮かべて誰かに話しかけているチセを助けようと、カホは絶頂を迎え続けて疲弊した体を奮い立たせて抵抗する。

 彼女の必死の抵抗に対して「もっと快感が欲しいのかな?」と考えたサラダちゃんは触手のストロークを再開し、ついでとばかりに快楽を促す脳内物質を放出させる粘液を大量に注ぎ込んだ。


「ん”お”っ”!お”ぉ”っ”……お”ほ”ぉ”お”お”お”お”お”お”お”お”!!」


 再び訪れた快楽の嵐に耐え切れず、カホはサラダちゃんの激しい触手による「ご奉仕」を受け入れるしかなかった。


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「ここが陰陽部。私たちが活動している部室だよ~」


 お客様を招くように、チセは気さくにサラダちゃんたちを迎えていた。

 チセがふと百夜堂で一緒についてきてくれたサラダちゃんの数よりも、心なしか増えているように感じた。

 しかし、さほど気に留めることもなく本題である「喜ぶための行為」へと段階を踏んでいくチセ。


「何から始める?……お友達を増やす?それとも--」


 チセが他の案を言う前に、サラダちゃんからの意思を感じ取る。


「……あぁ、そっか。喜んでもらうためには、やっぱり脱いだ方がいいよね?」


 そういって、おもむろに服を脱ぎ始めるチセ。上着だけでなく下着も脱ぎ捨てて、そこには生まれたままの姿をさらすあどけない少女がそこにいた。

 スラっとした身体のライン、陰陽部のカホやニヤのような豊満なものではないが女性らしく確かに小さなふくらみをもった乳房。

 純潔を守られた秘部は艶やかな桃白色で、未だに彼女がサラダちゃんと致していないことを物語っていた。


「準備オッケー。……おぉう、大胆なアプローチだね」


 彼女の準備が整うのを待ってましたとばかりに、サラダちゃんの触手が彼女の体を撫でていく。

 そのあり方は恋人との初めての行為を前に行われる愛撫--いとおしくチセの体を優しく撫でていき、触れ合うことにより互いの感情を高めあっていく。


「んん、くすぐったいよ~。……でも、悪くない」


 身体を撫でまわしつつも、こっそりと彼女の秘部にも触れていく。


「ひゃん!……も~、変態さん」


 どさくさにまぎれて「最初からクライマックス」を迎えようと考えていたサラダちゃんだったが、彼女からのおとがめを受けて猛省するかのように触手がシナシナと弱った様子をみせる。


「ごめんね~。けど、やっぱり『そういうこと』は段階を踏まないとダメな気がするよ~」


 チセの寛容さに感謝しつつ、サラダちゃんは引き続き彼女の体を撫でまわしていく。

 彼女のおなかを触ったところで、華奢な身体が軽くピクンと跳ね上がる。

 ……どうやら、彼女の『感じるところ』は腹部--正確に言えば、子宮がある臍回りのようだ。


「むぅ……。そんなにおなかを触るのが好きなの?」


 抵抗の意思を示しながらも、まんざらでもない顔を見せるチセ。


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 とめどなく繰り出される快楽という名の暴力をかろうじて残っていた理性で抑え込んだカホの耳に、心の支えである和楽チセの声が届く。


”ひゃん!……も~、変態さん”

”ごめんね~。けど、やっぱり『そういうこと』は段階を踏まないとダメな気がするよ~”

”むぅ……。そんなにおなかを触るのが好きなの?”


 一瞬、カホの思考が真っ白になる。彼女--チセがなんと言った?『そういうこと』?触る?

 怪物と何をしているのか気になり、わずかな隙間から見えた光景を直視したカホは一気に青ざめた。


(チセちゃん!?あの怪物に……ぜ、全裸で!?しかも、何をしているの!?)


 そして、先ほどの発言の中にあった『そういうこと』の真意に気づき、ますますカホの血の気が失せていくのが感じた。

 ……まさかとは思うが、この少女--自分の推しであるチセは怪物との間の仔を設けようと考えているのではないか?

 ありえない。いくら考えることが読めない彼女でも、公序良俗や必要最低限の社会の常識を持っている彼女が……あの名状しがたい生命体との子供を作るなんて、そんなこと--


(チセちゃん、考え直して!そんなことをしたら、社会的にも……人間としても--)


 しかし、カホの願いは彼女の発言で完膚なきまでに崩れることになる。


"お嫁さんになってほしい?……いいよ~"

"でも、そうするにはお互いのことを知っておかないと"

"そのあとでなら……うん、喜んで~"

"確か、BDで学んだ内容だと『そういうこと』をすると、お互い気持ちよくなって……なんやかんやあって、子供ができるんだよね?"

"どんな子が生まれるかなぁ?"

"あと、これは言ったほうがいいかな~。……将来の伴侶として年端のいかぬふつつか者ですが、何卒よろしくお願いします"


 この瞬間、カホの儚くも淡い希望に満ちた思いは粉々に砕け散った。

 そして、それを合図に彼女を受け持つサラダちゃんが慰めようと触手のストロークを再開する。

 カホは抵抗の意思を示すことなく残酷な現実から逃げるように、怪物の暴力に身をゆだね狂うように求め続けいくことになる。



[ to be continued... ]

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