純粋なる愛のカタチ -part.1-

純粋なる愛のカタチ -part.1-

サラダ事変「純愛ルート」


  ハイランダー鉄道学園の所有する百鬼夜行連合学院行きの列車からあふれ出したサラダちゃんの進行速度は凄まじいものだった。

 たまたま出歩いていた生徒やいつものように暴れまわる魑魅一座を見つけ次第、次々と「仲間にする」形で取り込んでいった。

 ゲヘナの地で触手を植え付けられて列車内で身ごもり、百鬼夜行の地で生まれたヘイローを持ったサラダちゃんが身を挺して守り、生命を紡ぐサラダちゃんが生徒の穴という穴へ潜り込み、新たな生命の担い手として育んで増えていく。

 --控えめに言って、これ以上ない阿鼻叫喚な地獄絵図が繰り広げられているといっても差し支えない状況であった。


 サラダちゃんが百鬼夜行の地を踏みしめて一時間後、一連の騒動が陰陽部および百花繚乱の耳に届き、特別対策委員会を設立。

 その頃には「修行部」や「お祭り運営委員会」などの生徒を「仲間」にして、より強靭な神秘を有したサラダちゃんが更なる「仲間」を求めて四方八方に散らばっていた。

 戦況は芳しくなく、ヘイロー持ちのサラダちゃんが積極的に前に出て攻撃をしのぐヘイト管理能力と、「何が何でも仲間を増やす」という鉄の意志と鋼の強さを持った……もはや生命への執念ともいえる明確な意思に、必死の抵抗を続ける生徒たちが押されかけているのが実情であった。



 そんな状況が一転したのは、とある喫茶店の一角で繰り広げられていた。

 百鬼夜行を代表する喫茶店『百夜堂』の店内一面が触手だらけで、客である生徒たち、および店主である「河和シズコ」と後輩の「朝比奈フィーナ」が触手にうずもれて「仲間」になっている状態で、一人だけ宇治金時かき氷を堪能する少女がいた。

 どういうわけか彼女だけが「仲間」になっておらず、それどころか意思疎通をしている様子を見せているのだ。


 彼女--和楽チセとサラダちゃんの会話が弾み、物語は思わぬ方向へと進んでいく。


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「ん~っと……。つまり、みんなは私たちに『喜んでほしい』から行動している--これで合ってる?」


 チセの問いにサラダちゃんは触手を縦に動かして肯定する。


「そっか~。じゃあ、私の部室に行く?ここだと、みんなが入るには狭そうだから……」


  彼女の気遣いを受けて「……いわれてみれば確かに」と驚く様子を見せる。


「せっかくだから、みんなを呼んできて楽しいことをしようよ~。聞いた限りだと、生徒のみんなは苦しそうな顔をして喜んでいるようじゃないみたいだし」


 チセの申し出に「ぜひ喜んで!」と触手を彼女の手に伸ばして握手を求める。


「交渉成立~。それじゃ、行こっか」


 かくして、チセが発した鶴の一声で百鬼夜行各地に散らばっていたサラダちゃんたちのほとんどが陰陽部の部室へと終結することとなる。


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 陰陽部の座敷。広々とした一室は畳の一枚すら見えないくらいにサラダちゃんの触手で埋め尽くされ、モロヘイヤのような粘液と蠢く触手の不協和音で本来の静寂で厳かな室内の雰囲気は破壊されていた。


「ん”ぐっ”……ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”!!」


 桑上カホの必死の抵抗むなしく、彼女の口・尻・秘部の穴という穴すべてにサラダちゃんの触手がまさぐり、終始快楽を与え続けている状態である。

 しかしカホにとって不幸中の幸いだったのは、推しであるチセが触手の魔の手から逃れられている--この一点である。

 そして、この唯一にして絶対の心の支えによって、このような屈辱かつ凌辱された姿になろうとも必死に平常心を保っているのであった。


(チセちゃん……せめて、せめて彼女が無事ならそれで--)


 そのカホの願いは、正体不明の生命体--「サラダちゃん」と共に、チセが陰陽部の部室へと足を運ぶ姿を見たことで打ち砕かれることになる。



[ to be continued... ]


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