紀 阿碑渡

 紀 阿碑渡



貴族、紀氏の子。呪術師の家系としての一面を持つ紀氏の、その側面における当主。


 姉は現在紫藤カザリという名を持つ呪霊と化しているが、そもそも平城京から長岡京へと遷都する時期に生まれた腹違いの姉弟。互いに仕事上の付き合いはあってもそれほど深い関係ではなかった。カザリは時折、優秀で聞き分けの良い、姉の無茶をよく叶えてくれた弟を思い出しては慣れない感傷に浸っている。


 術式:武天詠法


 紀氏の相伝の術式。術者を筆頭とする最大3万人規模の軍勢を、言葉によって自由自在に使役する術式。術者の呪力量が高ければ高いほど兵士個人に対する細かな行動指示が可能となり、 阿碑渡、そしてその父が最も扱いに優れ、そして最後の有力な使い手であった。

 術式によって使役される兵士はすべて、兵士自身の呪力及び術者由来の呪力によって身体能力を強化されており、阿碑渡ほどの実力、呪力量となると、本人含め全員が不完全な天与呪縛「フィジカルギフテッド」並みの身体能力をもつ。


極之番:一身三萬武天(いっしんのさんまんぶてん)

 自分の体を術式によって三万人と認識することで術式を誤認させ、術者の一身に身体能力強化と呪力強化を全て集中させる。あまりに膨大な呪力量により、座殺博徒のボーナス時同様肉体が反射的に反転術式を回し続けるため、肉体へのダメージを一切無視した近接戦闘が可能。

 この極之番は、代々受け継がれてきた縛りによって「使役する兵士が初めて全て戦死した時、使用可能になる」という条件が課せられており、つまり阿碑渡は一度自分が使役する軍勢を全滅させられたことがあるということ。

 全滅という敗北を経験するからこそ扱うことが許される技であり、それと同時に、この極之番で使用する呪力の源が「最初に全滅させられた3万人の兵士全員の呪力、指揮官である術者への恨み・失望」であるため、そのすべてを引き受けてなお正気でいられる強靭な精神の持ち主以外は1人前になれないという性質も持ち合わせている。

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