答え合わせと第二問
兄の台詞のみやあ。
久しぶり。
初めまして、といった方が正しいのかな。……久しぶりがいい?ふふ、わかった。そうしよう。
前は4年で出会えたけれど、今回は時間がかかってしまったね。お互い違う場所で生まれたのだから、それも仕方ないのかもしれないが。
……きみのいない間、かあ。
案外ね、色んなことをして過ごせていたよ。本読んだり勉強したり、運動やってみたり。裁縫とダンスは、もちろん小さい頃から。両親は男なのに変わってるって、よく首を傾げてた。
え?……ふふ、面白いこと聞くね。
つまらなかったよ、やることなすこと全部が。できることが増えるのは気分が良かったし、何かを作るのは楽しかったけど、それ以上にいつも虚しくて、つまらなかった。
なんでって、それは……きみがいなかったからだよ。きみが一番わかってるでしょう、それは。
……ご機嫌だね?
そういうきみはどうなの?私がいない間、何をしていたの?
へえ、……そうなんだ。きみは昔から頭が良かったから、納得できるな。友達はできたかい?……ふふ、よかった。楽しいならそれが一番だよ。少し不安に思ってたんだ、きみが今一人だったら、寂しい思いをしていたらどうしようって。
…………。
ごめん。
本当に今更だけど。
あのときは理解できなかった。言い訳だけど、ずっとそばにいた人がいなくなるなんてのは、往々にして有ることだと思ってたんだ。
……そういう問題じゃないのにね。
ねえ、さっきつまらなかった、って言ったでしょう。
あれ、嘘なんだ。
……本当はね、苦しかった。
生きていて喪失感に苛まれない日は無かったし、握らなきゃいけないはずの手がどこにもなくて気が狂いそうだった。自分ひとりじゃ抱えられないくらいの思いがあるのに、それを渡すはずの誰かがいなくて、寂しくて寂しくて死んでしまいそうだった。
きみは……もしかして。私の、うぬぼれじゃなければ。あの頃、こんなつらい思いをしていたの?
……うん。そっか。
そうだよね。
ごめん。本当に、ごめんね。一人に、してしまって。きみはそんなにも、私を思ってくれていたのに。
ああ、泣かないで……。どうかこっちに来て、そう、こっちに……。
……捕まえた。ふふ、うん、懐かしいね。あの頃も、こうやってきみを抱きしめてた。
ずっと……こうしたかった。生まれたときから。寂しかった。会いたかった。
……きみは?
……うん。ありがとう。
もう、離れないから。離さないから。ずっと一緒にいるよ。何を傷つけたとしても、誰に出会ったとしても。例え血の繋がりがもうなくても、私はきみの兄だから。きみは私の弟だから。
…………えっ。
え、だ、だめなのかい?どうして?足りないって何が!?
……もしかして私、まだわかってないことがある?
そっか。参ったな。これは、あれだよね。理解するまで、ちゃんと一緒に考えなきゃだね?……ふふ。
うん。じゃあ。改めて。
よろしくお願いします。これからずっと、永遠に。