第四話 イゾン
待ってくれと呻くルフィの言葉を気にせず、先端を舌で舐り指で根元を優しく絞るように扱く。
それでもなお耐えようとするルフィだが……耐えきれずに私の口の中に射精する。
それを飲み下しつつ、さらに射精を促すように扱き、吸い出すように啜る。
射精直後にそれらの刺激は強すぎるのかルフィが一度止めてくれと懇願してくるので一度止めるが、すぐさま再開すると顔をのけぞらせて刺激に耐えている。
普段はあんなに強くて頼りになるルフィが私の弱い手や口でこうも簡単に翻弄される姿は正直可愛いくて、一時だけ不安を忘れることができるのだ。
あの日の男たちの言葉。
頭ではわかっているのに心はどうしよもなく蝕まれている。
ルフィに知られたくないという想いと、不安からルフィに奉仕したいという気持ち。これらが混ざり合った結果、いわゆる本番よりも手や口や胸でする回数が増えていった。
今ではルフィの弱いところややってほしい攻め方を熟知しているが、一方で私は色々と曝け出せないでいる。
ルフィが色々してくれても私に変化がなければ? ルフィにばれてしまったら? ひかれたり軽蔑されてしまったら? それだけでは済まずに、捨てられてしまったら……?
ルフィは絶対にそんなことはしない。打ち明けて真剣に相談したら真摯に応じてくれるはず。
そう信じているからこそ何度かルフィに打ち明けようとしたが、その度に頭の中でアイツらの声がよみがえって躊躇してしまう。
そうしてずるずると時間だけが過ぎていき、私の思考は悪い方へ悪い方へと転がっていく。
最初に違和感に気づいたときにすぐに相談しなかったのはルフィに話すまでもなく解決すると思っていたから。(本当に?)
ルフィにあれこれ奉仕するのは私に弄られて感じてる顔が可愛いから。(それだけが理由?)
信じているのに打ち明けられないのは、あの日の男達の言葉で心が弱っているから。(言い訳にしてるだけ?)
私(アナタ)が感じられないのは本当はルフィの事好きなんかじゃ――。
違う!
違うはずなのに、私はルフィが好きで愛しているはずなのに、そう考えてしまっている時点でそうなのではないかと自分の気持ちすら信じられなくなっていく。
だから今日もルフィを求める。
快感を感じていない事を知られたくないのに求めるのは矛盾してる。
でも、感じていないからこそルフィには気持ちよくなってもらいたいし、そうして少しでもルフィの役に立てているのなら彼が離れることは無いはずだと信じて。
当然いつまでも本番無しというわけにもいかず、入れられるときは後ろからだったり抱き合う形だったりでルフィと顔を突き合わせる体勢は避けている。
調べ物も体質の改善方法や改善したという体験談から、上手に演技できるような資料探しへと移行していった。
こうした欺瞞でまたもや自己嫌悪に陥り、誤魔化すようにルフィを求め、また自己嫌悪と、実は自虐趣味の気でもあったんじゃないかというほど自分で自分を追い込んでいた。
ルフィと恋人同士になる前はあんなに毎日が楽しかったのに。
正式に付き合うことになってからはそれ以前よりも幸せで満たされていたのに。
初めて結ばれた時も、また一つルフィとの思い出ができたと喜んでいたのに。
私のたった一つの綻びが全てを台無しにしてしまった。
悲しいよ……辛いよ……ルフィ……。
でも、それ以上にこんな私につきあわせてしまって、ごめんなさい。