第四章
単独行動開始瀞霊廷内部
『私が一番速い。一足先に朽木さんの元へ向かうから後で合流しよう』
死覇装に着替え、建物から出たところでカワキは別行動を取ることを切り出した。
「わかった。俺たちも後から向かう」
「カワキちゃん、気をつけてね…」
「任せたぜ!」
「僕たちもすぐに追いつくさ」
口々にかけられた言葉に頷いて、カワキは瞬きの間に姿を消した。飛廉脚を駆使して瀞霊廷を風のように駆け抜ける。
装備品が置かれていると思われる場所は、牢にいるうちに目星をつけておいた。
⦅隠し持っていた分と合わせれば、これで8割から9割。瀞霊廷内部についてダーテンの正誤を確認できたな――そろそろ処刑場へ向かうか⦆
建物の間を縫い、屋根を駆け、双殛の丘への最短ルートを行くカワキ。装備品を取り戻しているうちに、各地では早くも戦闘が開始されていた。
⦅あちこちで戦いが始まっている……。潰し合ってくれるのはありがたいけど――⦆
カワキは護衛対象である一護の身を案じる。どこかで戦いに巻き込まれて――いや、戦いに首を突っ込んでいるのではないかと思うと、気が気ではなかった。
双殛の丘に青白い光が灯る。処刑が始まったのだ。
『――…ああ……居た。探したよ一護』
外套を纏うオレンジ色の頭が見えた。一護だ。
丘の付近で二人は再会した。一護はカワキを見つけて嬉しそうにその名を呼ぶ。
「傷はもういいのか? ていうか……お前その格好どうした? 死神みてえじゃねえか!」
『傷なら癒えてる。服はちょっと借りたんだ。この方が色々と便利でね』
「……“借りた”って…お前な………」
余程 信用がないらしくカワキが何処ぞの死神から追い剥ぎをしたものと思い込んでいる一護。勘違いを訂正することもせず、カワキは今後の動きを擦り合わせる。
『雑魚掃除は私が請け負った。一護は朽木さんを』
「ああ、そっちは任せたぜ。ルキアの救出は俺に任せろ」
簡単に役割分担だけを行うと、一護はルキアの許へ。カワキは周囲の兵達を片付けるのに最適な場所を探す――二人はそれぞれに動き始めた。
***
カワキ…団体行動ができない。瀞霊廷内の情報にやたらと詳しい素振りを見せる。