"第六感"
スレ主空座町付近の山中にて虚の反応が一瞬現れて瞬く間に掻き消えた
浦原は機器がそれを指し現したのを見てげんなりとした顔をした後に
「もしかしなくても 鳥頭が炸裂知っちゃったんスかねェ...」
と呟かざるを得なかった
──件の山中にて
「ふふん やりましたわ!浦原がなんでか縛りプレイを強要しましたが私には問題なかったですわね!」
翼(たすく)の喜びの声が響いていた 近くにはトラバサミ・丸太トラップ複数・落とし穴などがありこと切れた虚の残滓が漂っていた
そこに近づく影が二つ 浦原と夜一である
「翼さん~?この前約束しましたよね 命の危険があるので力を使わないでくださいって」
口調とは裏腹に真剣な面持ちで問いかける浦原に翼は勝ち誇ったような顔で答える
「もちろんですわ!完現術も斬魄刀の力も使わずに倒しましたわ!」
「そっち二つは使って良いんスよ 使っちゃいけないのは"第六感"なんスよ」
ガックシと肩を落とす浦原に夜一が不思議そうに問いかけた
「なんじゃ ワシはその辺は良く知らんのじゃがどう命の危険があるのかのう?」
その言葉を聞いて「翼さんにもう一度説明する必要もありますし」と呟いた後に浦原が質問に答えた
「そもそも"第六感"というのは間違いなんです 正確には"テレパシー"だとか"神託"といったような表現をするのが正しい
今回のように虚の出現位置を"第六感"で得ていたのは 未来を見たり状況を把握して解析したわけではないスよ 『単に知っている人物に聞いた』結果得た情報って事っス」
「それだけでは別に問題は無さそうなんじゃが...」
「情報を得る方法がマズいんです 知っている人物に質問を投げかけるのは簡単に出来るんスけど受け取る方法が『魂魄を焼いて書き写す』ので魂魄を損傷させて受け取ることになるんスよ まぁ実際見てみればわかります」
浦原がおもむろに杖を持ち トンと翼のおでこを小突くとずるりと翼の魂魄が抜け出てきた
「...想定していた以上にボロボロじゃのう 耳なし芳一よりも隙間なく刻まれておる」
そこには全身を何らかの言語で焼き印されたような状態の翼の魂魄があった
「虚の出現場所と時間帯を知るのに『未来の光景』を転送してもらった場合 かなりの量の暗号化された情報が送りつけられます...もちろん火傷を伴ってね」
全身に刻まれた火傷の痛みに顔を歪めながら翼は
「ギリギリだけどどうにかやっていますし あの子たちが問題なくガッコウに通って普通に暮らす生活を守れるなら別にいいでしょう」
とのたまうばかりである
「このことを知った時に皆さんがどういう行動に出るのか分かっているから隠しているんでしょうに 変なところにプライドがあるっスね」
結局浦原はまた注意をしつつ せめてその火傷が大部分治るまでは"第六感"は使うなと念を押して黒崎家に送り届けた
もし約束を破れば皆にこのことは伝えると脅した上であるが
「じゃがのう浦原 結局『それを知っている者』であるテレバシーの送り先は一体何者なんじゃ」
浦原の店への帰り道に夜一がふと思いつき尋ねた
「『霊王』です」
「なるほど 確かにそれなら『知っている』じゃろうな」
夕日に照らされながら二人は帰路を急いだ