第二話 綻び
ルフィと初めて結ばれることができたあの日からまたしばらく時間が経ち、覚えたての二人は毎日のように夜の営みに耽る……といったことはなかった。
それもそうだ。忙しい日々の中ではタイミングが合わないことなどいくらでもある。
それでも何度か機会が巡ってきて、その度に体を重ねさらなる幸せを実感していた。
初めての日、よっぽどがなければ避け得ぬ自体ではあったのだが、それでも私に痛みを感じさせた事を気にしてるのかルフィは前戯を疎かにすることは無く、そのおかげか2回目の時点で痛みを感じることなく受け入れることができた。さすがに自身の中に何かが入っている、という感覚には慣れていなかったけれど。
そう言った気遣いへのお礼というわけではないが、私も手でしてあげることもあった。別に、いつも私ばかり弄り倒されるのが癪だとか、私だってルフィをあの手この手で攻めてみたいとかそういうわけではない。……ないよ?まあ、その内色々覚えてルフィを骨抜きにしてやろうと考えているのは事実だけれど。
ただ、一つ気になるのはまだまだそんなに気持ち良いとは思えない事。
実を言うといまだに緊張するというかルフィの裸やアレをみるとすごいドキドキするし、最中は幸せとか愛おしいとか可愛いとかいろいろな感情で正直いっぱいいっぱいな事の方が多いので、後からふと思い出してそういえばお話にあるみたいな感じには乱れていないなあと思う程度なんだけど。
私自身として思い当たるのは……その、自分を慰めるという事をほとんどしてなかったから、体がそういうの自体に慣れてないのかなー……なんて。
そう思った理由としては、街でご飯を食べていた時に別グループの女の子達がそんなようなこと言ってたのが聞こえちゃったんだよね。
その子達はそういう事の暴露話をしてたみたいで……聞こえたときはびっくりしたよね。大胆過ぎる。
話題が話題だからひそひそ声だったみたいだけれど、すいませんばっちり聞こえていました。
自分で色々やってたから痛みはなにもなかったとか、痛いけど途中からよかったとか、もう〇回目には夢中になったとかそりゃもう色々と。
そうして参考になるお話の中には回数をこなしてお互いに気持ちいいポイントやコツを覚えれば最初の時より確実に気持ちよくなれるというものもあった。
これが聞こえたとき、正直ちょっと安心したんだよね。ああ、普通の事なんだなって。
いわゆる性的な快感というものの実感はまだないけどルフィとすること自体は嬉しいし楽しいから、その内ちゃんと感じられるようになるのかな。
……は!?つまりこれがいわゆる彼色に染められるってこと!?ルフィ色かあ……うん、悪くない。っていうかイイ。
もちろんルフィは私色に染めるよ!それでおあいこだ!
この時は本当に何事もなく想像した未来に繋がると当たり前のように信じていた。
そんな未来はありはしないと言えるのは色々と知ってしまった今の私だからであって、当時の夢見る私を責めることはできないだろう。
それでもこの時ルフィと相談していれば?
もしもを考えて然るべきところに相談して診てもらっていたら?
何かが変わっていたのだろうかとは思わずにはいられないし、それはすっぱいブドウだ、未来=今は変わることは無かったんだと悟ったふりをしている。