第三幕〜コラソン〜その②

第三幕〜コラソン〜その②


次の日の朝。コラソンより早起きしたローは朝食を準備しながら彼を『コラさん』と呼ぶ練習をしていた。

おれのためにここまでしてくれる人をいつまでも呼び捨てになんか出来ない。そんなことしたら天国の父様と母様に怒られちまう。

「コラさん、コラさん。…よし、言うぞ」

覚悟は決まった。後は彼が起きてくるのを待つのみだ。しかし、いくら待てどもコラさんは起きてこない。もうとっくに朝食は出来上がったというのに。

痺れを切らしてコラさんに近付いた。呼ぶ直前に深呼吸を一回して声を掛ける。

「コラさん。…おい、コラさん!」

恥ずかしさが勝ってぶっきらぼうな口調になってしまったのは内緒だ。

何度か呼ぶとようやく目を開けた彼にまたぶっきらぼうに言ってしまう。

「朝メシ、出来たぜ」

そう言って踵を返そうとした時、コラさんがすごく変な顔で驚いていた。

「……!!」

「なんだよその顔!!」

思わず突っ込んでしまう。

「お前、今…コラさんって…」

「いいから食え!朝メシ!」

面と向かって聞かれるとどうしても恥ずかしくなってやっぱりぶっきらぼうになってしまう。

そんなおれにコラさんは噛み締めるように、本当に嬉しそうに笑ってくれたのだ。

「…コラさん、手止まってる」

その後一緒に朝食を食べ始めたが、ちょくちょくフリーズしてしまうコラさんに指摘すると彼はハッとして食べ始める。

しかしまたフリーズしてしまう。

そんなにおれがコラさんって呼ぶの変なのかな…。

不安になってきてフリーズしている彼にコラソンと呼んでみた。するとどうだろう。

「…」

とてもしゅんとして顔をシワシワにしていくではないか。慌ててコラさんと呼び直すと少しフリーズした後、それはそれは嬉しそうにニヤケ顔を晒した。

食事が終わる頃にはフリーズ期間は過ぎていったが、今度はニヤケ顔が止まらなくなっていた。そしてローにコラさん呼びを強請るようになった。

「コラさん」

「ん〜〜」

「コラさん…」

「ん〜〜」

「こ、コラさん………っ」

「ん〜〜〜〜」

何度もリクエストされると流石に嫌気が差してくる。それに電伝虫が鳴り始めたのにそれでも強請ってくるのだ。

「おいコラさん!コラさんってば!」

「ん〜〜、いい響き!もう一回頼む」

「知るかッ!!」

つい怒鳴ってしまうもコラさんは「ふふん♪照れちゃって」と締まりのない顔を更にデレデレさせている。

「いいから取れ!電伝虫!!」

いい加減うざくなってせっつくとようやく電伝虫を取ってくれた。

「俺だ、コラソン」

相手はドフラミンゴだった。コラさんの表情が途端に険しくなる。

「コラソン、お前だな?」

コラさんが電伝虫を指先で3回叩いた。「イエス」のサインだ。

「お前らが飛び出してもう半年だ。ローも一緒か?」

半年前はあれだけ聞きたかった声にどこか恐ろしさを感じてローはゴクリと唾を飲み込んだ。コラさんが3回叩く。

「そうか、二人とも無事でなによりだ。いい医者はいたのか?」

その質問にコラさんが2回叩いた。「ノー」のサインだ。

「…だろうな。ローを連れて船に戻れ。病気を治せるかもしれない」

「えっ!」

思わず声を上げていた。治療法なんて無いし医者もこれまでの通りだったので衝撃だった。電伝虫の向こうで笑う気配がする。

「オペオペの実の情報を手に入れた」

その言葉にコラさんの表情が驚愕に染まった。

「海軍に巨額の金を提示されて価値を知らねえ馬鹿な海賊が取引に応じるようだ。…政府が必ず裏で糸を引いてる。危険だがこれを奪う」

以前ドフラミンゴが言っていた珀鉛病を治せる悪魔の実についてだった。そんなものが本当に存在したのかとローも驚きを隠せない。

「手に入れたら、能力の性質上最も信頼できる者がこれを食う必要がある。……お前が食え、コラソン。そして、ローの病気を治すんだ」

そこまで言って電伝虫は切られた。受話器を置いたコラさんは衝撃が大きかったのか俯いて黙り込んでいる。

「コラさん…?」

心配になって呼びかけるとその顔がぱっと上がった。

「喜べ!ロー!!」

そしてぱぁぁと顔を輝かせるとローの両脇に手を差し入れて持ち上げた。そのままくるくると回り始める。

「生きられる可能性はある!!医者なんかもういい!!オペオペの実が手に入ればお前の珀鉛病もきっと治る!!」

とても嬉しそうなコラさんによく分かっていないローは置いてけぼりになっていた。

「オペオペの実って?」

「人体改造能力だ。奇跡的なオペで未知の病気も治せるらしい!」

「そんな…!魔法みたいなこと…」

「そうさ!魔法じゃねえ、医療の知識がいる」

そこまで言っていきなり手を離されたため危うく地面に激突するところだった。上手く着地するとコラさんが覗き込んでくる。

「俺は知ってるぞ。お前はフレバンスの人達から信頼が厚かった医者の息子!物心ついた時から医療の知識や技術の手解きを受けてきたんだろ!?」

「そうだけど、何の関係が?」

「だから!お前が食うのに打ってつけなんだ!!」

断言するコラさんに「おれ!?」と素っ頓狂な声を出してしまう。ドフラミンゴはコラさんに食わせるって言ってたのに?

コラさんはゆっくりと首を振った。

「悪魔の実は二つ食えば死んじまう。ドフィは俺が能力者だと知らねえからそう言ったんだ」

何も言えないローにコラさんは続ける。

「俺もお前も、もうファミリーには戻らねえ」

「えっ」

また素っ頓狂な声を出してしまった。今日は驚いてばっかりな気がする。

コラさんは背を向けて煙草の煙を吐き出した。

「この旅が長引いた時から、そう決めてた。ドフィはもう、俺のことを裏切り者だと見抜いているはずだ」

「けど、そんな風には…。コラさんに食えって言ってたし」

「ドフィがオペオペの実を食えと言うのには、もう一つ意味がある」

被せるように言うコラさんだが、もう一つの意味については話さない。

(ドフィ…。逆らえねえ俺を犠牲に永遠の命を得るハラなんだろう?…戻れば殺される)

兄の魂胆は分かっていた。だからこそ、この実はローに食べさせなければならないのだ。

「いいか!ドフィ達を出し抜き、オペオペの実は俺達が横取りするんだ!!」

あまりに真剣な声音で言うものだからローは思わず気圧された。

「実はお前が食え!病気が治ったら二人でどこかに身を隠そう」

すぐには答えられなかった。ずっと、もうすぐ死ぬとばかり思っていたから今後のことが全く想像出来なかった。

「舟を出す準備をしろ、オペオペの実は必ず手に入れる!」

コラさんはローの肩から手を離して後ろを向いた。電伝虫の番号を押して誰かに掛けているようだ。

言われた通りに準備に取り掛かる。呼び出し音の後、受話器の向こうからいつか聞いた声が聞こえてきた。

「お〜か〜き〜!」

「あられ、俺です」

「ロシナンテ!久しぶりだなぁ、心配したぞ!」

相手は旅の初めに電伝虫していたコラさんと親しそうな人だった。他に誰かいるのか、言い争うような声が聞こえて騒がしくなった。

「今止めときましょうか?センゴクさん」

コラさんも困ったような声で話している。しばらくして相手側の騒がしさは収まった。

「…いいですか?……オペオペの実の取り引きの情報がありますか?」

コラさんの言葉に向こうで何かを噴き出す音が聞こえてきた。コラさんがまた困ったような雰囲気になる。

「兄が情報を得ています」

「何ィ!?トップシークレットだぞ!?」

相手がヒソヒソと声を抑えた。それほどにその情報はやばいのだろうか。

(コラさんの電伝虫の相手って…)

聞いたことがある名前だった。とても有名な人だからその名前はローも知っていた。その人は確か…。

「相手の海賊の動きを知りたいんです」

取り引きについての情報を聞いているコラさんを横目で眺めながら準備をしていると、目の前の景色が霞んできた。頭もふらふらしてきた気がする。


「取り引きの日取りと場所は?」

「3週間後の北の海、ルーベックだ」

コラソンは地図に印を書き込んでいく。

「俺とドフィ達はその3日前、スワロー島で合流することになってます」

「3日前か…。その日確実にファミリー全員が戦闘待機しているはずだな。…いい情報だ。ドフラミンゴもここまでだ!スワロー島で待ち伏せて、ドンキホーテファミリーを一網打尽にする!お前は島に近付くな」

センゴクの言葉に了承の意を返しながらコラソンは心を痛めていた。

(すみません、センゴクさん…あなたに嘘をつきます)

「ドフィと裏で繋がってた大物達やあらゆる商売相手のリストは、後日確実に渡します。…北の海の闇も、十分暴けるでしょう」

「そうか、ご苦労」

受話器を置いて通話を終える。

「おいロー、準備は出来たか?すぐに海へ…」

電伝虫を片付けながら振り返ってコラソンは絶叫した。

「ロォー!!!!」

ローが倒れていた。すぐに駆け寄って彼を揺さぶるも目を覚まさない。

「おい、おい!!嘘だろ!?しっかりしろ!!」

うつ伏せになっているローを仰向けにすると真っ赤な顔で荒く息を吐いていた。

「やっと可能性が見つかったって時に!!まだ3年も経ってねぇぞ!!お前の読みじゃ、もっと生きられるはずだろう!!!」

額に触れると酷く熱かった。こんな時にどうしたらいいのか分からないためコラソンはあたふたするしかなかった。

「どうすりゃいいんだ!?医者はどいつもこいつも使えねぇし…!どうすればいい!?教えてくれ、ロー!!」

ローに縋るも彼は苦しそうに顔を歪めて呻くだけで答えられそうにない。希望が絶望に塗り潰されていく感覚に、目の前が涙で滲んだ。

「何とか頼むよ…っ、あと3週間…、生きててくれよ…っ!!」

「チャンスをくれーーー!!!」

コラソンの叫びが空に響いた。


それからローの意識が戻ったのは翌日の夜だった。

「ロー、ロー!気が付いたか!」

隣で横になっていたコラさんが飛び起きて覗き込んでくる。彼に応えようとして、突然吐き気が込み上げてきた。体がとても重くて顔を下に向けることすら出来ない。

「コラさん、コラさん…気持ち悪い…っ」

「えっ!?大丈夫か?」

「吐く、体、下に向けて…」

「お、おう!」

コラさんが慌てて体を下に向けてくれた。寝床を汚さないように精一杯顔を離して、吐き気に従う。

苦しげに嘔吐く声と地を打つ水音にコラさんがあたふたと慌てている。一度吐いても収まらない吐き気に涙も滲んできた。

「ロー!俺に何か出来ることはないか?」

「せなか、さすって…」

「分かった!」

背中をさすってくれているおかげで少し楽になった。しばらく嘔吐いて胃の中の物を吐いていると少しずつ落ち着いてきたのでもう大丈夫だと伝える。

「……ありがとう、コラさん。ちょっと楽になった」

吐いたばかりで酷い顔色のローが小さく笑った。

「本当に大丈夫なのか?」

「コラさん、水飲ませてほしい」

心配そうな彼に少し甘えたくなった。

囁くように言えば、コラさんが水筒を差し出してきた。飲み口をローの口元に持っていき、傾ける。しかし傾けすぎて勢い余った水が流れ込んできて、ローは激しく噎せた。

「あぁ、あぁ!!ロー!!!」

もっとコラさんがあたふたする。その様子がおかしくてゼェゼェと喘鳴を漏らしながらローはクスリと笑った。

「ほんと…っ、ドジだなぁ」

そう言うローの顔色は相変わらず悪い。

「……でも、ありがとう」

弱々しい笑顔を見て、コラソンは泣きそうになった。ローはまだ生きている。その事実にただ安堵していた。

「コラさん、あれやって…。安眠の術…」

疲れて眠たいんだと囁いたローにコラさんは任せろ!と指を鳴らした。周りの音が遮断されてローとコラさんの二人きりになる。重たい体を引き摺ってコラさんにぴたりと引っ付いた。雑音が消え去ってコラさんの温もりに包まれるこの空間が実は好きだった。

「えへへ、コラさんあったけぇ」

その胸に耳を寄せるとトクン、トクンと鼓動が聞こえてくる。壊れないようにそっと抱き締めてくるコラさんに今なら言えると思った。

「……なぁ、コラさん……」

「なんだ、ロー」

「おれ、コラさんの能力、カッコイイって思ってるよ……」

「そうか、ありがとな」

嬉しそうなコラさんの声を聞きながらローは瞼を閉じる。眠りに落ちる寸前まで彼の心臓の音は途切れることなく鳴り続ける。それがとても安心する。

コラソンは黙ってローを抱き締めた。そして静かに泣いた。

それから数日間、ローは眠りと覚醒を繰り返した。その中で何度も気持ち悪くなって吐いてしまったが、その度にコラさんは背中をさすってローを看病してくれた。

吐き気が収まってきた頃、次は全身の痛みが出てくるようになった。

「うぅ…いてぇ、いてぇよ……」

弱々しく呻きながら全身を掻きむしるように藻掻くローに何もしてあげられないことが酷く悔しい。

「大丈夫か!?」

「コラさん、さすって…」

小さく強請るのにおっかなびっくりに体をさすってやるとローは小さく笑うのだ。

「コラさんの手、あったけぇから楽になったよ」

本当はちっとも良くなってないはずなのに、看病の後ローは必ず笑った。そんな健気な姿にまた涙が出そうになる。

「ロー、お前……っ」

泣きそうなコラソンの頭を撫でようとして、届かないので頬をよしよしと撫でてやる。その小さな手のほとんどが白い痣に侵されている事実に胸が張り裂けそうだった。

ローは、確実に死に向かっている。


ローが倒れてから2週間が過ぎた。

痛みも収まってきたようでローが起きていられる時間が少し増えた。今はそれだけでも涙が出そうなほど嬉しい。

しかし熱だけは下がらなかった。高熱に真っ赤な顔で息を荒らげている姿を見ると辛くて堪らない。

「ロー、大丈夫か?苦しいか?」

「ん、平気。コラさんは大丈夫…?」

一番辛いのはお前なのに何故こちらの心配をするのか。

「だってコラさん、おれが発作起こしてから全然寝てねぇだろ?この熱が下がれば、発作は終わるから少しでも休んで」

ローが優しく微笑みかけてくれる。あぁ、愛しい。こんなにも優しい子に俺は何をしてあげられるのだろう。

「俺は頑丈だから、心配しなくても平気さ!それよりも、本当に大丈夫か?何かしてほしいことはないか?」

俺の言葉にローが少し考え込むように視線を外す。水平線へ向けられた視線が戻ってくると躊躇いがちに口を開いた。

「してほしいことは大丈夫かな。……なぁ、コラさん」

少し緊張した面持ちで呼んでくる彼に首を傾げる。

「どうした?」

「えっと……もしさ、病気が治ったらなんだけど…」

ローが『今後』の話をするのは初めてだった。彼にも生きたいという気力が湧いてきたのだろうか。コラソンは急かさず待った。

「もし生き延びることができたら、あの時の傷治すよ。……刺してごめん」

一瞬何のことを言われているか分からなかったが、申し訳なさそうに俯くローを見てようやく思い出す。

「あぁ、いいんだ。気にするな!」

「でも、あれ、痛かっただろ?…深く刺したから傷は絶対残ってる」

言いながらどんどん暗い顔になっていくローに慌ててフォローを入れる。

「大丈夫だって!!ほら!もう動かしても痛くねぇし!」

おどけるように大袈裟に動かしてアピールするとローの顔がほんの少し明るくなった。良かった。

「でも、治させてよ。病気が治って最初の患者はコラさんがいいんだ」

「……分かった」

ローが真剣な顔をするので思わず承諾してしまった。

「約束な」

嬉しそうなローにつられてコラソンも笑顔になる。この子の願いならどんなことでも叶えてやりたいと思った。そのために必ずオペオペの実を手に入れよう。

「さ、ロー。そろそろ寝ようか。…“お前を安眠させるの術”だ」

パチンと指を鳴らして横になる。すぐにピタリとくっ付いてくるローが可愛くて仕方がない。

目が合って二人で笑い合った。

「おやすみ、コラさん」

「おやすみ、ロー」

腕の中の温もりをしっかりと抱えて目を閉じる。絶対に守らなければと決意した。

絶対に、守り抜いてみせる。

絶対に、生かしてみせる。

運命の日まで1週間を切っていた。


取り引き3日前になった。あれからローの体調は再び悪化して寝込んでしまっていた。そんな状態のローを置いていくわけにもいかず、連れて海に出たがこんな時に限って大時化だった。荒れ狂う波に飲み込まれないよう必死に帆を張る縄を引っ張って、腕の中のローが濡れないように抱え込む。

「コラさん…」

「ロー!気が付いたか!」

腕の中のローが薄らと目を開けていた。弱々しく囁くその声を聞き漏らさないように耳を寄せる。

「『政府』は…おれ達が死ぬこと知ってて…金のために珀鉛を掘らせたんだ…」

ローの口から明かされるフレバンスの真実にコラソンは息を呑む。

「おれも家族も白い町も…政府が殺したんだ…!」

コラソンがグゥと喉を詰まらせた。

「だからもしコラさんがその仲間の海兵なら…正直に言ってくれ…」

口調や声音は淡々としていたが、その胸中を考えると心臓を突き刺されたような痛みが走る。

ごめんな、ロー。でも、俺はお前に嫌われたくねぇんだ。

「バカいえ!俺は海兵じゃねェ!!」

だから嘘をついた。ローを傷付けないために。ローに嫌われることを恐れるちっぽけな己を守るために。

ロー。お前の前では『海兵ロシナンテ』じゃなくて『コラさん』でいたいんだ。

目を逸らさず真っ直ぐに告げる。そんなコラソンにどう思ったのか分からないが、しばらく沈黙した後ローはほころぶように破顔した。年相応の子供らしい笑顔だった。

「…よかった」

安心したように笑うローに言い聞かせるように続ける。

「それ所かよく理解しとけ…!オペオペの実を盗むって事は…!!『ドフラミンゴ』も『海軍』も『政府』もみんなを敵に回すって事だ!!生きるのにも覚悟しとけ!!」

半分は自分に言い聞かせるように言っていた。そうだ。海軍を敵に回すということは、センゴクさんを、俺をここまで育ててくれた恩人を裏切るってことだ。

でも、だからこそ、あなたから受けた愛を、俺はローに与えたいんです。

この子が笑って生きられるように。

幸せになれる未来を、掴み取れるように。

「……わかった」

コラソンの言葉にローはしっかりと頷いて目を閉じた。体が辛くなったのだろう。ローがこれ以上濡れないようにコートの中に庇いながら、ミニオン島を目指した。

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