第一話 2つのきねんび
今日初めてルフィとセ……うんまあとにかくする。
ルフィと正式に付き合い始めたのは少し前の事だけれどそういう機会がなかったというか、一歩進んでしまったら昔ながらの関係が大きく変わってしまいそうでお互い無意識に避けていたのかもしれない。
なのになんですることになったかというと、ルフィからお誘いがあったからだ。
ルフィとのデートを終えてあたりもすっかり暗くなった頃、いつになく緊張した顔で、今まで見た事もないくらい不安を押し殺した表情で、最後には嫌なら断ってくれ、無理強いはしたくない。なんて言っちゃってさ。
私が断るわけないじゃん? ルフィの事は昔も今も大好きなのに。いや、やっぱり昔より大好きな気持ちは大きくなってるかな?
そうして今私はルフィの部屋で彼を待っている。
帰り道の記憶がすっぱりと抜け落ちてるのはやはり緊張しているせいだろうか? 先にシャワーを使わせてもらったのはおぼろげに覚えてはいるけれど……かえってその記憶がある分、今シャワーを浴びてるであろうルフィを生々しく想像してしまう。
いやいやいやいや。と頭を振り妄想の中のルフィを霧散させているとガチャリと部屋のドアを開けてルフィが戻ってきた。
あわっ、ルフィが隣に座ってきたなんか喋ってる気がするけどよくわかんないお風呂上がりのいい香りがするなあいやそうじゃない体温も感じるじゃなくてえちょっとまってルフィなんで肩掴むの顔近くないちょっと待ってまってまっ――。
……。……はっ!?
やばい、ちょっとぼーっとしてた。た、ただのキスのはずなのになんでこんな!?なんて混乱してる間にもルフィの攻勢は止まらない。
気づいたら口の中にルフィの舌が入ってきて蹂躙されてるし、いつの間にか服をするする脱がされた上にあちこち触られてるし。
でも、ルフィだから嫌じゃない。むしろとても幸せな気分で私もルフィの舌に応戦したりあちこち触り返したりしてる。
キスを終えて唇を離した頃にはお互い息が荒くなっていたのは、慣れないディープキスで息継ぎのタイミングがわからなかっただけ。ではないと思う。
その後もルフィにリードを奪われたままあちこち愛撫された。私からも!と意気込んだもののそれはルフィに遮られた。いわく、俺はいいからウタの準備をしっかりしたい、とのこと。な、なんか全体的に余裕じゃないルフィ!?
そりゃあお互い初めて、つまり私は処女だから気遣ってくれてるのはわかるけど、逆を言えば私だってルフィを気持ちよくさせたいんだけど?と一悶着あったものの結局は押し切られてルフィにされるがままで……いよいよその時がやってきた。
ゴムをつけたルフィが入り口にあててきて、無理だと思ったら言ってくれ、無茶はさせたくないから。と、最終確認という感じで言ってきてくれたけど……そんなの私の答えは決まっている。最後までちゃんとして、って。
そうしてルフィが入ってくる。途中までは全然痛みを感じずこれならへーきかなーなんてのんきに思てたら激痛が走った。
っ……いったぁ……。いやほんと、なんでこんな痛いのよ。おかしいでしょ……。……でも、ルフィと繋がれた実感で胸が幸福感でいっぱいになる。
私の涙を痛みによるものと思ったのかルフィがすごく心配そうな顔でもうやめにするか? なんていってくる。まったくもう。
さすがに今すぐ動かれるのはちょっときついけど、さっきも答えた通り最後までしてほしいからやめないでと伝える。
しばらく抱き合ってお互いの温もりを感じながら過ごす。痛みが薄れたのか慣れたのか、動いてもらっても大丈夫そうなのでそう伝えるとぎこちなく、だけれどもやっぱり気遣うように動き始めた。
前戯の事といい今といいなんでそんなに余裕あるのかルフィだけズルイみたいなことをいったら余裕なんてない。ないけどそれ以上にウタを大事にしたいから気を張ってるんだ、なんてことを言ってた。
なあんだルフィ側もいっぱいいっぱいなんだと安心するのと同時に、そんな状態でも私を大事にしてくれるルフィがたまらなく愛おしくて嬉しくて、今度は自分からキスをする。
すると急にルフィが呻いて謝ってきた。なんで謝るの? と疑問に思う間もなく答えは判明する。
私の中でビクビクと跳ねるナニカ。たぶん、これルフィがイってる……?
何かを必死に堪えるように、それでも堪えきれないといった感じでルフィが体を震わせている。
そうして悪ぃ、ウタより先にイっちまっただなんて言って。
いや、私としてはルフィがちゃんと気持ちよくなってくれた証拠だし気にしないんだけどね? 恥ずかしいから言わないけど。
こうして私達二人の初めての夜は更けていった。
この時も実を言えば性的な快楽というものを感じていなかったのだが、初めてによる破瓜の痛みもあったし緊張やら多幸感やら感情の振れ幅も大きかったのでただ印象に残っていなかったのだと、当時はそう思っていた。
回数を重ねるうちにその内ちゃんと快感を得られるようになるのかな、なんてあり得ない未来に想いを馳せていたのだ。