競争

競争


「わたしの199連勝よ!」

「ウタはズルばっかするじゃねえか!おれの199連勝だ!」

「わたしは海賊だもん勝負に卑怯なんて言葉はないのよ!」

「なにぃ~!!!」

額がぶつかり合うほどの距離で言い合う二人。

ケンカと思うようなやり取りだが、これが二人なりのコミュニケーションなのだろう。

周囲の大人も止めるどころかニヤニヤ笑ったり、囃し立てている。

「じゃあ次の勝負に勝ったほうが200連勝だ!」

「望むところよ!」

バタバタとPARTYS BARから出ていく二人を見て、青白の髪の少女もまた立ち上がる。

「いつもすまねえな、トト」

「いいよ、あの二人の勝負 キライじゃないし」

青白の少女———トトに声をかけるシャンクスは、謝りながらもどこか穏やかに笑う。

そんな笑顔を背に、トトは二人のもとへ走り出した。



今日の二人の勝負は崖の早登りに決まった。

崖の上にある一輪の花を摘んだほうの勝ちだ。

ふんふんと鼻息の荒いルフィに、ルートをシュミレーションしているのか、崖をキョロキョロとみるウタ。

どうやら二人ともやる気満々のようだ。

「ヨーイ」

トトが片手を上げると二人は走り出す体勢になり。

「ドン!」

掛け声とともに二人は崖に飛びついた。

「うおおおおおおお!」

気合のままに最短距離で駆け上ろうとするルフィ。

「はっ・・ほっ・・・!」

シュミレーションが完了したのか、無駄のない足運びで進むウタ。

抜きつ抜かれつ、下で見てるトトが思わず感心するようなデッドヒートを繰り広げる。

中腹を越え、ゴールである花まであとわずか。

「おれの」

「わたしの」

「「勝ちだあああ!」」

ルフィが花弁を、ウタが茎を同時につかんだ。

まったくの同着。

案の定二人は言い合いを始める。

「おれの勝ちだ!」

「いいやわたしの勝ちよ!」

花をつかんだまま言い合いを始める二人。

「二人ともあぶないから、登りきるなり降りるなりしろって」

「おーい」

そう二人をたしなめるトトだが、ヒートアップした二人は止まらない。

そんな二人の勢いにとうとう耐えきれなくなったのか、花が根付いていた崖の一部がガラリと、音を立てて崩れた。

「「あ」」

支えを失い崖下に傾いていく二人。

この後に待つのは落下の痛みとケガ。

思わず涙目になる二人だったが。

「いわんこっちゃない」

と、いつの間にか崖上にいたトトが二人の腕をつかんでいた。

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