竜の囁き1
不当な読者これは前日譚だ。
赤髪海賊団がフーシャ村に訪れる前の話。
「おまえの顔は知ってるぞ。革命軍のリーダーだろ」
「やはり知っているか。ならば、私を捕まえるか? 『次世代の英雄』ルフィよ」
「やらねェ。もう海軍は辞めたし、わかりやすい悪党ってわけでもねェみたいだしな」
「そうか。・・・聞いておいてなんだが、海軍を辞めたことは知っていた。・・・思うところがあるならば、一緒に行かないか」
「さびれた村に何の用だと思っちゃいたが、おれをスカウトにきたのか。元海軍の有名人ってのがいいのか?」
「『元英雄』に価値がないと言えば嘘になる。それもあるが・・・最大の理由は、想いは同じではないかと思ったのだ」
ドラゴンは続ける。
「天竜人も暴虐を見たのだろう。正義を、民を守るはずの海軍の矛盾を感じただろう。・・・共に世界を変えていかないか」
「悪ぃ。今はそういう気分になれねェ。・・・今の海軍だったからこそ、助けられたやつもいるしな。海軍辞めて、すぐに革命軍ってのも違う気がしてよ」
「そうか。・・・ならばまた来よう。達者でな」
「おう。そっちも元気でな!」