空井サキの大脱走ショー

空井サキの大脱走ショー


「はあっ…はあっ…!」

必死の形相で廊下を走る少女、空井サキは次から次へと現れる追っ手を撒く事に全神経を集中させて次なる扉を開けた

サキが娼館に捕えられて一ヵ月が経ち、遂に脱出のチャンスを掴み走り続けていた

調教の途中であったがために身に着けているのは悪趣味な首輪だけ、それ以外は全裸というあられもない姿だが気にする余裕などない

今この瞬間にも罪のない少女達が獣の毒牙にかかっているのだ、一刻も早く脱出し、仲間達にこの情報を、そしてヴァルキューレやシャーレにも伝えなければならない

そのためにも、サキはなんとしても脱出をこなさなければならないのだ


幸いにもSRTで鍛え上げた技術は一ヵ月の調教でも衰えず『不思議なほど順調に』追っ手を逃れ脱出口へと近づくことができている

今回の調教の為に一度この施設の内部を歩かされたことが丁度良かった

「大丈夫だ…一旦この部屋でやり過ごし、次はBブロックまで走り抜ける、その後は出口まで一直線に…」

もう一度道順を確認する

記憶と相違ない場所、頭の中のマッピングの通りだ

「よし、ならすぐにこの部屋を出て…」

そこまで思考した所ではたと気付く

「…この、部屋は?」

壁に並べられたのは、銃

武器だ

所狭しと数多くの武器が規則的に並べられている

「ここは武器庫か!?なら!」

すぐに手近の武器を手に取ろうとし

「…!」

視界の端に捉えたのは、白

デフォルト色の銃の中で一際目立つその白色は、サキにとって見知った武器で

「どうしてこれがここに…!?」

RABBIT-26式機関銃…サキの愛用する、サキの為の武器

苦楽を共にしあまたの戦場を駆けた、相棒


罠を警戒してか恐る恐るといった風に銃を手に取り

慣れた手つきで簡単に銃を確認する

間違いなくサキの銃そのものであり、弾倉もしっかりとそのままだ

まさに鬼に金棒とはこのこと

「助かる…これなら!」

脱出までの道が、近づいてきた


……

………



遂に脱出口…出入口扉まで辿り着いた


扉までは一直線、しかし左右に壁は無く、暗闇に包まれている

真っ直ぐなその道だけは明るく照らされているが、だからこそ怪しい

罠を仕込むにはもってこいだ


「…来るのか?」


通路の手前で様子を伺うが、周囲は耳が痛くなるほどの静寂

物音ひとつ無い

だが相手が本格的な武装集団であれば、その程度の待ち伏せなど簡単にできる

どうする、どうすればいい


「行くしか、ない!」


覚悟を決める

幸い、と言って良いかはわからないが、奴らはサキのヘイローを壊すつもりは無いらしい

ならば、例え罠でも力づくで突破する事は可能なはずだ

なによりここでもたもたしていれば追っ手が来てしまう


愛銃を構え、教範通りに、走る!

真っ直ぐな道

扉まで、残り10メートル………5メートル……罠を仕掛けるなら、そろそろの筈だ

3メートル……1メートル……

扉の目の前に、辿り着く


周囲に罠は無い

わからない、が、悩んでいる暇はない

意を決して扉のノブに手をかけ、力いっぱい扉を開け


「…れ?」


瞬間、サキはその場にへたり込んでいた

おかしい、何が起こった?敵の攻撃か?

呆けたのも一瞬

サキは即座に立ち上がり、銃を構えて周囲を見渡す

相変わらずの静寂

攻撃ではない?


「一体なんなんだ…?」


再度、警戒しながら扉を開けようとノブに手をかけ


「うわっ!?」


力が、抜けた


全身の力が入らない


立つ事すらできない


「な、なんなんだ!?」


取り落とした愛銃を慌てて拾い上げ三度構えなおす


「この扉がおかしいのか?」

しかし確認した所で普通の扉との差異など見当たらない

もっと冷静に周りを―


「っ!!」


痛いほどの静寂に複数の足音が響く

追っ手だ、まもなくこの通路まで辿り着くだろう

もう発砲音を気にしてもいられない


サキは愛銃を構え、扉ごと吹き飛ばさんと引き金を


引き金を


引けなかった


「えっ?」


新兵が引き金を引けないという事はよく聞く話だ

だがサキは違う

今更そんな事は無い

ならば何故?


「くそっ!動け!動け!なんで!」


「それでは、ゲームセットです」

男の声が、響いた


瞬間





歓声


拍手




突如周囲を覆っていた闇が晴れ、そして静寂が嘘のように、大歓声と拍手が辺りを包み込む


「うっ!?」

突然の爆音と光に一瞬ひるむがすぐに持ち直す

この程度、慣れていた

だからその目の前に広がっていた光景を、すぐに直視できた

できてしまった

そこにあったのは



目、だった

あれはよく知っている

この一ヵ月、調教と称してサキの胸に、口に、性器に、菊門に、欲望をぶちまけてきた獣の、ギラギラとした目

欲にまみれた、男の目

それが無数に、数えきれないほど、通路の左右に、まるで…観客席のように

何百もの男が、汚らしい欲望を宿した目で、歓声を上げながら手を叩いている


「なんだ…これ…」


「さあ皆様、お楽しみ頂けたでしょうか!」

サキよりも遥かに大きく、スーツを着込んだ優男

あの男はよく知っている

サキを捕え、調教を指示し、常にサキを監視していた男


「お前…!」

すぐに銃を構えようとするが、おかしい

身体が、動かない

指だけではない、腕も、足も、胴も、何もかもが動かない


「いやあ、実に素晴らしかったですよ!」

ともすれば人好きの良さそうな笑顔を張り付けた優男は、大げさに両手を振り上げサキの方へと歩く

「調教前の施設の移動で頭の中に地図を作り!」

いきなり、何を言っている

「扉に鍵がかかっていないことを知りつつもタイミングを計り!」

当然だ、確実に逃げられる時を待って

「数々の追っ手を搔い潜り!」

待て、この男は

「武器庫にて自らの銃を手にして!」

なんで

「まさに鬼に金棒!獅子奮迅の働きを見せて遂にこの場所まで辿り着いたのです!」

私の動きを、知っている?


「さあ!今一度この勇敢な少女に惜しみない拍手を!!!」


再びの大歓声

だがそれは気持ちのいいものではない

薄汚れた性欲にまみれたヘドロのような歓声だ


「実に素晴らしい…ショーでしたよ」

男は、サキの目を見た


「何を…何を言ってる!」

何度も銃を構えようとするが、やはり腕が動かない

なんで、なんで!


「見ての通りですよ?…ああ、もしやまだお判りになられていない?それでは仕方がありませんね」

優男はサキの横を通り抜け、扉に触れる


「さあ、こちらをごらんなさい」

腕を掴まれ、その瞬間

これまで動かなかったサキの身体がスムーズに動き、扉へと身体を向けた

瞬時に銃を構えようとするが、サキの強い意志に反して身体はその動きを終えるとピクリとも動かなかった

そして、あの優男は扉のノブに手をかけ

扉を、開き

その先には、外が


「な、ん…で…?」


そこは、円状のステージ

通路と同様に、周囲には大勢の観客が欲望を垂れ流し

まるで、主役の登場を今か今かと待ちかねた、舞台のように

明るいライトで照らされていた


「私に…何をした」


必死に睨みつける

弱味を見せるわけにはいかない

これは幻覚か?それとも催眠術の類か?

ゲヘナでは催眠術を使う生徒もいると聞く

もしこれが現実でないなら、すべての説明が


「不思議に思わなかったのですか?」


男は、ゆっくりとサキへと顔を近づける


「都合よく、逃げおおせると」


「都合よく、事が運ぶと」


「不思議に、思わなかったのですか?」


男の顔が、サキの目の前まで迫る


「実に刺激的で、感動的で、魅惑的な、最高のショーでしたよ」



「ショー…?」


ショー

見世物

茶番


サキの必死の逃走劇は

全て

この男の


「お前ぇぇぇぇぇ!!!」

わからない

わからないが、殴る、とにかく殴る!

なのに身体が動かない

指先1つ動かない!なんで!


サキは怒りの形相を見せながらも身じろぎすらできなかった


「その首輪、ですよ」

男はビシィ!とでも擬音が聞こえてくるような、大げさで、見栄を切った動きで、サキの首に付けられたそれを指さした

無骨な、少女には似つかわしくない、奴隷を表す首輪


それが、なんだと


「さあ、歩きなさい」


男は、ステージの中心を指さす


「いきなり何を言っ!?」

先ほどまで指先1つ動かせなかった体が、再び動き出す

目の前のステージへと、一歩、一歩と歩みだす

サキがどれだけ強く体を動かそうとも動かせなかった体が、勝手に動く

まるで自分の身体ではないかのように


「くそっ!くそっ!こんな、こんなこと!」


せめてもの抵抗として男を睨みつけるが、当の男はどこ吹く風

サキを気にすることも無く、ともにステージの真ん中へと歩みを進める


「さあそれでは皆様、事前にご説明した通りこちらの首輪、生徒の身体を自由に制御するというシロモノでございます」


生徒の、身体を、自由に、制御、する?


情報を一つ一つかみ砕く

この男は、何を、言っている?


「では早速、実践してみましょう!」

観客へ向けてオーバーな身振り手振りでアピールをしていた優男はくるりとサキを見やり

先ほどまでとは打って変わって静かな動きで

底冷えするような声で、言った

「その手の銃で、自慰をしなさい」


「な、な、何をっ言って!?」


今この男は何と言った!?

何を…バカな事を!


「わかりませんか?マスターベーション、オナニー…まあ何でも構いませんが、その銃を使って、自らの手で、自分自身を絶頂させなさいと言っているのですよ」


「ふざけるなっ!」

即答する

そんなことをするわけがない

調教によって無理矢理性知識を植え付けられはしたが、だからといってそんなことを自分の意思でするほど落ちぶれてはいない

サキは強い意志を持って男を睨みつけ、今度こそ銃を構えようと


「イ゛ッ!?」


ぐちゃり


ぶしゃあ


「わ、わたっ!?私、なにっ!してぇ!?」

見れば、サキは自らの愛銃に跨り、股間を擦り付け肉芽を潰すように腰を前後に、前後に、前後に、前後に

「とまっとまれぇ゛!いやだっ!いや、イ゛ッ!」

サキの秘部はとめどなく蜜を溢れさせ、愛銃の銃身をべたべたに濡らしていく

一ヵ月に渡り繰り返されたその調教で、いともたやすく絶頂へと昇り詰める

その大きな胸を振り回すほどに感じながら愛銃を汚す

胸の先端は痛々しいほどに大きく膨れあがり、ついにはサキの瞳からは涙がこぼれ落ちる

止めたい、止まって、強く願ったところで身体は止まらない

何度も何度も絶頂を迎えそして愛銃はぐちゃぐちゃな姿になっていく


それからほんの僅かな時間だったかもしれないし、長い長い時間がたったのかもしれない

男が両手を振り上げた

「そのくらいで良いでしょう」


「っぁっはあ…はぁ…」

金属音と水音がこだまする

サキの両手から力が抜け、愛銃が床に転がった


何も考えられない、何も考えたくない、サキの心はそれでいっぱいになっていた

限界に近いのだろう

だから

「それでは、最後の余興をご覧いれましょう」

男はどこからともなくリボルバー式の拳銃を取り出していた

六発装填の、簡素な拳銃

大した威力もなさそうだ

それをやけに仰々しく、銃身を握り

サキへとグリップを差し出す

「さあ、これを手に取って」

言われるがままに、サキはその銃を手に取る


これは、チャンスだ


あの男を撃つ


それだけでも



「では、その銃で」



「あなたの愛用した銃を、撃って下さい」



「は?」

表情が、抜け落ちた


この男は何を言っている?

そんなことをするわけがない!


これはチャンスだ、今、この男を撃つ


「もはやこの少女に銃は必要ありませんからね、ここで!自ら!捨て去って頂きましょう!さあ皆様ご清聴!!!」

仰々しく観客の方へ向きなおり、サキに背中を向ける男

無防備な背中を打ち抜く程度、造作も無い


撃鉄を起こせ


トリガーに指をかけろ


狙いを定めて




「あなたの銃を、壊しなさい」




乾いた音が、響き渡った





サキの手にあるのは、弾の切れた拳銃


サキの足元にあるのは、幾多の苦難を共にした愛銃

その、残骸

正確に重要な箇所を打ち抜かれたそれはもう、新しい銃を用意した方が早いだろうことは容易く見て取れる


男へと狙いをつけようとした

だが、できなかった

どれだけ動かそうとしても、どれだけ力を込めても

一センチも動かせず、撃ち抜いた


まるで、思い出も、信念も、何もかもが壊されたような、そんな錯覚すら覚える


「う…あぁ…」

膝を、ついた

身体は、自由だ

なのに、動かない

鉛のように、重い


それが、調教の成果、心に刻み込まれた恐怖と無力感の種が芽吹いたとは、サキは気付かない


「なん…で…」

小さく呟いた言葉は、歓声にかき消された


「素晴らしい!素晴らしい最高のショーでした!この幼気な少女に改めて拍手を!」

優男はこれまでにないほどに大きく身振り手振り振り回し、そして


ゆっくりと、腕を下ろす

「皆様は、SRTという組織をよくご存じでしょう」

恭しく、語りだす

「目の上の瘤と申し上げますか、皆様の大切なお仕事を邪魔する悪い子供たち」

顔を上げたサキは、また涙をこぼした

「本日ご用意いたしましたはそのSRTに所属したRABBIT小隊!コールサインはRABBIT2!空井サキ!」

眩いばかりのスポットライトがサキを照らす

「しかしこの肉人形に名前など必要でしょうか?」

気付けば男はサキの背後に

「これはもう人ではありませんとも…そう、皆様の性欲を満たす為だけにある、ただの雌兎」

サキの右腕が掴まれた

「この雌兎を味わいたいと、あのSRTを服従させたいと思うお客様!」

無理矢理に立ち上がらされる

「是非!壇上へお越しください!その欲を!この雌兎に!」


「…あ」

サキの目の前には、醜い男たちが

薬の類なのかその下半身にはまるでサキの腕ほどもあるような肉棒をぶら下げ

下品な笑みを浮かべながらサキへと近寄る


普段のサキであれば武器が無くとも倒せるような醜い男だ

だというのに、サキは立っている事がやっとで


「それでは皆様、お楽しみください!」

優男のその号令が響き

醜い獣は一斉に兎へと群がる

サキの肌も見えず、ヘイローすらも醜い肉の塊に埋まっていく


「あああぁあああ!!!」

前戯も何もない

我先にとサキの穴を奪い取ろうとし、その肉棒を埋めこみ、服従させようとする

「やっ、やめっ!やめろお゛っ!?い゛や゛っ!イ゛ッッ!!おぐぶぉぉああぁ!」

サキは自分がどんな体勢をしているのか、自分がどうなっているのか、理解できなかった

その大きな胸を乱暴に揉みしだかれ、絞られ、先端を噛みつかれ、無理矢理吸われ

短めの髪を無理に肉棒に巻き付け、しごき、白濁液を髪に染み込ませ

乱暴なキスをされたと思えば次は肉棒を口に入れられ、喉の奥まで入り込み息もできずえずき

本来は神聖であるべき胎は既に誰ともしれぬ精液を詰め込まれ、どころか子袋にまでその長大な肉棒が侵入し、それさえも快楽になる始末

尻の穴にも容赦なく挿入され望まぬ絶頂を、性器ですらない排泄器官が快楽に壊れる様をまざまざと感じ

外から腹を握られているだけだというのにその下にある子宮にまで衝撃が届き

腕も、足も、背中も、そのすべてに触れるものが快楽に変換され


空井サキの人生は、ここで終わり

これからは、雌兎として男たちを悦ばせるのだろう









<補足>

空井サキ:ブラックマーケットの違法娼館がテロに乗じて『仕入れ』を行おうとしていたところに偶然遭遇し戦闘

モブを全員逃がすが代わりに捕まった

この後も何度か逃走を繰り返すがそのすべてが娼館側のマッチポンプであり見世物にされ、最終的にほぼ心が折れて「適度に反抗してくれる雌兎」としてその手の趣味の男達に人気の娼婦となる

仲間達も必死に捜索していたのだが、果たして情報を掴めたのかは不明


優男:オリキャラ、女を直接犯すよりも様々な道具や人を手配し劇場型芸術品に仕立て上げる事を好む調教師

エンターテイナーを自称し調教の過程もショーとして活用する

そのため調教中でも商売を行うことが可能で『予想外に仕入れ値が高くついた』商品から早急に資金回収をする為に調教を任されたりする

調教師としての技量も高いが、彼よりももっと優秀な女調教師もいるらしい

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