稲生、見えざる帝国のスパイ説
稲生・紅衣・メメ・虎屋のスレ主
稲生ひよ乃 今からおおよそ五百年前に死神として瀞霊廷に来た際に帝国よりスパイになるように脅しをかけられた結果帝国のスパイとなった人物である
普段は死神として過ごし現世と流魂街にある自身が起業した会社『稲生呉服店』から様々な情報を集めて報告している
そんな稲生は今日も報告のために多量のお土産を持って帝国へと舞い戻って来た
「来たようだね 荷物を運ぶのを手伝おう」
出迎えたのは殿下こと志島カワキである なぜこんな人物が迎えなどするかというと
「ああカワキちゃんか...手伝ったら酒は一本取って良いからの オススメは京楽が美味しいと言ってた日本酒じゃ」
『荷物を運ぶのを手伝えば一つ持って行っていい』という条件でカワキが子供の頃に一度お手伝いを頼んだところ最終的に貴重な酒の入手経路として気に入られてしまった
次に手伝いに来たのはバンビーズの面々とバルバロッサとヨルダである
「ああ お主らか..."ぴこぴこきゅーぶ"と"ぴこぴこあどばんす"を買っておるから遊ぶお主らがちゃんと運ぶんじゃぞ それ以外にもちゃんと運ぶ手伝いもせんとおまけは無いぞ」
「バンビちゃんは壊しちゃいそうだから僕が運ぶね~」
「しょうがねえ菓子の為だ」
ジジがゲーム機を率先して運びリルトットも後に続く
「出来るだけ持ってくね~」「僕も持っていくとしよう」
ミニーニャは大量の荷物を持ち一部をヨルダに渡し持って行かせる
バンビエッタとキャンディスは頼んでいた現世の化粧品の為にと渋々ながら比較的軽い物を運んでいる
「無理言ってごめんね稲生ばあさん 現世の物をバレずに運ぶの大変だったろうし」
「構わんよ "ばるばちゃん"..."ばんび"の奴にはイラついた時にゲーム機を爆破せんようにだけ注意はしておいておくれ 後おまけを取るのは"よるだちゃん"共々遠慮せずにとるんじゃぞ 仕事の対価はしっかりと受け取るべきじゃ」
...ヨルダの事は生まれた時から知っているし多少面倒は見ているが小さい頃から基本視線が胸ばかり見てくるので流石に恥ずかしい そのためちょっと苦手な稲生である
少ししてハッシュヴァルトに報告を済ませた稲生 この後はバンビーズの子たちに『すまぶら』なるものに誘われているので退室しようとしたがハッシュヴァルトに呼び止められた
「スパイの教師として志島カワキを教育しろ」
「えぇ...誰じゃそんなアホみたいな人選をしたのは」
「陛下だ」「"ゆーはばっは"か...」
ユーハバッハと呼び捨てにしたことにムッとした表情を見せたハッシュヴァルトだったがひとまず置いておいてカワキが呼び出された 日本酒片手にである
「君のスパイとしての実力はハッシュヴァルトから聞いている
・現世と流魂街の両方へと影響を持つ企業の設立と保持
・浦原喜助 藍染惣右介 更木剣八などの特記戦力との交流を持ち現在も保持
・敵組織に所属しながら適度に何処にいても違和感の無い立ち位置を確立
本来木っ端の使い捨てをハッシュヴァルトが想定していながら今ではこちらから手出しが難しい存在となった君の手腕を知っておきたくてね」
今現在では稲生は浦原と涅により病気などの理由から定期的に身体チェックがなされており 何かあればすぐにその二人に気づかれる可能性があるため手出しできない面倒かつ有能な駒となっている
カワキからすれば是非とも参考にしたい一例だ ついでに滅却師でありながら死神になった点も気になっている
「わかったのじゃ "はっしゅう゛ぁると"からの命でもあるし受ける事にするぞ...それでスパイするにしても偽装はどういう物になるのじゃ"はっしゅう゛ぁると"?」
「高校生だ」
それを聞いて斬魄刀を少し触れる カワキの持っていた日本酒の瓶が割れ鴉が飛び出した
「"かわきちゃん"今日から酒は飲まさん これから二十四時間三百六十五日全力で飲酒を止めるぞ」
「そうか どうやら私は君を殺さなくてはならないらしい」
「私闘はやめろ!どういうつもりだ稲生...」
「いや高校生は飲酒したら補導されかねんし無理やりにでも取り上げんとこの子は止められんじゃろう...もちろんお主が言い出したのじゃから協力はしてもらうぞ"はっしゅう゛ぁると"」
高校生に化けるというのだから本来当然であるのだが
ひとまず殺気立つカワキを落ち着かせてその場は解散となった
一度解散した後に稲生は廊下を進むカワキの前に立った
「まだ何か用かな」
「あやつには聞かせられん話じゃからここで話そうと思ってな
飲酒に関してじゃが吾からひとまず三つ選択肢を出そう
1.しっかり禁酒して密偵を行う間だけでも酒を止める
2.帝国の滅却師全てを出し抜いて酒を飲む技量を身に着ける
3.もはや酒飲んでる方がマシと思わせるような話術や策略を練る
吾から出すのはひとまずこれじゃ 他にもお主が考えて実行してみると良い」
その話を聞いてカワキの殺気が幾分か落ち着く
「...そうか これ自体が修練のようなものという事だね」
「そういう事じゃ 吾は他にも協力者を募り警戒を強める お酒を飲みたければしっかり考えて動くんじゃな」
そう言って稲生はその場を後にした カワキはもう次に酒を飲むためにどうするかで頭がいっぱいになった