禪院晴と禪院昴の邂逅妄想。
禪院晴作者※これは禪院晴作者が書いたものです。昴ちゃん作者さんと違いが生まれるかも。ご注意を。
※時系列としては懐玉・玉折編のあとくらいでお願いします。
晴「わぁ…どうしちゃったのかしら」
禪院家に戻るとそこは見違えるほど荒れていた。家具は倒れ、壁や床に所々穴が空いている。事情くらい聞きにいくか〜と、禪院直毘人のところへ足を運ぶ。廊下の曲がり角を曲がった時だった。誰かが向こうから走ってくる。逃げているのか?見ればそれは子供だ。まだ幼い少女だった。奥からもう一人走ってくるあれは…禪院直哉だ。
直哉「晴!そいつ止めぇや!」
晴「この子?」
向かってくるその後の背後を取り、手刀で気絶させる。力なく倒れたその子を直哉に押し付けるとと晴は直毘人のところへ行った。
晴「父様?知らない子がいたんだけど…」
直毘人「あいつは禪院昴。引き取った。直哉の妻になる」
グビグビと酒を煽る直毘人。相変わらずの飲みっぷりと言われた言葉に晴の口からため息が出た。直毘人は何か思いついたのか、晴に向けてこう言った。
直毘人「そういえば、昴の術式はお前と似ておるな…よし晴、お前が世話をしろ」
晴「嫌よ、面倒臭い」
物怖じせずスパッと断る晴。子守りなど面倒だ。しかし直毘人も直毘人、しつこくせがむので結局は子守りをしなければならなくなった。直毘人から聞けばその子は晴と同じ魂を操る術式だとか。しかし晴よりかは汎用性は低い。触れられなければ使えないし、術式コピーもできない。簡単に言って下位互換(昴ちゃんごめん…)晴は直哉からその子を預かる。
直哉「よかったやん。似たもん同士仲良くしぃや」
晴「(殺したいわね、この笑顔)」
ご機嫌な直哉を見て静かに殺意を向ける晴だった。昴はまだ腕の中で眠っている。仕方がないので自室に放っておく。
晴「魂霊呪法」
昴の魂を取り出す。そしてあるところを変形させた。これで体が動かなくなるので暴れる心配はないだろう。
昴「…!(体動かへん、ちゅうかこの人誰?)」
晴「あら、目が覚めた?私は禪院晴。貴方のお世話を頼まれたの。暴れられるは嫌だから動けないようにしたわ。貴方、兄様の妻なんでしょう?こんな小さい子が兄様のねぇ…かわいそう」
あんな兄の妻にこんな少女を…考えただけで辛くなる。晴はそう思った。
昴「…うちの体を治して」
晴「暴れないって約束…いや、縛りね。暴れたらあなたの体は二度と動かない…守れる?」
昴「分かった、約束する」
「魂霊呪法」で昴の魂を治す。しっかり治ったようだ。体を動かす昴が晴に聞いた。
昴「みーくんはどこ?」
晴「みーくん?だぁれ?それ」
昴「知れへん?」
晴「知らなぁい」
どうやら直毘人は晴に言っていないことがあるようだ。「仕方ないから父様に聞きに行きましょう」と晴。昴を抱えまた直毘人の所へ。
直毘人「なんだ。随分懐いたな」
晴「そんなのじゃないわ。それより、みーくん?だったかしら。その子は?後この子誰の娘なの?」
直毘人「昴の父親は禪院甚爾だ。お前も懐いてただろう。そしてみーくん…片割れの方か?」
昴「どこにおるん?!」
抱えられた昴が直毘人へ一直線に走っていった。それだけ大切な人間なのだろうと晴は推測する。
直毘人「ここにはおらん。別の家で暮らしている」
昴「…ひとりで?」
直毘人「義理の姉と暮らしていると聞いている」
晴「(悲しむのかしら)」
晴はそう思ったが間違いのようだ。昴は飛び上がった。
昴「ひとりじゃないんだぁ!よかったぁー!」
それからも喜び部屋をグルグル走っていた。直毘人もこれは予想外だったようだったが、笑いながらまた酒を飲んでいた。走り回って疲れたのが昴は寝てしまった。まだ幼い子供なのだから仕方ないだろう。晴はまた昴を抱え自室に戻る。
直毘人「随分気に入ってるようだな。晴」
晴「気に入ってなんか…ないわ」
吐き捨てるように言い部屋を出る。昴を布団に寝かすと、晴は窓から外を見てため息をついた…
晴「気に入ってなんか…ない」