確かにそこに"有る"

確かにそこに"有る"

一般通過失踪先生


アル「ぁー。ぅあ…?あはは!」


…どうした物か…アルが死んだと聞き、便利屋の皆から笑顔が消えた…仕方のない事だ…彼女達の拠り所とも言える存在だったのだ…カヨコはずっと寝込んでおり私の所為だと言い続け、ハルカはずっと自殺しようとしている…ムツキが毎度止めてくれているが…彼女も…自分自身に怒り続けていた。メンタルケアをし続けているがそれでも彼女達が受けた傷を治すには到らなかった。

そんなある時の事…カンナからの依頼で娼館の調査を終えて帰ろうと思った時…処分しようとしてる場面に出くわした…何か情報は無いかと見に行った所…殆ど廃人となっているアルを見つけた。彼女を回収して私が元いた世界に連れて行ったが…彼女を救えるのか?わからない…だが…それでも…!!やらなくてはならない!彼女だけじゃなくカヨコ達も救わねば…ならないな…


1日目

アル「うぁ…?」

彼女を実家に運んだ初日…母さんには色々と誤魔化しを入れだけど何か納得してくれて助けてくれる事になった…だが彼女にご飯を用意しても食べる事は愚か食べたとしても吐いてしまう…どうにかしないと…


3日目

アル「あー…?」

クソッタレ!失礼。アルは精液以外を食す事が出来ない代わりに精液だけで栄養を補える身体になっていた…!やるしか無いのか…?本当に…?だが…これ以外に…方法は…

アル「ごっきゅっ…んっく…んく、ふぅ………」


7日目

アル「す、すいません…また割ってしまいました…」

"いや、問題ないよ。慣れていけばいい"

少しは喋れる様になってきたけど…それでも何処か拙い所はある…でも、少しずつ慣らしていこう。最近は精液だけでなく流動食…ゼリーとかも食べれる様になってきた


15日目

アル「ご、ご主人様…私は何をすれば…」

"そうだね…飯の支度を手伝ってはくれないか?"

アル「は、はい!只今!」

…薄々感づいていたけど彼女は昔の記憶を無くしている…どうにかして彼女の記憶を戻す方法はないだろうか…大人のカードを使って少しずつ改造を受けて酷くなった身体を治していっている…本来なら一気に治せるが…代償が怖くて少しずつにしている…やはり私は碌でも無い大人だ…


34日目

アル「私の銃…ですか……?」

"あぁ…君の銃、ワインレッド・アドマイアーだ"

アル「あ、ありがとうございます…!私なんかの為にこのような物を用意してくださるなんて…」

便利屋の皆を説得してアルが愛用していた銃を持ってきた…その時少し一悶着有ったが…仕方のない事だ…これで少しでも彼女の記憶が戻ると良いんだが…だが最近は固形食も食べられる様になってきたしリハビリは順調かな…?


53日目

アル「…おはようございます御主人様」

"おはようアル。今日もよろしく"

アル「…えぇ、よろしくお願いします」

未だに彼女の記憶が戻る様子はない…便利屋の皆に会わせるなどした方が良いか…?だが何かしら問題が起きたとしたら…もう少し安定してからが良いか…?だが彼女はリハビリの結果というべきかつての様に歩いたり喋ったり出来る様になった。喜ばしい事だ

……だが時折何処かから殺気を感じる…不足の事態に備えた方が良いかもしれないな…


68日目

ドパァンッッッ!

アル「はぁ…!はぁ……!ようやく隙を見せたわね…御託や綺麗事を並べていただけで此奴は屑なのよ…!私の身体を弄んだあのゲス野郎達と同じなのよ!!!だから今…ここで殺さないと…!此奴を殺して私は…ここから逃げ出さないと…そして…会わないと……誰に?でも行かなきゃ…」

"ガッ…アァ…"

アルの記憶は少しだけ戻った…だが…それが原因で私を殺しそうとして…私がかつて彼女に渡した銃で私を撃った……彼女の本能とも言うべきなのか…記憶が完全に戻っていないながらも便利屋の皆の所に帰ろうとしている…


"…ア、アル…"

アル「…!近寄らないで!!!」バッ

"(…私なんかの声は届かないのか…?…それでも)"


アル「貴方何かに手間取っている場合じゃないの!さっさと行かな………?ねぇ…私に何をしたの?」ツー

"な、何の事だ…?"


アル「最低よ貴方は!何もしてないと言った癖に!私に何をしたの!?貴方を殺して嬉しいはずなのに何で…何で涙が出てるの?!答えてよ!!」


"何もしてないさ…だがもうやり残した事はない…君は自由なんだ。だからこんな…ロクデナシな私の…俺の事なんて放っておいて何処へでも行くと良いさ。その資格が君にある"ギュ

アル「答えになってないわよ!私は貴方の何だっていうの!?何でそこまでして私に構うの!?なんで…なんで私をそうやって抱き締めるの!?貴方を騙し、撃ったのよ!?」


"確かに…矛盾していたね…でも…ずっとわかっていたんだ…最初から…こうするべきだったって……でも…怖かったんだ…話が脱線したね…私から見た君は…そうだね。見栄っ張りで…ポンコツでうっかりしている所があって…かつて君が目指していたハードボイルドなアウトローとは程遠い存在だ。でも…ハーブボイルドな…アウトローを目指す娘だっ……ガハッ……"ドサッ


アル「何………ぇ……あ…?せん、せい…?」


72日目

"……ここ、は一体…天国…ではな"

アル「先生!!」ギュウウウ


"ア、アル…?まさか記憶が戻って"


アル「ごめんなさい!先生が助けてくれたのにその恩を仇で返すような事をして!どれだけ謝っても許されないって事はわかってるの!でも…!でも…あの時…どうしようもないまでに堕ちた私を見つけてくれてありがとう…!ずっと私を護ってくれて…こんな私を…助けてくれてありがとう…!」


"…そんな事ないさ、もっと君に向き合うべきだった。そうすれば君を傷つける事は無かったさ…君を汚す事は無"

アル「なんでそうやって自分を卑下するの!?先生は私を助ける為に精一杯の事をしたんでしょう!?私を汚したって…それもどうしようもなかったからなんでしょ!?謝る必要なんて無いの!謝るなら私の方…私だけで充分なのよ!だから…もうそんなに貴方の事を悪く言わないで…」


それから一ヶ月後…

"おはようカヨコ"


カヨコ「…おはよう先生。今日は…皆静かだよ」


"そっか…今日も差し入れを…"


ムツキ「先生は良いよね…他にも助けるべき生徒が居るとかで…立ち直れるから…私達には…アルちゃんしか…心の拠り所が無いっていうのに…アルちゃんの銃だって…貴重な遺品だったのに…貸して欲しいって言ってからずっと返してないじゃん…!」


"…耳が痛いね。今回来たのは差し入れだけじゃなくて少しサプライズもあるんだ"


ハルカ「サプライズ…ですか…?で、ですがそのような事を用意されても…良い反応は…」


"大丈夫。特に気にしないで。さぁ…入ってきて"

ガチャ

アル「失礼するわ!皆今までごめ…ん…?」


カヨコ「…………………」

ムツキ「…………………」

ハルカ「…………………」


カヨコ・ムツキ・ハルカ「「「………社長?」」」


アル「え、えぇ私よ?それがどうし…」

カヨコ「社長!!!!」

ムツキ「アルちゃん!!!!!」

ハルカ「アル様!!!!!!!!」


アル「───────」

カヨコ・ムツキ・ハルカ「「「───────」」」


"…やはり私では役者不足だったようだね。先生はクールに去るとしよう"




"…ハァ"


アル「あら?今日の主役が何処に行ったのかと思ったのだけれどここに居たのね」


"…そのセリフをそのまま返そうか?私は…俺は主役とは程遠い人間さ。主役であるならば彼女達も…君の事ももっと良い方法で救えた筈だ…だから…主役なんて柄じゃない"


アル「その謙虚さは貴方の美徳でもあるけれど同時に欠点ね。貴方が見つけてくれなかったら私はここには居られなかったわ…だから、そんなに悲観しないで。

…私は貴方のそんな所に惹かれたのだから」


"そうか…それじゃあ、戻るとするか"


アル「えぇ、2人で帰りましょう…?

───私達の場所へ」

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