砂漠の夜風とささやかな喧騒
「…あ」
アビドス本校舎の上階、夜空の星がよく見える大きめの窓が設けられた三人の寝室に小さくホシノの声が響いた
いつも通り一緒に寝るつもりで集まっていたヒナとハナコが視線を向けると、既にパジャマに着替えてベッドに腰掛けていたホシノが手招きをしている
「ハナコちゃん、ヒナちゃん、ちょっとこっち来て〜」
「どうしたの?」
「なんでしょう?」
寄ってきた二人の手を、片手ずつホシノが握る
「うへ〜、ちょっとハンドクリーム出しすぎちゃってさ〜…だからはい、おすそわけ
砂漠は乾燥するからね〜、ハンドクリーム付けてるんだ〜」
言いながらもホシノは二人と指同士を絡めて手についたハンドクリームを塗りこんでいく、ついでに少し指や手のひらを小さな手で器用に握ってマッサージもしながら…
「ひゃぁっ……//」
その動きにハナコが小さく声を漏らす
変な声出さないでよ〜と言おうとホシノは顔を上げるが
ハナコは顔を真っ赤に染めていた
どうやら本当に思わず出た声のようだ
「ぁ…や、やっぱり一番えっちなのはホシノさんじゃないですか⁉︎」
「うへぇ⁉︎なんでぇ〜?ただハンドクリーム分けただけ…」
「そういう所よ、小鳥遊ホシノ」
「うへ〜……?」
寝る前のささやかな喧騒が
シロコちゃんにもこんなふうにハンドクリーム塗ってあげたっけ、とずきりとうずくホシノの胸の内を慰めてくれていた