眠り姫と予言の狐

眠り姫と予言の狐


『何だい、もう店仕舞いなのだが...む、

これはまたお呼びでないお客だね...』


『おや。ライバル店とはいえそのような

刺々しい呼び方はちくり、と心に来ます

まるで童話の眠り姫に刺さった、糸車の

針のように...ねぇ、百合園セイアさん』


『ツムギ...揶揄いなら間に合っているよ

何しろこっちは連日、エロリストたちが

各々勝手に創作しているものだからね...

まぁ...とりあえず入っておくれよ』


『では、失礼して。』


百合園セイアと椎名ツムギ、両者は

隣り合うライバル店の店主同士である

釣りに重きを置くバーボンセイア、

百合に重きを置くバーボンツムギ。

二店舗共に志は違えど、どちらにせよ

過酷についての素養は必要不可欠である


『ツムギ、君は最近私へのちょっかいが

だんだんとエスカレートしているような

気がするんだが...というか最近の流れを

確実にしたのは君も一枚噛んでるんだ、

私はそれを忘れていないのだからね?』


『そうでしょうか?むしろセイアさんが

私をだんだんと意識しているのでは...?

ええ、古代の絵物語などでも語られます

"最初こそ対立していた二人が、そのうち

少しずつその距離を近づけていく"ええ、

まさに白百合の咲くような、美しい逸話

ふふ...インスピレーションが沸きます』


『明日の仕込みを練っている所悪いが、

誠に残念ながら君は私の趣味ではないよ

揶揄いもほどほどにしたまえ...ツムギ』


『ふむ...では、あの夜の交わりは...?』


ツムギが、セイアへ二、三歩踏み寄る


『あの夜に熟れた柘榴のように弾けた、

互いに互いの心を揺さぶり合った、あの

情熱(パッショーネ)は...嘘だったと?』


更にもう三歩ずつツムギが歩み寄る

今や、二人は互いの体温が分かる距離で

その温かみに目を逸らそうとするのは、

目を閉じて横を向くセイアだけだった


『君...何か良くない物語を読んだのかい

そもそもあの夜はお互い流れで...っ!』


否定の言葉を紡ぐより早く、その唇を

ツムギが頭にそっと手を添えて奪った


『...まだ、ここに私は残っていますよ

貴女と注ぎ合った情熱の味が...ね』


『こ、この...!...良いだろう、ツムギ

そこまでするのなら、私にも考えがある

...ただ、それを君に教えるのには...

もう少し柔らかい背もたれが要るが...』



かち、かち...と時計の音が鳴り響く

時刻は既に、消灯時間を上回っていた



『...手が止まったね、日和ったかな?

それなら私はこれで...っ』


『いえ、少しあの時の事を思い出し...

セイアさんの柔さを手に描き起こして、

少しばかり確かめるつもりでした』


『表現が生々しいよ、ツムギ...』


はぁ、と溜め息をつくセイアをよそに、

ツムギはてきぱきと服の結び目を解き

ぷちん...ぱちん...とボタンを外していく

...そして、するりと制服を取り去った


『...指を、滑らせないでくれたまえ...!

全く、君というやつは...っ!』


白く滑らかな曲線の白磁の素肌から、

緩やかなカーブを描く膨らみが実り

つん、と先端に掛け桃色に染まっている


『このグラデーションはいつ見ても、

やはり芸術家の端くれとしては...ええ、

胸の高鳴りを感じざるを得ませんね...』


くに、くりっ、くりっ...指の第二関節を

徐々に結実する桃色の果実に挟み込み、

緩急を付けて潰して緩め、潰して緩める


『息がっ...荒いぞ、君も...んぅっ...♡

余裕を見せられるのも、ここまでかな』


『さぁ、それは一体どうでしょう...っ♡

私の記憶の覚え書きは、どうやら貴女へ

有効な結果を示してくれているようで...

現に、固くなっていますよ...貴女のは』


『ふぅっ...♡くっ、ん、んぅっ...♡

い、い"ぃっ...♡ああ"っ......♡』


じゅわり...とベッドに染みが伝わる

ただそれは、セイアのものだけではない


『このぅ、備品っ、なのだからね...!』


『私もこのままでは無作法というもの...

しばし、裸の付き合いと致しましょう』


布に散らばる金髪と、しなだれる緑髪が

そのうちにゆっくりと重なり合って、

さざれに細かくぱらぱらと解けていく



『では...セイアさん、始めましょうか』


『......好きにするがいいさ、ツムギ』


お互い、年端も行かぬ少女同士とはいえ

ぴっちりと閉じた秘部の辺りには、

やはり微かに髪と同じ色彩が見て取れる


『はっ...!これ、は...♡ええ、ええ...♡

あの夜の熱が、下腹にっ、また...♡』


『...あんっ...っ♡』


いたいけな少女二人の蜜が、衝動的に

絡み合い、糸を引き、撹拌されていく

相手をまだ知らない閉じた入り口から、

二人の蜜がじんわりと溢れ落ちてゆく

擦れ合い、塗り付けるように...細い腰が

ただ密かに燃える情熱のみで動き合う



『セイアさんっ...♡あ、ああっ...♡

前よりもっと、ずっとはやく...っ♡』


『ツムギっ...手を...っ♡』


薄暗がりの中で、シルエットは繋がって

そうして、また動きは早まっていく


『あっ、い"っ...♡も、もう...っ♡

セイア、さんっ...♡いくっ...♡♡♡』


『......っ♡』


鋭い絶頂に、びしゅっ...と潮を吹いて

手を繋ぎつつ項垂れてツムギは脱力する


『これはっ...あの夜よりもっ、何か...』


『...そうだ、ようやく気づいたようだね

考えがあると...そう言っただろう?』


『セイアさ...きゃっ!?』


『減らず口しか出て来ないと思ったら、

意外と可愛い声も上げられるんだね...

そうさ、君が下で私が上...今まででは

考えられなかっただろう?無論、君も』


『こ、ここまで貴女が積極的だとは...

私も少し、見誤ってしまいましたか...』


『慌てているね...それもまた一興だが、

今回はちょっとした復讐譚を聞かせよう

...この物語の主人公は、私だとも』


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『はあ...っ♡あっ、あああっ...♡♡♡

ひっ、ひいいっ...んっ、ん"んっ...♡』


『何だ、両方とも弱いじゃないか...♡

こんなに白くて細い、柔らかい私の指に

こりこりと擦られて堪らないのかい...?

これでは人の事を言えないよ...ツムギ』


『せ、セイアさっ...♡そこ、...っ♡

なんでっ、弱いとこ分かって...♡♡♡』


『"勘"だよ、それも超人的なね...まぁ、

ミレニアムのC&Cには負けるけれど...

予知よりも、こちらの方が使い易いよ

君のような不届き者には、効果覿面だ』



『か、かんっ...!?あっあ"っ...っ♡♡♡

だめ、もうだめっ...!?』


『......まだおあずけだよ、椎名ツムギ

これからが本番なんだ...そうだろう?』


『は、はい...そう、ですね...っ...』



『ほらっ♡ここかな...?いや...ここか、

抵抗すればするほど分かりやすくなる...

ああ、腰をくねらせないでくれたまえよ

君が生殺しの状態が続いてしまう...♡』


『あ"っ♡おっ...い"っ、いいっ...♡

これではっ...私が、『ヒロイン』に...♡

予定が、大幅に狂ってしまいました...♡

んん"っ...♡弱いとこ、ぜんぶっ...♡

ぜんぶっ、擦られています...っ♡♡♡』


『ツムギっ...♡セクシーセイアで、

すまないね...っ♡ほら、いいよっ...♡』


『ひっ、ひああ"っ...♡いく...っ♡♡♡』


『くう、っ...!』


ぷしゃあぁっ♡と潮がまた飛び散った

周囲は二人のメス臭い匂いが充満し、

ぼた、ぼたっと本気汁まで垂れていた


『...驚きましたよ、セイアさん

まさかあんな...積極的なテクニックを

お持ちだとは思いませんでした、ええ...

お陰で、腰が砕けて動けませんよ

まるで魔法が切れてしまったようで...』


『おや、シンデレラのつもりかい?

だらしなく脚を開いたままでは、折角の

いつもの言葉回しも説得力に欠けるね...

ふぅ...私も体力的には、限界だが...』


『...少し、休んでいっても?』


『構わないよ、私も休みたいからね...

というか、君とヤったせいでまた

溜まる一方のリクエストが全然消化

出来なかったじゃないか...全くもう...』


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『いらっしゃい。

バーボンセイアへようこそ...うん、

"また"なんだ、すまない。でも───』





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