真祖の姫君、カルデアにて新しい大切な存在ができる

カルデアに召喚されて早1年
アルクェイド・ブリュンスタッドには不思議だと思うことがあった
一部の女性サーヴァント……それも伝承の上では伴侶がいるはずの女性たちがマスターに熱を上げている
……それも遊びではなく本格的なものを
ある時はブリュンヒルデが頬を紅潮させながらマスターと寄り添うようにマスターの部屋へと入っていくところを見かけた
ある時はゼノビアが通路脇でマスターと情熱的なキスをしているところを見かけた
だから彼女は当人に聞いてみた
どうしてカルデアくんとそういうことをしているの?生前夫がいたはずなのに?
と、だがある者は困ったような表情を返すだけ
ある者は頬を紅潮させ言葉を詰まらせるのみ
というまともな答えが得られない状態だった
だから彼女もそのことについてはそれ以上触れようとは思わなかった
……とある光景を見るまでは
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とある日
カルデアのトレーニングルームにアルクェイドはいた
想い人と出会えないまま1年が過ぎた彼女の体は端的に言って欲求を募らせ始めていた
とはいえ、その熱を他の誰かの男に預けようとは思わない
仮初の存在とはいえ彼との思い出は大切だ
……いつまでも体に、心に残してしまいたいほどに
故にトレーニングルームで体を動かすことでその熱を発散していたのだ
「っはー!いい汗かいたー!」
汗を拭きながらアルクェイドはトレーニングルームを歩いていた
体を動かしている間は何もかも忘れられた
体の中にある熱からも
「……んん?」
シャワールームからは微かに物音が、人の声が聞こえた
そっとその方向に足を向けるアルクェイド
結論から言うとそれは気づいてはいけない物音だった
パン!パン!パン!パン!
「いぃ……♡、あぁっ……♡、マスター……♡、マスター……♡」
音の出所、シャワールームでマスターとアサシンの両儀式が交わっていた
「んぉっ♡マスター♡もっと、もっとそこ突いて♡」
志貴と同じ魔眼を持っている少女
普段はそっけない表情をしているはずの少女がそこでは雌の顔を晒していた
「ぁぁ……♡、イクっ……♡、出して……膣内に出して……♡」
「んんっ…♡、イクっ…♡、いくぅうううううう♡」
あまつさえ、自ら子種を求め絶頂する始末であった
―――彼女には恋人がいたはずだった
カルデアに召喚されてから何度かその恋人のことを聞いたことすらあり
その隠しきれない熱愛っぷりに嫉妬したものだった
だが実際はどうだ、そんな彼女ですらカルデアくんに抱かれてしまっていた
これはどういうことなのか
―――アルクェイドの精神は徐々に追い詰められていった
周りで発情する女性達
アルクェイド自身、もう一年以上男の体を触れていない
少しずつ高まっていく熱
少しずつ発情していく体
故に彼女は考えてしまった
…1回だけなら問題はないかもしれないと
そう思い込ませるほどに
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結論から書くとその考えは過ちであったと彼女は後に知る
「あっ♡ひゃんっ♡ひぁっ♡」
志貴しか知らないはずの性感帯をあっさりと刺激されられた
「う……そ……」
志貴よりも圧倒的に大きいちんぽを見せつけられた
「や……ぁ……な、に……わた、私のここ……どうなってるの……♡」
「あぁんっ♡、あぁ♡、あんっ♡、はぁ♡」
「はぁぁぁぁあああああ♡」
志貴では届かないところをあっさりと擦られ
そして簡単に達してしまった
キスはしない、避妊具は着用するという条件下での性行為ですら
欲求不満を抱えた雌が知るにはあまりにも強い猛毒だったのだ
「やっ♡、あっ♡、んんっ♡……ダメっ♡、ダメ♡」
それ以降アルクェイドは何度もマスターと体を重ね合わせた
「いぃ…♡そこ…♡もっと……♡」
今までの欲求不満から逃れるように
自分を満たす雄を求めるように
「んっ♡、んっ♡、んっ♡、んっ♡」
「んっ、んぅぅ~~~~♡」
ある時はマスターのペニスを口で奉仕することを教えられた
初めて味わった精液はひどい味で飲み込めたものではなかった
「んっ♡、ふぅっ♡、ねえ、本当に男の人ってこういうのが好きなの?」
またある時は胸でマスターのペニスを奉仕させられた
彼のペニスが胸の中で射精するとわずかな高揚感が得られた
「イクッ♡、またいっちゃう♡イクッ♡、イクッ♡」
「いぃ…♡カルデアくんと一緒にイクのすごく気持ちいいの…♡」
「ぁっひゃぁぁぁぁ♡」
いつしか彼女の体はマスターと一緒にイクことに慣れてしまっていた
それが絶対にいけないことだと知りながら
しかし現実は無常だ
マスターにも恋人/愛人がいる以上、アルクェイドだけを構うわけにもいかない
必然的に彼女を抱く時間は少なくなっていった
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アルクェイドの自室
「ぁ……ん……はぁ……♡」
アルクェイドは自慰に耽っていた
自らのそこを慰めるカルデアに召喚されてからだけでなく彼女の長い人生でも初めてのことであった
マスターに抱かれなくなってから一週間が経過しようとしていた
久方ぶりの雄の味を覚えた女にとってそれは
砂漠の中で乾いたところに一滴の水のみを与えられたようなものだった
必然、渇きはさらに強くなっていった
「ぁぁん……っっ♡ぁ……♡」
足りない
指では物足りない
もっと太いものでないと
もっと硬いものでないと
もっと熱いものでないと
この体は満たされない
「っっっ♡、んっっ♡、ぁぁぁぁぁあああ♡」
性行為には満たない軽い、軽い絶頂
その時アルクェイドの脳裏に浮かんでいたのは他のどれでもない
マスターのペニスだけが脳裏に浮かんでいた
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翌日
久しぶりにマスターがアルクェイドの部屋を訪れていた
その意味はただ一つ
―――久しぶりにカルデアくんに抱いてもらえる
「…そう?それじゃマスターの部屋に行きましょ?」
マスターと共に彼の部屋へと向かうアルクェイド
仮にその場に彼ら以外の者がいたら彼女の様子に気づけただろう
―――頬を紅潮させ、視線をマスターの股間へ何度も移す発情した雌の様子に
「んっ……はやく……♡」
マスターの部屋
そこでアルクェイドはいつものようにマスターを受け入れている体勢を取っていた
ベッドに寝そべり、両足を広げ男を受け入れる体勢
いわゆる正常位の体勢
前戯は不要だった
もうすぐにでも彼を受け入れる準備は整ってしまっていた
「わかった、ちょっと待ってて」
そういいながら彼は自らの愚息をズボンから引きずり出す
あぁ一週間ぶりのカルデアくんのペニスだ
久方ぶりの、雄の臭いだ
間近で見るそれを早く受け入れたい
そう思うだけで愛液が溢れてくる
しかしそのタイミングはいつまで経ってもやってこなかった
「あっ……」
呆然としたかのような、何かを失敗したかのようなマスターの声
彼の手の中にある箱の中にはあるべきはずのものが
―――そう、避妊具がなくなっていた
避妊具がない
それは今日は交わることが出来ないという意味を表す
避妊具の生成には数日かかる
マスターとて暇人ではない
恋人を、愛人を複数抱えている立場だ
つまり今日の機会を逃したらマスターと交わることが出来るのはまた一週間後
―――そう、次に交わることが出来るまで少なくとも一週間も待たされる
この焦らされた体で
この雄を欲しがる体で
このイキたいのにイケなかった体で
一週間も―――
アルクェイドは自らの股座に添えられた立香のペニスを触れた
熱さ、硬さ、太さ、どれもが一級品のペニスだ
記憶の中にある、遠野志貴のものに勝るとも劣らない、極上のペニスだ
今まで何人もの女を堕としてきて、そして一週間前に避妊具越しで散々自分のことを啼かせたペニスだ
(ほしい……)
それはアルクェイドの心の中に芽生えた雌の願望だった
すり……♡すり……♡すり……♡
ペニスを撫でる指が止まらない
避妊具がないのであれば服を着て早々に部屋から立ち去るべきなのにペニスを臨戦態勢に整え続ける
(ほしい……)
鉄のような硬いペニスを
えげつないカリ首を持った女殺しのペニスを
志貴よりもずっとずっと逞しいペニスを
いますぐに
―――生でもいいから
いつまでもペニスへの奉仕をやめないアルクェイド
指先で名残惜しそうにペニスを撫でる彼女
そんな様子の雌を見て黙っていられるほど立香も愚鈍ではなかった
立香は自らのペニスを手に取った
―――アルクェイドの手は名残惜しそうに立香のペニスから離れていく
自らの体をアルクェイドに密着させる
―――アルクェイドは拒絶しない、立香を受け入れるように自ら両足を広げた
ペニスをアルクェイドの秘所に当てる
―――アルクェイドは拒絶の言葉を出さない
くちゅ♡くちゅ♡くちゅ♡
先端を愛液と絡ませ、小陰唇に纏わりつかせる
―――アルクェイドからは熱い吐息のみが出される
ぐちゅり♡
先端を膣口に押し当てる
―――アルクェイドはじれったそうに腰を揺すった
ぬぷり♡
ゆっくりと先端を、生の先端をアルクェイドの膣内に潜り込ませる
―――アルクェイドからはか弱い、喘ぎ声が漏れた
―――そして
ぬぷぷぷぷぷぷ♡
そのまま亀頭をカリを、竿をゆっくりとアルクェイドの膣内に埋没させていく
―――待ち焦がれていたかのようにアルクェイドの膣内は立香のペニスを締め付けていく
それはアルクェイドが生での交尾を許した瞬間だった
……遠野志貴以外の存在に
「あぁ……んっ♡」
少しずつ奥まで侵入してくるペニス
熱された鉄の塊のようなペニスが肉壁をかき分け最奥へと到達する
「やぁ……ぁぁ……熱い……♡」
初めて受け入れた立香のペニスはどこまでも熱かった
まるで膣内まで、奥までもがその熱に犯されてしまいそうなほど
たった一枚の避妊具をなくしただけでこうも違ってしまうのか
ゴム越しでは理解していなかった、立香の本当の形
奥が熱い、子宮口と亀頭がキスをしているのがわかる
(すごい……♡、カルデアくんの生ちんぽすごい……♡)
ゆっくりと立香が腰を動かし始めた
生での何の隔たりもない行為を始めるために
「あっ♡、あっ♡、あっ♡、やだっ♡、生のちんぽすごい……♡」
「私のおまんこの奥までっ、あっ♡、刺さってる♡」
生での行為は遠野志貴ともやっていたはずだった
だが立香との行為は違う
だって遠野志貴のものはここまで奥まで届かなかった
だって遠野志貴のものはここまで太くなかった
だって遠野志貴のものはここまで女殺しのカリ首をしていなかった
全てがアルクェイドが知っている、生の交尾とは別次元だった
「すごいっ♡、カルデアくんのおちんぽすごい♡、志貴と全然違うっ♡」
ならばその言葉が漏れることを責められる存在はこの世にはいるはずもなかった
「あっ♡、あっ♡、あっ♡、あっ♡」
「いいっ♡、生おちんぽすごい♡、生ハメちんぽすごいっ♡」
アルクェイドの嬌声が響き渡る
恋人以外と生の交尾を耽っているのにその声に悲壮感はない
ただただ目の前の快感を享受している声がする
そんな様子の雌を見て我慢できる男がいるはずもなく
立香の顔がアルクェイドに近づいていく
そして
「んっ♡、ちゅ、やぁ、キスはだめぇ♡」
キスはダメだと、そう事前に決めていたはずだった
「ごめんっアルクェイドっ我慢できない」
だが実際はどうだ
立香の唇を拒絶できない
立香の舌を拒否できない
「やぁ♡、んっ♡ちゅる、ちゅ♡、んっんんんっ♡!」
舌を絡めたままでの交尾
まるで恋人同士がするような交尾
それだけでアルクェイドはあっさりと達してしまった
きゅうきゅうと焦らされに焦らされた肉の壁が立香の肉棒を締め付ける
締め付けるほどにわかる、志貴との圧倒的な雄としての差を
真祖の姫君といえどもただの女であるとそう自覚してしまうほどに
「アルクェイド……」
立香がアルクェイドの耳元で囁く
「次からはもう、避妊具を使わないでいいよねっ」
「こんなにきもちいいんだからっ」
愚問であった
こんなに気持ちいいのであれば、もう避妊具など使えるわけもなかった
「いぃっ♡もう次からは生でいいからっ♡」
「だからもっと、もっと気持ちよくして♡、もっと奥までついて♡」
高まっていく二人の熱
一年以上体を許していなかった、真祖のお姫様を生でハメている
そう思うと立香にも限界が近づいていた
「あぁ……ごめんっ、もう抑えきれない……!」
アルクェイドの膣内で巨大な陰茎がさらに膨れ上がる
それは何度も経験した、射精の前兆
「ダメ……♡、だめっ……♡」
だめ?何が?
わからない
ただ、アルクェイドの一握りの理性がこのまま立香の精液を受け入れてはならないと
そう警告をしていた
「あっ♡、あっ♡、あっ♡、あぁっ♡」
だが彼女の頭の中にはそんな言葉は存在していなかった
ただ、この志貴より逞しいペニスで、射精されたい
それだけ
「いいっ♡、あぁっ♡、そこ♡、奥♡、あっ♡、すごっ♡」
それを示すようにアルクェイドの体は前後に揺れていた
立香の律動に合わせるように
立香の精子を欲するように
「あぁぁ出そう…っアルクェイド、イクよ…」
「あっ♡、あっ♡、ちんぽ、膨らんで……♡」
立香は一際大きいストロークで下腹部をアルクェイドの下腹部に叩きつけた
根本まで挿入されたペニスが、子宮口に狙いを定めたペニスが震えそして
びゅくっ♡びゅくっ♡
びゅーッ♡ びゅーーッッ♡
「あっ♡、あぁ……♡、カルデアくんの精子、熱い……♡」
「やぁなにっ……これっ♡」
「うそっ♡まだ……でてるっ♡」
膣内で射精されている
遠野志貴ではない、精液を出されている
「やぁっ♡、あ、はぁぁぁぁぁ♡」
熱い、子宮が溺れてしまいそうだ
子宮で子種を受け入れただけでイクのが止まらない
「はぁ……♡、はぁ……♡、はぁ……♡」
絶頂の余韻が収まった頃
アルクェイドは気づいていた
膣内に収まるペニスがまだまだ鉄のような硬度を保っていることに
1年ぶりに雄の脈動を子宮で受け入れた雌
初めて生ハメを許してくれた雌を目の当たりにした雄
そのどちらもがただ1度きりの行為で収まるはずもなく
―――快楽を貪りあうように、示し合わせたかのように互いに再び腰を振り出し始めた
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
朝日が昇るころ
「あっ♡、あっ♡、あっ♡、いいっ♡、これ、すきっ♡」
全裸で汗だくの二人が向かい合い、一つに繋がっていた
アルクェイドの形のよい巨乳が立香の胸板で押し潰されるほどに二人は深く繋がっていた
「もっと♡、立香っ♡、もっと頂戴♡」
アルクェイドの甘えるような喘ぎ声が部屋に響き渡る
何度膣内に出されたのだろう
数えれるのも馬鹿らしくなるくらいマスターの精液を子宮で受け入れてしまっていた
「ぁんっ……♡、はぁ……♡、んぅっ……♡」
マスターと視線が合う
少しずつ近づいていくマスターとの距離
マスターの方から近づいているのではない
自分からマスターの方へと距離を狭めていく
彼は何も言わずともわかるかのように口を半開きにして構えていた
「んっ♡、ちゅ♡、ちゅる♡、はぁ……♡」
唇が触れる前から舌と舌を絡め合うキス
志貴とも何度もしたことがある心も体も重ね合うためのキス
唾液の交換を、体液の交換を目的とした舌と舌との交尾
くちゅり、くちゅくちゅ、くちゅ
マスターに舌を絡めとられると自然とマスターを求めるかのように手足の力を強めてしまう
「ぁはぁ……♡」
舌を絡め合わせるのがどこまでも心地よかった
ぴくりと膣内でマスターのペニスが跳ねた
何度射精してもまだ硬度を保っている、ペニスが
―――遠野志貴よりもずっと逞しい雄のペニスが
「ぁ……♡」
優しくベッドの上に押し倒された、結合部は残したままで
そのまま彼は優しく動き出した
今までの性行為を労わるかのような優しい動き
「あッ♡、あッ♡、あッ♡、あッ♡」
見た目よりも鍛えられた体に抱きしめられるのが心地よかった
それは彼の体にアルクェイド・ブリュンスタッドという存在が馴染んでいっているという感覚
本来絶対に避けねばいけないことだったはずなのに
それがどこまでも心地いい―――
「アルク……」
彼の顔が近づいてくる
今度は自分が口を半開きにし構えていた
「んっぁ♡、ちゅ♡、れろれろ♡、はぁぁ……♡」
舌と舌が、唇と唇が互いに求めるかのように睦み合っていた
何も言わずとも互いの唾液を交換していた
それがないと生きていけないかのように
互いにもっと深く繋がるように顔を傾けながらキスを深めていく
「はぁっ♡、ぁ、ぁあ……っ♡、立香、立香……っ♡」
いつしかアルクェイドは彼自身の名前を呼んでしまっていた
カルデアくんという、一歩引いた名前でなく彼自身の名前を
そして立香もまたアルクェイドのことをアルクと呼んでいた
それは遠野志貴ですら呼ばなかった彼女の略称
いつしか彼らだけの呼称が二人には成立してしまっていた
「ぁあっ♡、いぃ♡、そこすきぃ♡、もっと♡、もっとぉ……♡」
―――カルデアに召喚されてから一年以上
アルクェイドの心の中は常に"遠野志貴"という存在で満ちていた
たとえ、"カルデアくん"と体を重ねることがあっても
それだけは変質することはないと彼女は信じていた
「いいっ♡、もっと♡、もっとイカせて♡」
―――だがそれは彼女の勘違いだ
体が満たされてしまえば、心もまた満たされてしまう
アルクェイドはそんな基本的なことも知らなかった
(立香♡、立香♡、立香♡)
それを示すようにアルクェイドの深紅の瞳
見るものによっては一瞬で縫い付けれてしまうその瞳には
―――もう目の前の雄しか映し出されていなかった。
仮に彼女の想い人がその場にいたとしても気づかないと
―――そう断言できるほどに
「あっ♡、ぁっ♡、あっ♡、あっ♡、ぁっ♡、あっ♡ あッ♡、あっ♡」
マスターの部屋に響く嬌声
その声はどこまでも甘くどこまでも淫蕩だった
「ぁぁあ……っ♡ んッ♡ ……立香……っ♡」
アルクェイドの長く美しい四肢がマスターの体に回されていた
そして―――彼女の、本来一人にしか許してはならない場所にはマスターの、
遠野志貴以外のものが一部の隙間もなく埋め込まれていた
「あぁ♡、いぃっ♡、奥っ♡、奥っ♡、あっ♡、あんっ♡、んッ♡」
どこまでも膣内を満たしてくれる逸物
遠野志貴よりもずっと逞しい逸物
―――それを膣奥で咥えているだけで幸福感に包まれていた
「あッ♡、そこッ♡、いいっ♡、イクッ♡、イクッ♡、はぁぁっ……♡」
立香をどこまでも深く受け入れるように淫らに開かれた両足と
そしてその中心で繋がり合う結合部
立香の子種を欲しがるように降りた子宮そしてそれを押し潰す勢いで押し付けられた立香のペニス
二人の体はどこまでも深くまで愛し合っていた
二人が繋がっているベッドを覗き込めば垣間見ることが出来たであろう
立香を受け入れ、快感を貪るために両足を広げ無防備にさらされたどこまでも白い臀部と
―――そしてその中心に突き刺さる女殺しのペニスと、そして鍛え上げられた男の臀部が
「あっ♡ ぁっ、あっ、ぁっ、あっ♡ あッ、あっ♡」
アルクェイドの甘い嬌声は止まらない
立香の形に成形され始めた淫唇からアルクェイドとマスターの混合液が零れ、ベッドを汚す
二人が愛し合った証がシーツを汚していく
「アルク……っ、アルク…っ!」
「立香ぁ♡、立香っ……♡」
二人は互いの名を呼びながらただひたすらに高まっていく
マスターもサーヴァントも関係ない男と女が愛し合うための共同作業
互いの体の本能に刻まれた生殖願望を満たすための共同作業
人間同士、ともすれば真祖であっても"孕んで"しまうとわかってしまうような熱量がそこにはあった
「…っ中に出すよ……っ!」
「うんっ♡、立香♡出してっ♡、膣内に、膣内にもっと……イ、クッッッ♡」
そこには一週間前の行為のような激しさはなかった
頭が真っ白になるほどの快感もなかった
ただ、そこには"雄"と"雌"の生殖本能による"幸せ"があった"
「ぐっ……!」
「……っ♡、イクッ♡、私も♡、イクッ♡、イクっ♡♡♡」
ビューッ♡ ビューーッッ♡
絶頂は同時だった
恋人同士のような、いやまるでつがいのような絶頂
「あっはぁぁぁぁ♡」
子宮を再度埋め尽くす子種に頭が幸せで埋め尽くされた
立香の精液で満たされた
立香と一緒にイクことができた
その感覚はどこまでもアルクェイドを多幸感で一杯にする
「ぁ……♡」
アルクェイドは本能で理解してしまった
その多幸感の正体を
今まで"遠野志貴"で満たされたはずの、アルクェイドの心の中
彼女が絶対に不可侵だと思っていた領域
しかし実際にはそこにはひびが入っていて
―――その隙間を埋めるかのように"藤丸立香"という存在が強引に入り込んでしまっていた
それはつまり、今までどこまでも遠野志貴中心だったアルクェイドの心
それが書き換えられたことを意味していた
アルクェイドも自分の心の中にある存在が置き換わったのを理解した
いや、理解してしまっていた
つまり
―――遠野志貴以外に大切な人が、好きな人が出来たということを
―――藤丸立香という存在に心が堕ちてしまったということを
「んっ……♡」
アルクェイドは何も言わず目の前の雄の唇にキスをした
今までとは違う、恋人同士のような多幸感がアルクェイドを満たした
そして
「愛してる…♡立香……♡」
―――その言葉はアルクェイドの口から自然に零れ落ちた言葉だった