真新しい手記・7

真新しい手記・7


新作だ―!\太陽万歳!/

執筆お疲れ様です…!


『夢の面影』

今回はルフィ視点の、ルフィがみた夢のお話。

ヤーナムに辿り着いた初日の夜、宿で眠りについたルフィを誘った夢の正体とは…?


ルフィが辿り着いた「夢の中」とは、遠い日に何度も訪れた「あの夢」…我々読書視点でいうなら「狩人の夢」だった。

…そういえば「狩人の夢」の中に浮かぶ月は金色に近い色合いの満月でしたね…

あの満月はいつか「誰か」が見上げた美しい夜の満ちた月であったのだろうか…

ルフィの鼻腔を擽ったであろう花の香は、故郷を後にし様々な冒険を経たルフィを以てしても、「夢に咲いていた白い花の匂いはローや姉ちゃんのいたあの場所以外どこにも見つけられなかった」と。

「狩人の夢」に咲くあの白い花ですね…過去のPartスレではハナニラやらオオアマナやら様々な考察が出されていたあの花の香は、どんな香りなのでしょうね…?甘いのかな…?


花の香を頼りに「あの夢」の中を散策するルフィ。辿り着いたのは見覚えのある建物…「始めてきた時は何故か燃えてた」建物…「工房」も、そのままの姿で残っていた。…流石に今は燃えてないよね?

でも「工房」の中を入ってみても誰もいない。ローも姉ちゃんもコラさんも、話に聞くだけで会った事はないローのじいちゃんも。

みんなローのようにこの夢の外にいるのかな?と思考を巡らせるルフィ。


「誰もいねぇのか?」

と、ルフィが声に出せば、


「お久しぶりです、ご友人様」

と、裏口から声がしました。姉ちゃんこと、ねえちゃんの声が。


ねえちゃんと久々の対面となったルフィ。

ねえちゃんは人形だから全然気配もないし、全体変わっていない。

…ねえちゃんが「人形」である事を当たり前のように認識しながらも、人形が動いて喋る事を当たり前の様に受け入れてる…「きっとそういうもんなんだろう」とありのままに受け止め、接してるのがなんともルフィらしい。

友達(ロー)のねえちゃんだしね。


昔もでっかかったねえちゃんは、やっぱり今もでっかかったと改めて認識するルフィ。多分ロビンよりもっとでっかい、と。

…そうだね、ロビンちゃんよりもでっかいね。チラリと調べた所、人形ちゃんの身長は210cmぐらいらしいとの情報。いやでっかいな人形ちゃん…


ねえちゃんと久々の会話となりましたが…人形ちゃんの話によると、どうやらローのじいちゃんは夢から覚めてしまったようですね。そして覚めて以来、ルフィのように再び夢を訪れてもいない模様…

コラさんは?と聞くと、どうもコラさんはまだこの夢の中にいるらしい。

人形ちゃんが「今も、ここに」…と呟き、誰もいない工房の中をじっ…と見る。

ルフィも人形ちゃんの視線を追うように工房へと視線を向けますが、あるのはただ虚空だけ…

人形ちゃん曰く「今はもう曖昧で、お姿が見える事もありませんが…」との事。

ねえちゃんからの返答に「じゃあねえちゃんもコラさんも、夢にいるのにひとりぼっちじゃねぇか」と思うルフィ。

ここのルフィ、読んでいて顔を顰めてそうだなぁ…と思ったり。ルフィはなんというか表情が浮かびやすいですね。


…そして何気に重要な情報が。

まず、ルフィは「ローのじいちゃん=ゲールマンという名前である」という認識をちゃんと持っていたという事。多分ローやねえちゃんから聞いていたのかな?

そして今回のねえちゃんとの会話で「コラさん=ロシナンテ」という認識を得た事。

ここ凄く大事なんじゃないかなって思いますね…基本的にコラさん=ロシナンテの図式を知っているのは今は無きドンキホーテ海賊団の面々だけですし。

ドンキホーテ海賊団の面々以外の人物で「コラさん」と呼ばれている人物の本来の名が「ロシナンテ」であるという情報を得たというのは、この先の物語で何かしらの意味があるのだろうと勘ぐってしまいますね。


ルフィとねえちゃんの会話は続く。

ルフィが「ローは夢にこないのか?」と聞くと、人形ちゃんから「獣狩りの夜の後は来ていない」との返答が。

ローもまた「狩人の夢」から覚め、狩人の夢にはかつての名残として小さな墓標が残るのみ…か。墓標が残る、というのは狩人の夢を立ち去った数多の古き狩人達、或いはゲールマンにより夢から覚めさせられた狩人様と同じですね。

墓標と聞いて『なんだか死んでしまったみたいだ』…と思うルフィ。

その感覚はあながち間違いではないのかも知れないな、と思ったり。

帰らぬ人を偲び、その名残を留めるのが「墓標」であるのなら。きっと変わりはしないのでしょう。


ルフィは思考を巡らす。

ローもローのじいちゃんも、夢から覚めてしまった。でもそれは何時の事だ?

ねえちゃんが言っていた「獣狩りの夜」というのは、あのコラさんが冒険をしていた夜の事なのか?

そうであるならば、それはもうずっと前の事となる。

夢の中は時間の流れの往来はあれど、それでもあの時、あの夢で会っていたローは現在のローよりずっと小さかったし、現実の世界で、アラバスタで再会したローは自分と同じく成長し、大きくなっていた。

そしてルフィは気付く。気づいてしまった。


『ずっと眠ってるんだ。ねえちゃんもコラさんも。たった独りで』


ルフィはねえちゃんに問う。


「起きられねぇのか。ねえちゃんもコラさんも」


ねえちゃんは、人形は応える。


「…それが、私達の役目ですから…」…と。


ねえちゃんの返答に、ルフィは憤る。

なんだよそれ、と。

そんなんじゃコラさんは冒険できないし、ねえちゃんも独りぼっちで、自分の話やローのツッコミに笑ったりも出来ないじゃないかと。

ねえちゃんにそう言ってやりたかったのに、ルフィの口から言葉が紡がれる事はなかった。


ルフィを襲う眠気。それが口を重く重く閉ざしていく。

まだ話したい事が、伝えたい事が沢山あるのに。

自分は海賊になった事。仲間も出来て、海を渡って沢山冒険をして、ヤーナムまで来たこと。

宴も沢山した事。師匠を得て修行して強くなったこと。

イヤな奴もいっぱいぶっ飛ばして来た事。ローと喧嘩した事。ローの喧嘩は、やっぱり自分が怒られて終わった事。


まだ起きたくない。ねえちゃんが笑ってくれる話がこんなにあるのに。


なのに。


ねえちゃんの優しい、あたたかな声が聞こえる。


「いってらっしゃい。ご友人様」

「あなたの目覚めが、有意なものでありますように」


ねえちゃんの声に見送られるようにルフィの両の瞼が落ちる。

夢の目覚めは、すぐそこに。



素敵な物語をありがとうございます…!


夢の中を歩くような、ふわふわとして、ちょっとメルヘンやファンタジーすら感じてしまいそうな今話。大変楽しませて頂きました…!

冒険が大好きで、寂しい事が嫌いなルフィにとって、今の「狩人の夢」に住まうねえちゃん…人形ちゃんやコラさんの現状は受け入れがたいものでしょう。

ある意味、この出会いとルフィの中の気付きは、人形ちゃんとコラさんを夢から解放する、夜明けをもたらす為に必要なファクターなのかな?と思ったり。


…しかし、何故ルフィはまだ「狩人の夢」に訪れる事ができるのでしょう?

ローは「狩人の夢」から解放され、墓標があるという事は恐らくもう「狩人の夢」に立ち入る事は出来ない状態なのに。

ルフィが再び「狩人の夢」に立ち入る事が出来たのはヤーナムに訪れたから、なのは納得出来るのですが…何故「まだ」立ち入る事が出来るのか…?

フレバンスの悪夢はコラさんによって狩られたし、フレバンスの悪夢の元凶たる××の遺子もまたコラさんの手により狩られ、その魂(?)は現世の悪魔の実、瞳の開かぬ赤子としてルフィの中に眠ってる筈……

もしかしてルフィは、現世でのニカの覚醒までは「狩人の夢」にリンク出来る状態なのでしょうか…?

うーむうーむ…今はまだ考えが及ばぬ纏まらぬ…

続きが気になりますね…!

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