真新しい手記・53

真新しい手記・53


新作だー!\太陽万歳!/

執筆お疲れ様です…!


『再誕者』


前回のあらすじ


・おおかみさんの結末


・二人の『兄』の再会


・ドラムの兄弟子と弟弟子と


・黒幕を追って


前回にてこの夜の黒幕やらの情報が仲間達に共有され、それぞれが夜明けの為に、成すべき事の為に再び行動へと移る。

今回は前回から打って変わってヤハグル探索チームのターン。

語り部はゾロが務めます。

参りましょう。



【何を知っても、変わりはしない】

・ヤハグル探索チームにも電伝虫による情報共有がなされ、更にこちらにルフィ達も合流するという旨が伝わる。


「あら、ルフィ達もこっちに来るのね」


「その前に奥まで辿り着いちゃうわよ!?」


「あいつら出番なしで終わっちまうかもな」


「そうなりゃいいが…」


…いつも通りの冷静なロビン。

ルフィ達の到着の前に最奥に辿り着いちゃうわよ?!とちょっと焦り気味のナミ。

ルフィ達の手を煩わせる前に事が片付けばそれで良し、とな双翼の二人。


ルフィのやつが何だろうが、ローの正体ってのが何だろうが、自分達のやる事は変わらない。

そうゾロは内心に零す。


まずは儀式の首謀者を叩っ斬る。

誰をどう起こすかなんてのは、その後だ。



【二片の落ち葉、ヤハグルに舞う】

・スパンダムのいた聖堂から通りに戻って、ゾロは工房から借りた落葉を振るう。

一本に纏まる仕掛けもあるらしいが、ごちゃごちゃと変形させるよりは二刀で扱う方が性に合った。

間合いの違う二振りってのも、慣れてくりゃあ中々に面白い。


気配の煮凝りみてえな死体溜まりの棺桶を両断し、四足歩行のかろうじて獣型の何かを吹き飛ばす。

どう捻って見ようが、スリラーバークのゾンビ共の方が良心的な見た目だったとゾロは内心に思う。


「ん?あいつら…」


少し進むと、大通りを見下ろす細い通路にCPの連中が見えた。



【意外な再会】

・見えたCP達はまともな武器が無いのか、鐘女相手に二人がかりだ。


「久しぶりじゃねえかオオカミ君」

「それにお茶会の魔女も…」


サンジがそう声を掛ければ、


「チッ…もう追いついて来やがった」


「ジャブラ、他に"使える"秘儀は?」


「聖歌の秘儀は大半が実用向きじゃなかったと言った狼牙!」

「…その上ほとんど内側から焼けて消えちまった」


階上の手すりに立ったサンジを見て、狼男とメガネ女…ジャブラとカリファは苦い反応だ。


こんな奴ら、そういやいたな。

ゾロは記憶の奥底から面影を引っ張り出す。


「お前らも儀式の主を追ってきたのか?」

「……言っとくが、この先に行っても無駄だぞ」


「また下手な嘘か?」


「違うわ」

「信じられないなら、私と一緒にいらして?」


「喜んでー!!」


「馬鹿じゃねえのか」


「なんだとてめェ!!」


「んなことしてる場合じゃないでしょ!!」


…売り言葉に買い言葉となりかけたジャブラとサンジに、カリファがサンジに声を掛ければサンジはいつもの反応に。

そしていつものゾロとサンジの言い合いにナミの言葉の雷が落ちる。


馬鹿に馬鹿っつって何が悪ィ。

ゾロは内心に言葉を零す。


「無駄というのはどういう意味かしら」


「…こっちだ」


…ロビンが訊ねれば、ジャブラがそれに応えるように街中を先導する。


あっちこっち毛皮の焼けた狼男を追いかけて、隠し街の奥へ進む。

突き当りの場所には、見知った狩人…トゥールが椅子に座ったまま死んでいた。


見れば腕には、檻を被った頭蓋骨が納まっている。


「死んでんのか」


「だから無駄だと言ったんだ狼牙!」


「あーらそうかしら?」


打つ手なしなCPを前に、ナミが子電伝虫を取り出す。


「通じんのか?」


「ちょっと黙って!」

「こっちのは特別製なの!」


「こちらコアラ!何かあった?」



【こちらヤハグル、通信のお時間です】

・ナミ達は電伝虫を通じて現状をコアラ達に伝える。


「儀式の首謀者だが…残念ながらもうくたばっちまってる」


」ヤハグルの奥には彼の遺体が遺されているだけだったわ」


「……そうか」


「止め方はあんだろ?」


「かつてと同じ方法であれば…だが、その為には血が必要となる」


トゥールの死に感情を押し込めて言葉を返したデュラは、ゾロの問いにしっかりと答えた。


しかし、また血の話か。


「そちらに向かっている彼らであれば、そこから悪夢に侵入し、トゥールを追うことができるはずだ」


「だそうよ」


「反則じゃねえか!長官の指令は儀式ってヤツの調査だが…」


「それとルフィの捕縛、でしょ?でも残念」

「ルフィはお目当ての赤子じゃないみたいよ」


「あん?」


「長官に話を聞いたのね」

「しかしそれは……」


「悩んでるヒマはねえ」


…それぞれが口々に言葉を交わし、思惑も思考も交差していく。

儀式の調査、探していた赤子の正体、錯綜する情報。

それらを引き止めたのは、ゾロの一言。

ゾロが後ろの広場を指差してやると、連中も集まって来た鐘女に気付いたようだった。



【『再』び『誕』生した『者』】

・鐘女はブツブツ言いながら鐘を鳴らして、そして赤い月が影に覆われていく。


「何の冗談だ、こりゃあ…!!!」


「こんなものが……!!」


黒い影から降ってきたのは、棺桶の動く死体溜まりを押し固めて作られたようなデカブツだ。

相変わらず、嫌な気配をしていやがる。


そこへ不意に響き渡るのは、太陽のような明るい声。


「ゾロ~!!ナミ~!!サンジ~!!ロビン~!!」


「ルフィ!!!」


「麦わらまで来やがったか!!」


到着したのはルフィ達。

ルフィにエースとサボと、ついでにドフラミンゴも。


「サボ、お前はあいつを…」


「いいや」


追いついてきたルフィのもう一人の兄貴…サボは、エースの言葉に懐から『白い血』を取り出して笑った。


「言ったろ?今度は一緒に戦うってな」


サボが腿に躊躇なく突き刺された『そいつ』は、人を狩人にする血だ。


「……とんでもねえ野郎だ」


「これでおれも、"コラさん"に助けられたことになるな」


気配が変わり、呼吸が揺らぐ。

今、散々聞かされた血の意味がようやく腑に落ちた。


「ちょいと、お返しをしに行かねえと」


開かれた両目が、夜の中で月明りをを跳ね返して光った。


狩人ってのは、こうやって生まれるもんか。

ゾロは内心に言葉を落とす。


「…獣になるようなら狩ってやるよ」


「だってよ、サボ」


「おっかねえやつ!」


頭蓋骨に触れて消えたドフラミンゴを追って、エースとサボが悪夢へ飛ぶ。


「街任せた」


迷いのねえ声を残して、ルフィも先を行く狩人を追った。


行けよ。

お前が迷わず進むなら、それがおれ達の道になる。


「さて、恨みはねえが船長命令だ」


ゾッとするような気配を振りまくデカブツの、腐りかけの死体が押し固められた指先を切り飛ばす。


「大人しく棺桶にでも戻っときな」



ーー赤き月夜のヤハグルに、今一度、狩りの刃が舞う…



素敵な物語をありがとうございます…!


ドキドキとワクワクが詰まった今話、大変楽しませて頂きました…!

全体的にONE PIECE色が強めの、新たな冒険の一幕が始まりそうな気配…!

次に向かうは黒幕の根城たる悪夢か、はたまた別の方の視点か…


既に死してたトゥールさん…

それ以上に気になるのはその腕に抱えられていた『檻を被った頭蓋骨』…この檻って『メンシスの檻』…ですよね?

で、もっと気になるのはメンシスの檻に収められている頭蓋骨の主……誰だ…?

…ミコラーシュ?いやまさか……


恐らくこの『檻を被った頭蓋骨』は今のヤーナムや悪夢を形成する触媒の一つなんじゃないかな…とか。

なんだろう、悪夢の中の地形生成を補助するプリセット的な…?


物語の中ではスパンダム長官に続きジャブラとカリファも再登場。

ジャブラはシュガーちゃんを襲撃して以来、カリファはルフィ達に邂逅して以来の登場でしょうか?

何気にジャブラは聖歌隊の『秘儀』をいくつか持ち出してるっぽいですけど、どうやら実践には不向きだったようで…

…聖歌の秘儀、どんなものだったのでしょうね…傷付いた人々を癒す事に特化してたり、火力はあるが扱いの難しいロマン砲みたいな感じだったり…?


そして落葉を振るうゾロ、カッコいい!

変形はせずに二刀で振るうのですな…

…落葉は二刀形態が武器的には『変形後』の姿なのは御愛嬌。

ゾロはどちらかというと自分の中では上質系のステのイメージだったり。


今話の中で一番びっくりしたのはサボの狩人化でしょうか。

あの思い切りの良さは流石ルフィの兄貴なのでしょうね。凪の血をどうやって手に入れていたのかはさておき。


ルフィ達の行方も気になるし、ゾロ達の再誕者戦も気になる…!

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