真新しい手記・35
新作だー!\太陽万歳!/
執筆お疲れ様です…!
『遠足』
前回、錦えもん親子が一時身を寄せていた診療所の一幕が描かれました。
診療所の立地、今の主、そして語り部である彼のお話。
今回はその続き。
語り部は…スーパー!な彼が務めます。
参りましょう。
【英雄は助け合いでしょ!】
・前回の物語の終わりに、診療所に避難してきた避難民を禁域の森へ抜ける道まで逃がし、また侵入してきた『敵』と共に心中する覚悟で診療所の一階に火を付けた前回の語り部…『オドン教会の彼』
あわや火に包まれた棺がごとき診療所にで、敵と共にその命を供するのかと思われましたが…?
「よお!とんでもねえ無茶するじゃねえか!」
「え?」
間一髪。
オドン教会の彼は助けられたのです。
彼を助け出したのは、旧市街ルートを通り月前の湖を目指していたサボ達。
彼らは診療所から避難した避難民達から診療所に彼が一人残っていると聞き、救援に来てくれたのでした。
生きていることに今だ「信じられない」と驚きで呆けているオドン教会の彼。
助けられて良かったと話すサボ。
仲間達…錦えもん達を助けてくれた恩人を死なせたとあってはルフィにも申し訳が立たないと呟くジンベエ。
知らせてくれた診療所のチビッ子達に感謝しときな!と告げるフランキー。
今回の語り部、フランキーはオドン教会の彼を見ながら思う。
彼の様子からして、彼はやはり死ぬ気だったのだな、と。
こんだけの人間を助けといてアッサリ死に華咲かせるつもりってのも寂しいじゃねえか、と。
オドン教会の彼も避難民の皆と合流し、避難民の方から「ありがとうございます、狩人さんたち!」とお礼を言われる。
それに完璧な「狩人さん」ムーブで応対するサボを眺めながら、フランキーは思考する。
流石は革命軍、こういう仕事もお手の物って所か。
しかし古工房に残されていたあれこれを参考に錦えもんが用意した装束は、この街では予想以上に効果があるようだ。
これを着ておけばサイボーグだろうが魚人だろうが誰も気に留めない。
…しかし魚人はともかく、サイボーグ(変態)の下半身の装束はどうなんだろうね…皆口に出さないだけじゃないかな…
いやブラボのゲーム本編でもやろうと思えば足装備(ズボン)を履かずに出来るし、もしや避難民達からも「この狩人さんはズボン履いてないけど、まあそういう狩人さんもいるよね」って思われたりしてるのか…?
しかし、とフランキーは思考を進める。
診療所から彼を助け出せたのはいいが、診療所は火の手が回り切り燃え落ちた。
これでは市街に戻ることは叶わない。
こうなってしまえば、"元"禁域の森を経由して聖堂街に戻るしか手立てはない、と。
メエ、とヤギが鳴く。
ヤギに裾をはまれて引かれたサボが、カンテラを掲げて口を開く。
「よし皆、おれ達について来てくれ!」
【過ぎ去りしは光の壁、その先は】
・診療所の避難民達と共に"元"禁域の森を進むサボ達を、突如バカでかい光の壁が迫り、また通り過ぎていった。
光の壁は、よく見ればドーム状に空を覆っている。
その大きさは、目測ですらヤーナム一帯を囲えるクラスのものだとわかる程に。
何かの能力の様だが、今のところ自分達に効果はなさそうだ。と分析するジンベエ。
それに対して、能力発動の前提になるようなものかもしれない。気をつけようと答えるサボ。
フランキーがおう、と答える前に、市街方面からの足音が。靴と、蹄の音。
その正体は、ルフィと共に聖堂街上層を目指していたウソップとチョッパーだった。
何故二人がここに?と先の光のドームがすぐ消えた事に拍子抜けしつつフランキーが問えば、彼らから意外な話が返ってきた。
曰く、ウソップ達は聖堂街上層を探索する道すがらにウタと出会い、話を聞いて自分達と同じく月前の湖に向かっていたらしい。
ブルックはウタの護衛に回り、ルフィは湖に向かう途中で喋る獣の痕跡を見つけ、そちらを追いかける事にしたという。
喋る獣は、あのゾロから2回も逃げおおせてる手強い相手。
ルフィが追いかけるのが一番確実かも痴れないと話を聞いたフランキーは思案する。
またルフィに連絡用の子電伝虫を渡してしまった為、ウソップとチョッパーは月前の湖に向かっている自分達に合流して情報のやり取りをするつもりだったらしい。
ドフラミンゴはどうした?と問えば、
そちらは分からないが、上層は火の手に包まれ、ウタにも「ローを追いかけてほしい」としか聞けなかった…とオドン教会の彼を手当しながらチョッパーが答える。
…今宵のヤーナムはあちこちから火の手が上がってますな…
結局の所、現状行き先が分かっているのはローが湖に向かっているという事だけ。
「ならばわし等も同行しよう。様子によっては湖の街の皆も避難させねばならん」
「二人だけってのも心もとないだろ?」
ジンベエとサボの言葉に、ウソップとチョッパーは何度も頷いた。
…フランキー視点で「首がもげんじゃねえか」と思わせる程に頷く二人…凄く…想像しやすい…!
それに、とウソップが言葉を紡ぐ。
曰く、聖堂街では海軍とあの鳩野郎…CP9が一角・ルッチが戦闘を繰り広げていた、と。
戦闘の余波やらなんやらから全員を守りながらオドン教会まで避難するのは難しいかもしれない、とも。
それを聞き、フランキーもまた「なら、仲良く禁域の森の遠足をやるっきゃねえな」と答えた。
・予想外の仲間の合流や情報のやり取りもあったが、とりあえず皆で月前の湖を目指す事に変わりはない。
けどその前に、とサボが懐から子電伝虫を取り出し、コアラへと通信を繋ぐ。
コアラへとウソップ達と合流した事。
ブルックとルフィは現在それぞれ別行動に移っていること等、現在持ち得た情報を詳細に伝える。
情報を受け取ったコアラからは、上層の件については海兵から連絡を受けており、現在モネが現地に確認に向かってくれている事を伝えられる。
また、先の光のドームの件についてはロビン達から確認の連絡が入ったが、ロビン達側でも特に何もなかったらしいとの話。他のグループからはまた報告の連絡は無いとも。
…ふむ。コアラちゃんとサボの情報のやり取りを通じて読者側も情報を整理出来るのはありがたいですね。
しかし過ぎさってった光のドームの件に関して連絡を入れてるのがサボ達とロビン達だけなのか…なんか…性格が出てるなぁ。
どちらかといえばサボもロビンも「有事における情報の共有」の大切さを重要視してる、とも読めるかもですが。
情報は力ですからね。サボもロビンもよく知っている側の人間ですし。
【掲げられしは"希望"】
・コアラとの連絡を終え、一つ咳払いの後にサボが避難民達に向き直る。
訳の分からぬ状況にも、希望を感じさせるサボの表情はどうにも馴染みがあるもので。
「皆!聞いた通り、聖堂街じゃ海兵達が戦ってくれている!湖に行って、皆で一緒に夜明けを迎えよう!」
大丈夫だ、おれ達狩人がついてる。
そう続けたサボの手に掲げれていたのは、デュラから貸与された凪の狩人証。
避難民からわっ、と歓声があがる。
その様子を見ていたフランキーは、こう考えずにはいられなかった。
そういやこいつはルフィの兄貴だったな、と。
素敵な物語をありがとうございます…!
良かった!!オドン教会の彼生きてた!!
サボ達ありがとう…本当にありがとう…!
オドン教会の彼よ…どうか生きる事を諦めないでおくれ…!今回も生き延びて夜明けを迎えるんだよ!皆と一緒にな!
…しかし意味深に差し込まれた光の壁の描写よ…あれは一体…?
ドーム状で、現状何かの被害は出ていない。能力が制限されてる訳でもない。
サボは「能力発動の前提になるものかも」と読んでますが……なんというか…描写からしてナギナギの能力を想起させるんですよね…ドーム状だし…
或いは凪の上位者の能力が展開されたのだろうか…?
そしてお出しされる新情報の数々。
聖堂街で海兵達がルッチとやりあってる事、ルフィは喋る獣を追いかけてる事。
ブルックの一幕は既に描かれましたしね。
…モネさん、確認に行って危ない事に巻き込まれないといいけど…
ドフラミンゴは未だ行方知らず。行先が分かっているのはローだけ。
光のドームに関しては隠し街に向かってたロビン達からもコアラ達のいる通信本部に連絡が。
同時多発的に目撃されてるなら、見間違いとかはなさそうだ…謎が深まる…
最後のサボの振る舞いとフランキーの内心の描写、好きだなぁ…
フランキーは小粋な言葉の回しをしてくれるから読んでて楽しいですね。
サボとルフィ、血の繋がりは無くとも魂は間違いなく兄弟なんだなった。
きっと、炎のように、太陽のように、誰かを照らす希望の光にも似た……
しかし今回のタイトル、どうしても脳内で「愉快な遠足の始まりだ!」と鬼軍曹の声がこだましているのは私だけでしょうか…()