真新しい手記・33

真新しい手記・33


新作だー!\太陽万歳!/

執筆お疲れ様です…!


『流儀』


前回までのあらすじ


・燃える聖堂街上層。シュガーや聖歌隊隊員達の安否は不明

・ウタ、エーブリエタースと孤児院の避難民と共にルフィ達と合流。

・ブルック、ルフィ直々にウタ達の避難の護衛を任命される。

・ルフィ達は引き続き聖堂街上層の探索に、ブルックとウタ達はヤーナムの市街より避難を開始。


・ブルック、ウタ達の避難先はヤーナムを擁するこの島の玄関口。グラン・テゾーロが停泊する港へ。

・ブルック、ウタ達は港に到着するもデュラの盟友氏の亡骸を発見。

・デュラの盟友を手に掛けたのはCP9が一角、カクだった。

・ブルック、ウタ達 VS カク勃発。

・カクとの戦闘は意外な人物の横槍により思わぬ展開へ…?


今回の語り部はカク。

参りましょう。



【キリンの溜息、キリンの独白】

・前回の物語終盤、カクとブルック達の戦闘に横槍を入れ、カク達政府側に手を貸している素振りと、事実ブルックを拘束するという手を見せたテゾーロ。

今回の物語冒頭ではブルックを始めウタや孤児院の避難民を揃って拘束し自らの領域とも呼べるグラン・テゾーロに連れて行くテゾーロを眺めるカクの内心の語りから始まります。


・内心開口一番、自分ななんて損な役回りを任させたのだろうとカクは嘆く。

今頃は仲間達…ルッチは市街で暴れてるだろうし、長官は泡食って出てったし…その護衛でヤーナムを駆けてるであろう皆の事を思うと、どうしてもそんな思いが拭えずにいる。


・今回、カクに任された任務は

「ヤーナムで"何か"が起こった時に備えてのギルド・テゾーロの懐柔」

「ヤーナムの外へ出ようとする目標の迎撃」


・思えば面倒な任務であった…とカクは内心に回想する。

ギルド・テゾーロの懐柔の為に調査を進める中で、ドフラミンゴの下での奇妙な動きが見てとれたテゾーロが元奴隷であった事を突き止め、接触出来たのが半年前の事。

そこからの条件提示には長官も苦心しておったとカクは振り返る。


なにせ相手は元奴隷。

世界政府の事を根っこから嫌い厭うているであろう相手に対し、それでも尚「その条件を飲んでやってもいい」と思わせる、メリットある条件提示をしなければならない。

天竜人の血筋たるドフラミンゴと元奴隷のテゾーロ。

そこで長官は一計を案じた。

元奴隷であるテゾーロを天竜人の血筋であるドフラミンゴからの開放。

それを軸に提示した条件は、グラン・テゾーロの加盟国化と、政府公認の中立地帯化。

つまりドフラミンゴよりも更に上から、公の権力を与えるというものだった。


・カクはテゾーロに接触後、長官立案の交換条件を提示。

二人の会合がどのようなやり取りであったかは語られはしないが、カク視点からは「感触は上々」であったらしい。


・そして、会食会場での一件にて長官が発した命令がなければ、麦わらの一味はグラン・テゾーロで捕える手筈であったとカクは内心に語る。

そちらは手間が省けそうだ、とも。


何故なら、例え自分達が敗れ去るとしても、結局麦わらの一味はヤーナムの外に出る為にはグラン・テゾーロを経由しなければならないのだから。


・内心にてこれまでの経緯を振り返っていたカクに、グラン・テゾーロ内を闊歩するテゾーロが語りかける。


テゾーロ

「さて、話を続けようか」


カク

「うむ」


拘束された麦わらの一味の船員…ブルックやウタ達、孤児院の関係者達を能力で連れながら、テゾーロは機嫌よく黄金の指輪をもてあそぶ。


テゾーロ

「君達の条件は…グラン・テゾーロの加盟国化で間違いないな?」


カク

「そうじゃ」


テゾーロ

「加盟国、加盟国か。このカジノ船が」


ウタ

「…テゾーロさん」


拘束されながらもなお、気丈さを残したウタの声にテゾーロが此方を振り向く。

相変わらずの、胡散臭い笑顔で。



「そうそう…我が街の流儀を見せるのがまだだった」


テゾーロが言葉と共に腕を広げる。

まるで舞台に立つ者の様に。

それと同時に、黄金の港に壁が立ち上がる。


「これは…!」


零れたカクの言葉と共に、黄金の壁の中にはテゾーロとカク、そしてブルックだけが残された。


「ここでは騙された人間は、敗者なのだよ」


テゾーロの言葉が響く。


カクは内心にぼやく。


まったく本当に、損な役回りじゃ。…と



【戦闘!ギルド・テゾーロ!】

・月歩で殺到する黄金の壁を掻い潜り、街に繋がる通路で"敵"を迎え撃つカク。

この状況、逃げ場がないのは此方の方。

しかしこの"街"の間取りは、カクの脳裏はガレーラで"仕事"に入った時からしかと覚えていた。


・テゾーロは語る。


「私は政府の連中が嫌いでね」

「それに、再び星を見失うつもりもない」


長官の目論見は大外れ。

その上、それだけでもないらしい。


「再び星を見失うつもりもない」…そう語るテゾーロの。まったくいい顔をしていること!


「やるしかなさそうじゃのう」


カクは呟く。

赤き月夜の元、黄金の街で戦いの火蓋が切って落とされた。


・戦闘はテゾーロ側が人数の差においては有利。

しかし相手取るはCP9が一角。その身にキリンの悪魔を宿し、覚醒に至る程まで伸ばし研いた戦闘のプロ。


四刀の剣技にてテゾーロの流体と化した黄金を受け止め、避難民である聖歌隊の関係者に攻撃を散らし動く事でテゾーロとブルックの動きを制限していくカク。


麦わらの一味の音楽家とカジノ王を相手取り戦う事になろうとは、世の中何がある分からないもんじゃ。とカクは内心に語る。


しかしここは黄金の街。テゾーロの領域。

戦いに時間を掛ければ掛けるほど、不利になるのは此方の方だ。


カク

「悠長に構えてる暇はなさそうじゃな」


テゾーロ

「これ以上行かせるわけにはいかないのでね。こちらも…」


「本気で行くわ」


突如、見知らぬ声が響いた。


・声の主は突然にカクの視界に現れ、ありえない角度からその背に触れる。


「これであなたはアンラッキー…」


「スルルル…撤退しますよバカラ」


声の主…「バカラ」と呼ばれた黄金の鎧に身を包んだ女性は突如黄金の壁に空いた穴から現れた黒ずくめの男に連れ去られて消える。


カクは構わず「嵐脚」を放とうとするが…磨き上げられた床に足を滑らせた直後にギルド・テゾーロの手勢の者…「図体のデカい男」に頭突きを食らう。


こんなミスをするとは、嫌な能力もあったものだとカクが思ったのもつかの間、


「"飛燕曲バンドゥロル"!!!」


今度はブルックの剣技が放たれる。

剣技にて切られたカクの足が黄泉の冷気にて凍る。

身動きの取れぬカクの見上げた黄金の壁の向こう、巨大な影が立ち上がりつつあった。


「終わりにしよう。"黄金の神の裁き"!!」


テゾーロの能力により放たれた渾身の一撃。

集束し放たれるは金の光。

迫りくる光にカクは悟る。避けられんな。

光に呑まれ煌めく視界には、これだけの戦闘がありながらも欠けもせずにそびえる黄金の支柱に、赤い月に見下された遠くの街の灯りが映る。


わしの、船大工としての初めての大仕事。

今でも忘れることはない。


ああ、しかし。


「これだけ暴れてもビクともせんとは。まったく、良い舟じゃ…」


…カクの呟きは、黄金の光の奔流に呑まれて零れた。



素敵な物語をありがとうございます…!


良"か"っ"た"!!

テゾーロさん裏切ってなかった!!

…言われてみれば「それはそう」でしょうけども!安心!出来なかったの!

一瞬でも疑ってごめんなテゾーロさん!!


しかしお仕事とはいえカクの苦労が忍ばれる内心の独白達よ……

でもテゾーロさんへの交渉にカクを派遣した長官の判断は正しいと思うよ…

まぁその長官もテゾーロさんへの交渉の前提を決定的に読み違えてたせいで結果大惨事な訳ですけども……()


テゾーロさんは決して天竜人の血筋であるドフラミンゴに、ドフラミンゴだから支配されてた訳でも従属させられてた訳でもないからね…縛られた訳じゃないのにドフラミンゴからの「開放」を交渉の材料として設定してしまった時点で既に歯車が噛み合うはずがなかったのだ…

そしてきっちり政府に対する「嫌悪」…恨みというのを滲ませるテゾーロさんよ…

「…(自分は)忘れてないからな」って語らずも圧を感じますね…


しかもテゾーロさんはテゾーロさんで新たな「星」を見つけてしまっていたから。

もうテゾーロさんが迷うことも、見失うこともない。

結局結果としてはカク達政府側を見事に掌で転がすテゾーロさん…という図式が出来上がる事に。


テゾーロさんはテゾーロさんでドフラミンゴ達からわりと苦労を掛けられてた印象(禁域の森更地事件の火消しとか)がありますが、それはそれ、これはこれ。


戦闘シーンも短いながらも皆の魅力が存分に詰まった素晴らしい描写でした…!

バカラさんを始めとしたギルド・テゾーロのメンバーの魅せ方が特に好きです!


テゾーロとウタの関係…「星」とそれを再び見つけた事へのアンサーや、カクとカジノ船"グラン・テゾーロ"との関わりとその秘話が語られ、過去の伏線が回収されたりと大変楽しませて頂きました…!



…次回はルフィ達の視点の続きが、はたまた別チームのに視点があたるのか?

楽しみですね…!

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