真新しい手記・26

真新しい手記・26


新作だー\太陽万歳!/

執筆お疲れ様です…!


『麦わらのルフィ』


前回に引き続きルフィとドフラミンゴの問答のフェーズ。

前回の最後にてドフラミンゴ「この街から出ていけ」という通告に対し「いやだ」とキッパリと拒否を返したルフィ。

流れる空気はまさに一触即発。どうなってしまうのか?

語り部はルフィ。

参りましょう。



【問答の行方】

・ドフラミンゴに対し「コラさんとねえちゃん(人形ちゃん)を起こすまでこの街(ヤーナム)から出ていかない」とキッパリ告げるルフィ。

そうじゃないと、ローの夢は叶わないから。

それに対し「何の冗談だ?」と見えぬ顔、見えぬ額に青筋一つ浮かべてそうなドフラミンゴ。


ルフィ

「ししし!やるか!?」


ドフラミンゴ

「……ふざけんな」


拳を構えるルフィ。

唸るような低い声で怒りを滲ませるドフラミンゴ。



【戦闘?狩長・ドフラミンゴ!】

・先に動いたのは、ドフラミンゴの方。


「覇気もまともに練れねえ癖に強がりか?"荒波白糸"!!」


ルフィを苦しめたバスタブが解けてイトに変わる。細く剥がれたタイルと共にまさしく「荒波」となったイトがルフィを追い掛ける。


だが、それだけだった。


ルフィ

「お前も練れてねえじゃねえか」


ドフラミンゴ

「チッ……」


ルフィ

「ビョーキでしんどいんだろ。なんで早くローに診てもらわねえんだ」


"勘"でひょいとイトを避けながら、気になっている事をぶつけるルフィ。

覇王色一回使っただけで大分消耗してしまうほどしんどいだろうに、なんで自分とケンカなんかしてんだろうと。

…今更ながら、この狩長殿本物だったのか。やはり覇気は影騎糸では再現不可なのかな…いや分からん…本物…本物だよね兄上…?

ドフラミンゴはルフィに答える。


「…俺は獣だ」

「いずれ炎の中で狩られる為の…俺達は、遺志の"どん詰まり"でしかねえ」


ドフラミンゴの言葉に、頭に「?」を浮かべながら「なんだそりゃ」と呟くルフィ。


「番犬程度の価値しかねえってことさ、"麦わら"!!」


ドフラミンゴの攻撃は、見た目こそ派手だが自分を殺すつもりはないのが見て取れる。

何よりドフラミンゴの言葉に「じゃあやっぱ、ケンカはおあずけにできねえな」と内心に決意を決めるルフィ。


「"雁字搦め"」

「あっぶねぇ!」

「…"弾糸"」

「おわ!」


ドフラミンゴのイトの波状攻撃に加え、見えにくいようにあちこちに貼られたイトに追い込まれ、小さいながらもどんどんケガが増えていくルフィ。

無理矢理イトを引きちぎったりして少しずつ自分とドフラミンゴを隔てるイトの壁を薄くしても、まだドフラミンゴには届かない。


「なぜ…なぜ退かねえ」


剣のように鋭いイトにぶつかり体中から血を流すルフィに対し、息を切らせ切羽詰まった声を掛けるドフラミンゴ。


ルフィは思う。

一撃も食らってない癖に、ドフラミンゴのほうがずっと痛そうだ。と…



【止まぬ声、止まらぬルフィ】


ドフラミンゴ

「てめェにも聞こえてるだろう、あの煩わしい赤子の泣き声が!!」


ルフィ

「ああ、聞こえてた」


ルフィは内心に語る。

空の上から降ってくる、赤ん坊の泣き声。

それはルフィが知るどんな人物達も知らない声。

どこにいたって、いつだって聞こえてた。

…むむ。この空の上から降ってくる赤ん坊の泣き声…もしやイム様か…?

そしてその泣き声は、ルフィが幼い頃からずっと、ずうっと聞こえてたのか…

そしてそれは恐らく…


ルフィ

「この街に来るまではずっと…やっぱお前もそうだったんだな」


ドフラミンゴ

「なら分かるはずだ。正しい航路が…この街、お前を"夢の果て"に導くものなどありゃしねえぞ」


ルフィ

「知るか!おれは海賊だぞ!自由にやらなきゃ意味がねえだろ!!」


ドフラミンゴ

「…シャンクスみてえなことを言いやがる」


ルフィ

「友達だからな!」


お前だって友達なんじゃねえのか。

ルフィがそう言葉を投げても、ドフラミンゴは鼻を鳴らすだけだった。


ドフラミンゴ

「おれは…お前とは違う。遺志も意志も…何も継げねえ、ただ弟の…ロシナンテの夢を守るための秘匿だ」


そう告げるドフラミンゴに、ルフィは畳み掛ける。

だったら。


ルフィ

「だったらなんで、この街はこんなに静かなんだ!!」


ルフィにとって"はじめて"だったのだ。

あんなに静かな夜は。皆の声しか聞こえない宴は。

コラさんの、ロシナンテの"おれの影響で出る音は、すべて消えるの術"は…きっとこいつ(ドフラミンゴ)の為のものなのに。


ルフィ

「コラさんが言ってた。"兄上によろしく"って」


ドフラミンゴ

「…あいつが?」


ルフィ

「お前(ドフラミンゴ)のこと、勝手に諦めたのはお前だけなんじゃねえのか」


ルフィの言葉に、ドフラミンゴの弱った覇気がまた揺らぐ。

ルフィは確信する。本当はドフラミンゴ自身だって分かってるのだと。


ルフィ

「コラさんも、ローだって、いっぺんもお前を諦めなかったぞ!」


ドフラミンゴ

「だが呪いからおれは…!」


ルフィ

「お前がつまんねえことしか聞こうとしねえから、誰もお前を助けらんねえんだ!!!」


ルフィは吼える。

硬く細いイトに当たり、踏ん張った足から血を噴き出そうとも。

構うもんか。


「いくぞ!!ドフラミンゴ!!!」


お前がいなくなったら、お前とコラさんを猶したくて医者になったローはどうすんだ。

夢にひとりぼっちで、それでも兄ちゃんを助けようとしたコラさんはどうなるんだ。

思いの丈を乗せて、ルフィが大きく右腕を振りかぶる。

覇気もなにもこもってない、ただのパンチだけど。だけど鍛えてるから、銃みたいに強い。


聞いたことあるだろ?

『どんな理由があってもな、友達を傷付ける奴絶対許しちゃいけねえんだ』


「"ゴムゴムのォ…"」

「"蜘蛛の巣がき"…!」

「"銃"!!!」


入った。一本。

ルフィの一撃は、確かにドフラミンゴに届いたのだ。


「思い知ったか!おれのパンチは銃のように強いんだ!!!」


ルフィの言葉に、ドフラミンゴは答える


「ゴホッ…フフ……さんざん聞かされた通りにな」


「にしし!!」


零すように語るドフラミンゴに、ルフィは笑う。太陽のように。

ルフィは思う。

やっぱ友達なんじゃねえか、と。

昔、どうしても冒険に連れてって欲しくて、いつもシャンクスに言ってた言葉。

その言葉を、ドフラミンゴはちゃんと覚えてたのだ。


ドフラミンゴ

「……お前の言うことが本当なら…おれはもう一度ロシナンテの意志を知る必要がある」


ルフィ

「手伝ってくれんのか!」


ドフラミンゴ

「…そういう言い方もできるかもな」


ルフィ

「おおー!」


ドフラミンゴ

「おれは先にローを追う。場所の見当はつくんでな」


ルフィ

「おれも行くぞ!」


ドフラミンゴ

「覇気がまともに使えるようになってからだ」


ルフィ

「あっ!」


ルフィが「連れてけ!」って口にするより早く、ドフラミンゴはイトで自分を引っ張って建物の向こう側へと行ってしまった。

追い掛ける事は出来ても、これだけ建物が多いと当てずっぽうになりそうだ。

そんな風に考えてたら、お腹が盛大に鳴る。


「…ハラ減った」


カラスのねえちゃんがいたとこに行ったら、まだメシ食えるかな?


腹ペコルフィの聖堂街探索の行方やいかに…?



素敵な物語をありがとうございます…!


ルフィとドフラミンゴの問答から戦闘、和解(?)まで…ハラハラドキドキの展開に大変楽しませて頂きました…!


特に戦闘後半のドフラミンゴの告白からのルフィの叫び、ゴムゴムの銃のくだりは涙が滲んで仕方がなかったです…!

ありがとう…本当にありがとう…!

やっと、やっと兄上が…兄上が…!

…一人でずっと頑張り続けてきた月の竜に、太陽が手を差し伸べてくれたんだなって。やっと、やっと届いたんだ…


ルフィを助けた兄上が(推定)本物だったり、ルフィとドフラミンゴには空から降る赤ん坊の泣き声…恐らくイム様の泣き声がずっと聞こえたんだなっていう何気に重要そうな情報がお出しされてたりと見逃せない場面もチラホラ。

後ね兄上、多分兄上はそうじゃなかったかもだろうけどシャンクスは兄上の事ダチ認定してたと思うよ…

友達って認識してなかったの兄上だけだと思う。


さてルフィもローもドフラミンゴも単独行動になったり、ルフィはドフラミンゴ戦でのケガも治りきぬ間にお腹が減ってる状態。ルフィ大丈夫かな…?

ルフィは次にどこを目指すのか…カラスのねえちゃんは多分「お仕事」の為に不在だろうし…夜だからメシ屋が開いてる訳もなく。

もしや聖堂街上層の孤児院を目指したり…?とか?


ローもドフラミンゴも気になるし…

他の皆も気になるし…

後…何気にドフラミンゴの「そういう言い方もできるかもな」って言い回しが絶妙にズルい大人感が出てて好き。

いや大人というかおっさ…げふんげふん。


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