真新しい手記・13

真新しい手記・13


新作だー!\太陽万歳!/

執筆お疲れ様です…!


『協力者』


今話は前話の続き…ではなく「一方その頃」なお話。

ルフィとジンベエが朝一でヤーナムの街に飛び出して行った後、さて他の一味の皆はどう過ごしていたのか?か綴られます。今回はサンジ視点のお話。


物語冒頭、どうやらサンジはヤーナム市街の市場に顔を出している様子。

賑やかな市を見渡しつつ、市に並ぶ食材に目を光らせます。

市場に並ぶ食糧達は、土地に対して明らかに過剰な人口さえも支えるに十分な量があるとサンジの目にも分かるほど。

…やはりヤーナムは土地の絶対的な面積に対して人口がかなり多いみたいですね。人口過密な状態。しかしそれすらも支えきれる程の食糧の流通が見て取れる辺り、しっかりとした経済の基盤があることが伺えます。

サンジも「この街(ヤーナム)はドレスローザ(食糧の主な輸入元)の通商が止められている間も政府公認の貿易船が盛んに行き来していたらしい」と読んでいますが、間違いではないのでしょうね。

食糧の輸入元の一つと通商が止められていても、それに頼らず他の国との貿易で食糧を賄える程の経済規模…こう言ってはなんですが、ヤーナムは経済的にはかなり豊かな島、豊かな国の様に見えてしまいますね。

ヤーナムの場合は「医療」をビジネスとして、また国の経済の基盤として立てている「医療先進国」…みたいな感じでしょうか?


また加盟国ヤーナムの島の気候はどうやら秋島のもののようである、との新情報が。こういう情報が物語の中でさり気なく出てきてくれるのは嬉しい。

そして「郊外から集められた野菜には余裕がある」との描写から、ヤーナムにも地場野菜みたいなものがあるんだな…とびっくりしました。ヤーナム産のお野菜…一体どんな味なんだ…?というか野菜を作る土地がちゃんとあるのか……


野菜事情が判明した次は海産物事情が。

ヤーナムとその近辺は凪に包まれた海域と島という特性上、凪の帯よろしく海王類が蠢く海域となってる為に海水魚の取り扱いは限られており、逆に淡水魚の種類はサンジが驚くほどに豊富である、と。…養殖とかしてるのかな、淡水魚。

そして海王類の干し肉やら"がら"の取り扱いもあるとの話。一体誰が仕留めて流通させてるんだ…海王類を…しかも屋台に並んでるって事はそこそこ流通してるのでは…?


そしてヤーナムにも地元の味、郷土料理もあるにはある。とのとっても気になる情報も…!

現在のヤーナムは移民による食文化の坩堝が発生しておりますが、元々ヤーナムは島の内陸にある一都市。郷土料理があってもさもありなん。

サンジはお宿で出されたタタラークなんかは中々のモンと回想しておりますが、タタラークとはなんぞ?と思い調べてみました。

…成程。現実世界だと東ヨーロッパが一国、チェコの郷土料理なんですね。

タタラークとは要するに牛肉や馬肉などで作る生肉ユッケ。成程成程…

…チェコ、もとい東ヨーロッパ、東欧地域は明言はされてないもののBloodborneの地域のイメージとして開発者さんのインタビュー記事に記載がありますし、チェコは内陸国、ヤーナムも内陸の都市と郷土料理のイメージはぴったりですね…!

…生肉ユッケ、と判明した時点でちょっぴりエルデンリングの「生肉団子」を思い出してしまったり。あれもフレーバーテキストを読む限り要するに似たような料理(料理?)なので…


ついつい何時もの調子で食材を物色、買い込みに手を伸ばしそうになりますが、今は買い込んでも持ち帰る船はドレスローザに預けてる身だと思い出すサンジ。

偉い。


「凪の島」の名に恥じぬ、極端に風が弱い淀んだ空気。

どうにも調子の乗らない見聞色の覇気。

見聞色の覇気持ちは勿論、風を…天候を読む事に長けたナミも含めてこの島には違和感を感じているサンジ。

文章からは、風を読みにくいが故かナミさんは大分調子が整いにくそうな気配を感じますね…心配だ…

ロビンちゃんもどうやら気がかりがある様子らしく、サンジは女性陣二人の「ナイト」として悩みを取り除いて差し上げねば!と奮起を新たにします。

夕方辺りに宿の厨房をちょいと借りてスイーツでも用意しようか。と考えながら市を歩いていると、黒い装いのご婦人と目があった。


最初は教会のレディ…現在の医療教会に所属しているご婦人かと思いきや、よく見れば目のあったご婦人は少し胸元のあしらいが異なるらしい。その上身に纏うストールにもスカートにも繕いの跡があちこちに見て取れる辺り、長く着られているのであろう事も。


目のあったご婦人は、サンジに近づき訪ねます。「もしや、麦わらの一味の船員の方では?」と。

それに是と答えるサンジ。ドレスローザに引き続き海賊相手らしからぬ対応をされ驚きを隠せない。

ご婦人はサンジに告げる。


「狩長が、あなた方を探しているようです」


狩長…ドフラミンゴが自分達を?と言葉にするサンジ。

ご婦人は言葉を続ける。


「ええ…教会の狩人達や関係者が街のあちこちに…」


しかしなんでまたドフラミンゴの手下達がこぞって自分達を探すのか…と困惑を滲ませるサンジに、ご婦人は


「それ(どうして狩長が貴方達を探しているのか)はわかりません…」「申し訳ありません、狩人様のお役に立てず…」


と、不思議な発言を零します。

「?」を浮かべ不思議がるサンジに、ご婦人はさらに言葉を零します。


「貴方からは、あの凪の血の臭いがしませんから…」と。

そしてご婦人はサンジに「こちらをお納めください」と木箱に入った何かを手渡した。

サンジが木箱の蓋をずらして確認すると、それは木毛に包まれた酒が鎮座していた。


沈黙を続けながら、サンジは思考を巡らせる。

さて、これをどう捉えるべきか、と。

ご婦人は自分の事を「狩人様」と読んだが、当然自分は狩人ではない。海賊だ。

しかし彼女…ご婦人は気になる事も言っていた。

彼女は他の住人と違い、教会の狩人と"狩人様"…彼女の言葉を借りるなら「凪の血の臭い」がするものを「教会の狩人」と呼び、しないものを「狩人様」と分けて考えており、また呼び分けている。


サンジが思考の渦を巻いている最中、ご婦人が"何かを"察した。


「!教会の狩人です…どうか蓋はぴったりと閉めてお持ちくださいね…」


本当にそれだけを早口で言い切って、彼女は往来に姿を消した。

驚くほど一瞬で人混みに紛れた彼女の背はもう見えず、サンジですら追いかける事は叶わなかった。

お酒の礼もまだだったのに、ワケありらしいレディを一人にしてしまった…と内心に思うサンジ。

…しかし、そういやそもそも何故あのレディは自分を海賊だと知っていたのに狩人だと勘違いしたのか?

臭いがどうこう…と零していたがそれもよく分からない…まさかそのままの意味ではないだろうが、何か教会の狩人とレディが"狩人様"と呼ぶ狩人を見分けるしるしがあるとでもいうのか…?


思考を巡らせ続けるサンジに、不意に自分の名を呼ぶ嬉しそうな声が届く。

声の主はチョッパーで、振り返ればチョッパーと――狩人装束の男。つまり教会の狩人の姿が。


チョッパーは大方自分を探して追ってきてくれたのだろうが、同時に狩人まで引っ張ってこようとは…こりゃもう「知りませんでした」って言い訳は使えないなと内心にごちるサンジ。


「お前(チョッパーは)なんで狩人と一緒にいるんだ?」とチョッパーに問うサンジに、チョッパーは「自分は医療教会に勉強しに行ったが、そこで皆(麦わらの一味)を探さないとって(事態に)なって、皆の匂いを知っている自分が手伝う事にしたんだ」と答える。


「"麦わらの一味"、サンジ殿ですね」

「狩長殿がお待ちです」


…教会の狩人はあくまで丁寧に、敬称を付けてサンジに接する。

それにしても、狩長…ドフラミンゴが一味全員を呼び出しとは。

呼び出されたその先に待つのは、鬼か蛇か…はたまたはてさて……



素敵な物語をありがとうございます…!


物語の最初から最後まで見逃せない情報満載、気になる謎にドキドキハラハラの急展開に大変楽しませて頂きました…!


物語冒頭からのヤーナムの食糧事情のお話は、物語の中の世界観や人々の営みを伺い知れるフレーバーテキストが大好きな自分としては涎も滴るような大変嬉しい情報でしたね…!まさか飯テロ(タタラーク)まで食らうとはうれしい予想外でしたが……わはは!


そしてサンジの前に現れた謎のご婦人…

その終始のやり取り、手渡された木箱に入った酒……この時点で、タイトルの『協力者』といいサンジ君のナイスな観察眼のおかげか自分の中では「このご婦人、アデーラさんでは?」という考察が沸騰しております。


…現在の医療教会の装束と似ているが細部の違う装束。繕いの跡があちこちに残り長くその装束が着られている事が示唆されている描写。

…現在の教会の狩人達の事を「凪の血の臭いがする」者として見ている描写。

…その臭いがしないサンジの事を何故か"狩人様"と呼ぶ様。

…教会の狩人達とはどうやら会いたくない、見つかりたくないのだろうなと思わせる描写。恐らく現在の医療教会には属してはないのだろうという事も暗に伺わせますね。


様々な描写や言動の数々も、もしこのご婦人がアデーラさんなら辻褄があうというか納得が出来るのですよね…


・現在の医療教会の装束とはあしらいが異なる、何度も繕われ長く着られている事が伺える装束。

→恐らくご婦人が着ている装束は旧い医療教会の装束。我々がよく知る方の医療教会の装束(黒)なのだと思われる。


・現在の教会の狩人達の呼び方や「凪の血の臭い」などの表現。

→恐らくご婦人は「凪の血=現在のヤーナムの聖血」の大元が「穢れた血=カインハーストに連なる、或いは似通う血」である事を知っている。そうでなければ「臭い」なんてマイナスなイメージを想起させる表現はしない筈。

ご婦人にとって「凪の血」やその「臭い」はよくないものイメージである事が言葉の端々から伺える。同時に「凪の血」を拝領している現在の教会の狩人達や、そのトップである狩長殿にもよい感情を抱いてない事も。

だからサンジとの別れ際もあんなに性急だったんじゃないかな、とか。


・サンジの事を"狩人様"と呼ぶ。

→これはまだちょっと自分の中では結論が出てないのですが、ご婦人はサンジに"狩人様"の印…いわば"月の狩人"の気配を感じたのではないかと推測してます。

問題はサンジにどこに"月の狩人"の気配を感じる要素があったのか…

少なくともご婦人はサンジが麦わらの一味である=海賊であるという事を理解していたし、同時にサンジからは「凪の血の臭い」を感じない=凪の血を拝領していない事も理解している筈なので。

うーむ啓蒙が足りぬ…足りぬ……


・サンジに手渡した木箱入りの酒

→…これ原作版の血の酒じゃね?

ご婦人=アデーラさん説が本当だったとしたら、最後の獣狩りの夜以前から生きてるご婦人(アデーラさん)なら原作版の血の酒を持ってても可笑しくないし…

いやまさか自分の血(血の聖女の血)を熟成させた血の酒ではないと…思いたいな…

「狩長殿の元に行くのであればこれ(手渡した酒)を持っていって欲しい」と言ってるのでご婦人はこの木箱入りの酒を狩長殿…ドフラミンゴに渡したいんだよな…多分。しかも「蓋はぴったりと閉めてお持ちくださいね」と言ってる辺り、多分ドフラミンゴ以外の奴らには勘付かれたくない代物でもありそう。

…もしかして毒入りの酒とかだったりするんですか?いやまさかね…まさか…


…でも原作のアデーラさんも狩人様があんまりにアリアンナさん(穢れた血の者)にデレる(何度もアリアンナさんの輸血液を融通してもらう)とアリアンナさんの事コロコロ(意味深)しちゃうからなぁ…穢れた血の者に対する嫌悪は原作でも健在なんだよな…


今回のタイトルの『協力者』も、サンジに対する"協力者"ってのと、前話の考察でも書いたサボ達の"現地の協力者"とのダブルミーニングなんじゃないかと思ったり。つまりサボ達の"現地の協力者"は今回の"ご婦人"と同一人物であると睨んでいます。

そしてその人物がアデーラさんである事も。


これだけでも気になる事がいっぱいなのに、ナミさんやロビンちゃんの様子も気になるし、チョッパーが医療教会で遭遇した「麦わらの一味の皆を探さないと」ってなった案件の詳細も気になるし…

そもそも「麦わらの一味」に対して全員招集を掛けた狩長殿…ドフラミンゴの目的と真意はなんなのか…?


ルフィ達サボ達の行く末も気になるし、サンジ達の行く末も気になる〜!!


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