真新しい手記・12

真新しい手記・12


新作だー!\太陽万歳!/

執筆お疲れ様です…!


『禁域』


前回までのあらすじ。

・ルフィとサボの再会

・ジンベエとコアラの再会

・サボとコアラは革命軍所属

・革命軍の目的とは?


前話の最後、サボは「外で話をしよう」とルフィ達に持ちかけた所で終わりました。

今話ではサボ達「革命軍」のメンバーがヤーナムに訪れた目的が明らかとなるのでしょうか…?語り手は引き続きサボが務めます。


物語冒頭、サボとルフィ達は『月前の街』を離れ、街を囲む白い霧を抜け、どういう原理か湖の底の街から湖の縁に戻ってきます。

…街を囲む白い霧を抜けたら、湖の底の街から湖面より上の、地上まで戻って来れるとは…なんとも不思議です。


また初っ端から重要ワードがポロリ。

どうやらサボ達「革命軍」には、ヤーナム内に現地の協力者がいるようです。

まぁそうでもなければ『月前の街』には辿り着けないよな…

…ルフィ達?アレはケースが特殊過ぎますので…『来たことないけど多分知ってる』とか『見たことないけど(冒険譚という物語として)聞いたことある』ですからね…


そして地上に戻ってきたサボ達は、ルフィ達に『月前の街』に何故自分達「革命軍」が潜伏していたのかを教えてくれました。

曰く…「『月前の街』に魚人の奴隷達…その身に蹄を焼かれた天竜人の奴隷達が、大勢連れてこられているとの情報を手に入れたので調査をしに来た」との事。

…成程。それならば納得がいくもの。

本来なら天竜人の所有物である奴隷が、天上でもない外界の、それも加盟国の一国内に大勢が一箇所に集められているとなれば、それが「何故か」「どんな理由で」と調べずにはいられない。「革命軍」であるなら尚更。調べるに値する価値ある情報だと踏んだのですね。


そしてサボ達が実際に『月前の街』に潜入し、街の様子を見た時点でサボ達が予想していた『最悪の可能性』は消えたらしい。

…彼らは一体どんな『最悪の可能性』の想定していたのか…考えを巡らすのにも躊躇してしまいますね。


サボ達の話を神妙な面持ちで聞くルフィ。

意外な事に、ルフィは「蹄と天竜人の話」に質問を挟まなかった。

サボは「(ルフィも)シャボンディや魚人島に寄ったから、或いはジンベエやロビンに聞いたのか」と予想していましたが、そうかサボ達視点からだとルフィが女ヶ島で「蹄と天竜人の話」をハンコック達から聞いている事を知らないのか…

実はルフィはサボ達が想像するよりも遥かに「蹄」や「天竜人」に関しての知識を有しているという事実よ…


サボ達の話を聞き終えて、ルフィは神妙な面持ちのまま口を開く。


「蹄、皆消してもらったって言ってたぞ」


…と。

ルフィの発言に驚きを隠せないサボ達。

誰から聞いたのか?とルフィに問えば「メシ屋で聞いた」との答えが返ってきた。

しかもルフィの話によれば「蹄」を消したのは「医療教会」…医療教会の者が消してくれたらしい、とも。


ルフィからもたらされた情報に驚きと混乱を伴うサボ達。サボは思考を巡らせる。

…竜の蹄は消えない烙印。刻まれたものは一生、天竜人の"支配"から逃れる事はできない。

ただ、太陽の印に変える以外では。


コアラが口を開く。


「待って!でもそんなこと…世界政府に知られたら…」


そう。もしもこの事が事実なら、実に大問題だ。

天竜人の所有物である奴隷達の蹄の刻印を、"支配"の証を、よりにもよって加盟国であるヤーナムの基幹組織である「医療教会」が刻印を自在に消してしまえるという事となれば…

それがもし公に知られてしまえば…

それは現在の世界の「秩序」をひっくり返しかねない、天竜人以外にとってはとびっきりの「切り札/ジョーカー」に等しい。

それは天竜人、そして麾下の組織である世界政府にとっては到底許しがたい事だろう。


サボがコアラの言葉に「大問題だろうな。よりによって"支配"を帳消しできるなんて、連中にとっては許せない事だろう」と答え、それに続くように「…もしや、その為にあの街が?」とジンベエが呟く。


竜の蹄、天竜人の"支配"の証を「太陽の印」を変える以外の方法で帳消しに出来る技術を持つ「医療教会」

しかし「医療教会」は加盟国ヤーナムの基幹組織にして国の根幹に関わる存在。

そんな存在でありながら、もし知られれば国家滅亡間違いなしの天竜人・世界政府に仇なす様な技術を抱え、それを魚人族の元天竜人の奴隷達に施し、彼らを隠れ住まわせるかの様に存在する『月前の街』…

正直な感想、ヤーナムが、医療教会が「天竜人」や「世界政府」に自らの治験(竜の蹄を消す技術)を知られて加盟国剥奪、最悪国家が消されるかも知れないというリスクを犯してまでも元天竜人の奴隷達…魚人達に治験を施し、あまつさえ安寧の住居すら与えてる…その行為の真意はまだ見えないんですよね…

そんなとびきりの爆弾を隠し抱えて、どうするつもりだい?と、首を傾げずにはいられません。


流石のサボの思考も「情報は集まって来ているのに、どうにも答えに結びつかない」と参っている様子。分かるよ…読者視点ですらそうなんだもの…


考え込むサボの背を、不意にルフィが叩きます。

ルフィが指差す先には、以前に来た時には無かった筈の建物が。

その建物は、当たり前の顔で湖を見下ろしている…


そしてサボの内心の語りにてまたしても重要そうな情報が。

おれ達…つまりサボ達にはもう一つの目的及び目的地があり、それは「かつてあのベガパンクと親交があったという学び舎」を見つける事…のようですね。

もしや…というかもしかしなくてもその学び舎ってビルゲンワースの学び舎の事ですよね…?!

しかしサボの視点から見て「外見からして随分と違ってるみたい」との事。

つまり『月前の街』から帰ってきたら現れた謎の建物は、ビルゲンワースの学び舎ではないのか…?

…もしや、以前聖堂街上層の孤児院で狩人狩りの彼女から聞いた「魚人族の方が警備してる」「禁域の湖にほど近い建物」なのか…?


「あんなんあったか?」「いや…わしらが湖に飛び込む前には近くに建物は無かった筈じゃ」とルフィとジンベエのやり取りを横に聞きながら、サボもまた「市街の建物に比べたら背の低い平屋の建物ではあるが、あれだけ横に広ければここにいる全員が見逃す筈もない」と内心に呟く。


そしてルフィが訳知り顔で呟く。

ルフィの呟きにコアラちゃんがついに口を挟む。「(ルフィ君達は)(月前の)街への入り方とかあの建物のことって、外で街の魚人さん達に聞いたの?」と。

コアラちゃんの問いに、ルフィとジンベエは答える。

「カラスのねえちゃん達に聞いた」

「縁あって教会の上層に招待されてな。ルフィの兄なら知っているじゃろうか、コラソンという狩人の弟子に行き会うたのじゃ」…と。

この「コラソンという狩人の弟子=カラスのねえちゃん=狩人狩り」…ですね。


サボはコアラに続いてルフィに問う。

「コラソン…それって"コラさん"の名前か?」

おう!となんの気負いもなく肯定を返すルフィ。湖に入れたのもコラさんのおかげだ!と語るルフィを前に、サボの脳裏では今まで集めた情報が組み上がり、恐ろしい符号が導かれようとしていた。


ヤーナムの潜入の折に知った「コラソン」の名は、13年前にこの街を滅ぼした狩人のものだった。

"コラソン"とは"コラさん"であり、ルフィの夢の友達の、恐らく保護者であった男。その冒険譚の舞台は―――


連鎖する情報の鎖。

サボはコアラに「一度市街に戻ろう」と提案し、コアラも「情報を共有したいしね」と頷く。


現在、目の前に現れてる湖の縁のあの建物は何なのか?第一候補であった「Smile」…人造悪魔の実の生産拠点は、ルフィ達の活躍によりドレスローザであった事が判明し、候補から外れた。

後に残ったのは、あの建物がどういう条件なのか幻のように現れるという謎だけ。


恐ろしい噂の主である"コラソン"と、ルフィから伝え聞いた冒険譚の主役である"コラさん"。

アラバスタとシャボンディ、頂上戦争でルフィを助け、共にドレスローザを救ったトラファルガー・ロー。

奴隷から蹄を消したドフラミンゴの本当の顔。

そして協力者から聞いた「穢れた血」の意味。


手応えがありすぎるくらいだ、とサボは内心に語る。


森に入り街を目指すサボ達一行。

「仲間もいんのか!」とルフィは嬉しそうに声を上げて後を追ってくる。

サボの仲間に会えるかも?!と顔に書いてあるルフィに、残念ながら…と首を横に振るサボ。


「いや、現地の…」


恐らく、現地の協力者がいるんだ、とかの台詞が続いただろうその言葉は、されと紡がれる事はなく。


「現地の協力者か。フフ…上手くやるもんだな」


傾いた日に照らされた木々の隙間から、唐突に声が振る。

…狩装束に羽外套の男が一人、幹を渡るイトの上からサボ達を見下ろしていた…



素敵な物語をありがとうございます…!


そして叫ばせてください。

兄上キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

…失礼。喜びのあまり思わず顔文字が出てしまいました。何分最推しキャラがこんなに早く、こんなにカッコいい登場で、しかも次回に続く…となれば期待も興奮も鰻登りの滝登りでございます…!


しかしサボ達ルフィ達の兄上とのこのエンカウントのしかたは…かなりマズイのでは…?これ「だからこそ…恐ろしい死が必要なのさ」「愚かな好奇を、忘れるようなね」ってやつなのでは…?

サボ達ルフィ達、生きて帰れる…?

どうか穏便に、穏便に済みますように…!


今話も多くの情報、多くの謎、今後に繋がりそうなアレコレが盛り沢山で大変楽しませて頂きました…!

『月前の街』から帰ってきたら現れた謎の建物。

サボ達に協力する現地の協力者さん。

竜の蹄と天竜人の"支配"の話。

太陽の印と医療教会の不思議技術。

サボの中で組み上がる情報と符号。


…特に気になるのがサボ達に協力してくれている現地の協力者さんの事。

穢れた血の意味…はて、そもそも「穢れた血」という単語やその意味は、旧い医療教会に属していた関係者しか知り得ない情報の筈…しかも穢れた血がドフラミンゴを指すのならば…ドフラミンゴが、穢れた血を引く者…カインハーストに近しい、連なる血筋だと知り得てる人物。

それに穢れた血と呼ぶのは恐らくブラボ側に寄った人物。ワンピ側から呼ぶなら天竜人の血筋になるだろうからね。

…もしかして、サボ達の現地の協力者さんって、アデーラさんだったりします…?


かなり強火の考察(妄想)ですが…

アデーラさんは、彼女は獣狩りの夜にヤハグルでコラソン(コラさん)に保護されオドン教会に匿われていた事は確かですし、オドン教会の主(?)たる赤ローブの彼は獣狩りの夜が明けた後、訪ねてきたドフラミンゴと対話している幕間がある…つまりコラさんが駆け抜けた獣狩りの夜の中で、オドン教会にいた人物は夜明けに辿り着いている…生き延びている。

アデーラさんはSSスレの描写からして本能レベルで「血族であるか」を判別出来るっぽいから、仮にアデーラさんがドフラミンゴを見たら多分コラさんに保護された時と同じで分かると思うんですよね。

そしてアデーラさんは旧い医療教会の血の聖女だった方…つまり穢れた血憎し、或いは恐ろしの思想の方だと思うので…

…そんな思想の方が、ヤーナムの実質的盟主に君臨している者が、自分が元々所属していた組織を解体し再構築した者が穢れた血の者であると知っているならば。

…外部からの者に協力者として協力し、ドフラミンゴが穢れた血の持ち主なのだと、滅ぼされるべきバケモノなのだと、その牙城が、秘匿が崩れる手助けがしたいと考えたりしないかな、とか。

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