真新しい手記・10

真新しい手記・10


新作だー!\太陽万歳!/

執筆お疲れ様です…!


『月前の街』


前回までのあらすじ。

・聖堂街上層の孤児院でウタと再会

・ウタ、狩人狩り、シュガーから新しい情報を入手。しかしルフィが知りたかった本題の情報はゲットならず

・最後はグラディウスに見つかって聖堂街上層から退散


さて今回は前話の最後、追い立てられるように聖堂街上層からもと来た場所…聖堂街まで逃げてきたルフィとジンベエのお話。語り部は引き続きジンベエ氏。


物語冒頭、聖堂街に無事(?)逃げ延びたルフィが「そういやさっき怒鳴ってた奴って誰?」と尤もな疑問を呟き、それにジンベエが答えます。

そこからジンベエの知りうる限りのグラディウスに関する情報開示フェーズ。

ここで読者もまたグラディウス君に関する情報が更新される訳ですね。


・グラディウス君は狩人ではない

・グラディウス君は狩りに興味がない

・ジンベエ視点からみた感じ、グラディウス君は「ドフラミンゴ個人を慕う部下」

・時間と配布資料の読み込みさえ守れば誰に対しても別け隔てない態度で接する

・というよりもドフラミンゴ以外の人に態度を変える必要性を感じていない節があった。


「(グラディウスは)職務に忠実な男であり、正規の手続きなしにあの場にいた自分達の事を見過ごせなかったのだろう」

との旨の言葉でルフィへの説明を締めくくるジンベエ。

ルフィからの返事はまぁ淡白な事…ちゃんと聞いてはいるだろうけどね。


ルフィの人探しは振り出しに戻った状態。さて次はどうするのか…?

宿の皆と一度も合流すべきか…?と思案するジンベエを余所に、ルフィは今度はシュガーから貰った情報の一つである『禁域の湖』に向かうようです。


「禁域と呼ばれるのは聖堂街から続く森の一部のようじゃが…」

「ようし!行くぞ!」


ルフィは思案に悩むジンベエを尻目に、麦わら帽子を被り直して目的地へと元気に向かいます。

ルフィ達が目指す『禁域』は、ジンベエの視点によれば「少し前までは全域が森であったというその場所には半ばまで住居が立ち並び、既に歩道や馬車道、ガス灯までもが整備されて街のような様相を呈しておる」との事……

…まさか。この既に整備と開拓済な禁域の一部って…少し前にドフィとヴェルゴさん(達)が大喧嘩して更地に整備しちゃった禁域の一部か…?

禁域といいつつ歩道に馬車道、ガス灯に住居があったらそれはもう市街の景色とそう変わらんのよ…禁域とは一体…うごごごご……


禁域(開拓地域)にて湖を探すルフィ。

彼の声に住民達は驚いて振り返るが、ルフィの隣りにいるジンベエ…魚人族の姿を見て納得したような表情となり何も言わずに見送ってくれた。

住民の態度に「やはりここ(禁域の湖)に同族の住処があるのは本当のようだ」と納得するジンベエ。


開拓の進んだ地域を通り過ぎると、ぬかるんだ道とその脇に墓標が並ぶ暗い森へと入る。あ、良かった我々がよく知る禁域の森の姿だ……

森の中に点々と吊られたランタンの灯りを頼りに進むルフィ達。しかしジンベエの同族の姿は見えなかった。


どれほど森の中を進んだのだろうか。

森の中でも殆ど沼地のような場所を超えて漸く現れたのは、澄んだ湖の姿。

時刻は真昼。空に浮かぶ白い月が、奇妙に大きく水面に影を落としている。

…タイトルの『月前』の単語といい、このブラボプレイヤーなら既視感を覚える風景の描写…これは…ビルゲンワースの『月前の湖』と瓜二つ…


しかし描写には奇妙な点も。

ジンベエ視点では目の間に広がるのは澄んだ湖のみで、近くには住居も、狩人狩りの話に出た立ち入りを禁じられた建物も、ましてや同族の姿の一人すらも見当たらない様子。

一体これはどういうことなのか…?


ジンベエと読者の疑問を置き去りにするかのように、ルフィがとんでもない事を言い出した。

なんと、能力者でありながら湖に飛び込むのだという。ご丁寧に準備運動も終わらせてるし…

み、湖はプールやお風呂じゃないんだぞ…?!ジンベエさんの見立てだと澄んでるのに底の見えない湖だから相当深そうだぞ…?!


ジンベエの諌める言葉にも笑顔と「溺れてもお前がいるだろ!」の言葉を返して、ジンベエが伸ばした腕も器用にすりぬけ本当に湖に飛び込んでしまったルフィ。

慌ててジンベエも追って湖に飛び込んだその先では……


霧に覆われた空と、街が広がっていた。

シャボンに覆われているわけでもないないのに、その場所の地面は水面。

空にはまるで蜘蛛の巣のように細い光を跳ね返すイトが無数に渡っている…

…おぉふ。これはいよいよ『月前の湖』の景色の再演…足元が水面なのはまさにそれ。

しかし『月前の湖』のあの景色の中に丸々街が一つ収まっているような感じなのでしょうかね…?それはそれで凄いなぁ。魚人島とは似て非なる景色だろうけど、きっととても幻想的な景色なんだろうな。

そして気になる描写は霧に覆われた空に張り巡らされた無数のイト…

ブラボにおいて蜘蛛は秘匿の守り手。

しかも『糸』ではなく『イト』という描写からして、この禁域の湖…湖に隠された街を秘匿とし、それを守っているのは恐らく……


「来たぞ禁域の湖!」とはしゃぐルフィと色んな意味で心底からの驚きを隠せないジンベエ。

ルフィはこの場所を、この景色を想定して湖に飛び込んだのか?とジンベエは問いますが、ルフィから「街は知らないが、コラさんの冒険譚の中に似たようなシチュエーションがあった」との旨の話が返ってきました。

きらきらグモ、きらきらグモに至るためには湖に飛び込まなきゃいけない、きらきらグモに至る前の道筋にはヘンな森(ヘビが出る)…コラさんの冒険譚が、ルフィを正解の道筋に導いていたのか。

そしてコラさん…コラソンの冒険譚はヤーナムの神秘によくよく踏み込んだものであったようだと驚きを隠せないジンベエ。ジンベエさん、ルフィと行動するようになってから驚きっぱなしのような気がしますね…魚人島出身という身、他の一味の皆よりも神秘に近い場所の生まれ育ちの筈ですが、我らが船長の冒険はそれを遥かに凌駕するようです。


メシ屋を見つけ、早速そこへ突撃するルフィ。追うジンベエ。

メシ屋で相席となったのは、昨日市街で行き会った魚人さん。

魚人さんはルフィ達…いやジンベエ達の事をちゃんと覚えていてくれたようです。


「今は同族にもここ(禁域の湖)を簡単には明かせなくて…」とジンベエ達に語る魚人さん。曰く、以前…頂上戦争終結後までは口伝えでこの場所(禁域の湖)の話が回っていたが、終結後少しの後にここ(禁域の湖)に魚人を狙った人攫いが紛れ込む事件が発生し、狩長が出てくる大事にまで発展したのだとか。

それ以降は滅多にここ…禁域の湖の街には"外"から入ってくる人もめっきり減ったとの事。

…成程なぁ。しかし魚人を狙った人攫いとはな…感心しないな。多分その人攫いは狩長…兄上に処されたんやろな…


因みにそこのおにいさん(ルフィ)はどうやってここに?と問う魚人さんに「湖に飛び込んだ!」と元気に返すルフィ。何も間違っていない。

魚人さん曰く、禁域の湖の街に"人間"が来る事は殆どないそうな。そりゃそうよな…禁域と呼ばれてる場所の奥深く、更に湖に飛び込んだ先にあるような場所ですもの…普通の人なら「禁域」って聞いた時点で引き返すだろうしね。

今回はルフィがたまたま『昔聞いた冒険譚と似た景色の場所だったから、冒険譚に聞いた通りに動いたら正解ルートだった』…みたいなもんだし。

アレかな、ルフィは「教会の関係者」とか「教会の人からこの場所と入り方教えて貰ったからここに来れた」って思われてるのか、はたまた「ただの湖だと思って飛び込んで来た迷子の人間」みたいに思われてるのか気になる所さんですね。


そして一連の話を聞いていたメシ屋の店長さんたる魚人さんはジンベエの胸の刻印を眺め、ひっそりと「ある事」を語る。

…曰く、ここに暮らす大人の魚人や人魚達は元天竜人の奴隷も多いこと。

…天竜人から押された烙印は教会の医療者により消して貰っているが、過去にはそれに関連する事件もあったこと。

…そんな事もあったからか、湖の街の連中が外から来た連中を疑うのも当然なのだと。


「あんたは"それ"=タイヨウの紋章を消そうなんざ思わないだろうが」…とジンベエに語った後、それきり店長さんはカウンターの奥に引っ込んでしまった。

店内から未だちらちらと自分達に送られてくる視線に、ジンベエの脳裏にはかつての自分の頭領…タイのお頭の最期が過っていた。

天に住まう竜の血は、とりわけおぞましいものであると。

この街に住まう竜の蹄が消えた者達。

彼らは、彼らを守るこの街の、この島の守り手にして治め手たる狩長その人こそが竜の血を引くものであるかも知れぬと、想像した事はあるのだろうか…とジンベエは内心に思案を巡らせる。

…難しい問題だ。ヤーナムにて救われた彼らは、狩長のファミリーネームを見て"気づいてしまった"者もいるだろうし、いないかも知れない。

また真実、狩長が天の竜の血を引く者と知ったとして、彼らは、竜の蹄が消えた者達は狩長を糾弾するかと言われたら、しないと思いたい。だって今日まで彼らを守ってきたのは間違いなく狩長殿なのだから。ただ自らを虐げた者達と同じ血を引くからというだけで、掌を返して狩長を糾弾する彼らの姿は見たくないなぁ…それじゃあまるで狩長殿の幼少期の地獄の再演じゃないか……


話は進み、メシ屋の相席してきた魚人さんから「あの店長さんが追い出さなかったって事は、二人は外の人だけど相当しっかりしてるんだろうし…」と、ジンベエ達は頼まれ事をされます。

頼まれ事の内容は「最近この街に人間の二人組が目撃されている。しかもその二人組はどうやら教会の人、関係者でもないようだ。しかも街の空き家に住み着いてるかも知れないと街の皆が不安がっている」との事。つまりジンベエ達にその「人間の二人組」の事を偵察してきて欲しいって事ですな。

…"人間"と呟いた彼女…相席の魚人さんは身震いし、怯えていた。

これはその二人組が何者であろうとも一度見定めねば、とジンベエ達は頼まれ事を承諾。

…ゲーム的にいえばイベントクエストが発生しましたね。RPGみたいでちょっとワクワクしてしまったのは秘密。


突如始まった「人間の二人組探し」は、わりとあっさり件の「人間の二人組」がいるであろう空き家が発見される。

ルフィが指さした空き家の先、見聞色の覇気を巡らせれば二人組の人間の気配を感じ取る事が出来る。しかも身のこなしから二人共一般人という訳でもなさそうな事も。

魚人さん達からの目撃情報は、残念ながら殆ど役立つような精度のものではなかったものの、ルフィとジンベエ、共に見聞色の覇気の使い手である以上、それ程時間を掛けずに場所を絞り込む事が出来た。

しかもこの場所…湖の名を取って『月前の街』と呼ばれているらしいこの街では、ヤーナム市街のように見聞色が鈍る事もないとの事。


……んん?!『月前の街』ですと?

しかも湖の名を取って…って事は、マジでここ『月前の湖』その場所なの?!

ロマちゃんが隠されてたあの場所に、丸々街が一つ形成されてるって事…!?

しかもヤーナム市街のように見聞色が鈍る事もないとは…ヤーナム市街での見聞色の覇気の違和感(鈍り)は、サンジ達だけではなく同じ見聞色の覇気の使い手のジンベエも感じていたのか…これは間違いなくウソップも感じているのだろうな…

しかし何故、月前の街は見聞色の覇気が正常に稼働するんだ…?

…凪の上位者の加護、影響力が見聞色の覇気に干渉するのであれば、それがない月前の街は凪の上位者の加護、影響力の適応外の場所にある…?

…あ。まさか『大量の水は、眠りを守る断絶であり、神秘の前触れである』…?

ここの場合は湖という大量の水が月前の街という神秘、或いは秘匿を守る為の断絶であり、故に凪の上位者の影響力すら遮断している…とか…?


物語の終わり、慎重に耳をそばだて様子を伺うジンベエの横を通り過ぎ、堂々と人間の二人組が居る空き家のドアを開け放つルフィ。

本当に、中々豪胆な船長じゃ。とジンベエさん感心(?)してますけど、些か豪胆が過ぎませんかね…?今更でしょうか…


ドアの向こう側、ルフィ達を迎えたのは…

『鉄パイプを構えた左目に傷のある男』

『魚人空手の構えを取った女性』

だった…

ま、ま、まさかこの二人は…?!

と、期待とワクワクのボルテージが高まりきった所で次回に続く…



素敵な物語をありがとうございます…!


相変わらず次回への引きが上手い…!

愛読してる連載を早く早く続きが読みたくて仕方がなかった、週間少年ジャンプを毎週楽しみにしながらワクワクしていた頃を思い出す気持ちですよ…!


しかも今話のラストの二人組…サボとコアラですよね!?

こんなに早く革命軍メンバーが物語に絡んでくるなんて思っても見なかったので嬉しいサプライズですよ!

彼らは一体何故ここにいるのか?その目的はなんなのか?


物語冒頭のグラディウス君の説明からルフィのジンベエの禁域探訪、そして月前の街の探索…勿論気になる情報も盛り沢山で大変楽しませて頂きました…!


…月前の街が月前の湖の跡地に出来ているのなら、本当にあのロマの居た月前の湖その場所であるなら。

その玄関口たる湖周辺にはビルゲンワースの学び舎がないと不自然なのですが…もしや学び舎は秘匿の内に隠されているのか…湖周辺にはまだまだ謎が残っていそうな予感がします。

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