真新しい手記・16

真新しい手記・16


新作だー!\太陽万歳!/

執筆お疲れ様です…!


『追憶』


さて今回は…時間軸的にはドフラミンゴが禁域の湖にてルフィ達とエンカウントする少し前のお話。

「狩長」たるドフラミンゴと、無事にヤーナム入りを果たした海軍将校の皆さんとのちょっとした幕間。

語り部は…多分スモーカーさんかな?

今回もまた「一方その頃」のお話ですが、海軍・海兵視点のお話も盛り込まれるとは…わくわくしますね!


物語冒頭、聖堂街の一角にて早速ドフラミンゴが「政府の連中(恐らくミョスガルド聖一行)のお守りは任せたぞ」と海軍将校達…ヴェルゴさんにスモーカーさん、ドレークさんに投げようとすれば「口を慎め」と噛み付くスモーカーさん…いやこれヴェルゴさんだわ。なんか意外。凄く意外。

そんなヴェルゴさんの態度にも「相変わらず職務にゃ忠実な野郎だ」とドフラミンゴは笑うだけ。

まぁここでいつもの様な態度を見せてしまったら不審がられるだろうかさもありなん。王の、友の顔に泥を塗らぬ完璧な立ち振る舞い…流石ヴェルゴさん。

因みに聖堂街にスモーカーさんとドレークさんを呼び寄せた(来るように要請した)のはヴェルゴさんの模様。


そんなヴェルゴさんとドフラミンゴのやり取りを眺めながら、スモーカーさんが内心に想起したのは今は居ない「あの人」の事…名前こそ出しませんでしたが恐らくロシナンテ中佐の事でしょう。

曰く「やはり、似ている」「似ても似つかねえ。だが、似ている」「存在感や、気配とでも言うべきものが」…との感想。さもありなん。


そしてここでも麦わらの一味の捜索に関する情報が触れられる。

どうやらルフィ達が最後まで見つからなかった事。つまり禁域の湖にてルフィ達がドフラミンゴにエンカウントした時点で他の一味のメンバーはドフラミンゴ麾下の教会関係者と接触済。つまりお呼び出しに応じて集まってる状態なのでしょう。


で、ここでびっくり情報。

ルフィ達がエンカウントしたドフラミンゴはドフラミンゴ本人(本体)ではなく糸人形だった事が発覚。

成程…だから音も気配がなかったのか。

だっていわば糸の塊だもんね。そりゃ見聞色の覇気も背中の蹄の刻印レーダーも反応しないわけだ。

特に「血」に反応するであろう蹄の刻印レーダーも糸の塊には反応なんて出来はしない。つまりコアラちゃんがドフラミンゴ本体とエンカウントしたらおそらく反応するのでしょうね。

ふーむこれはよいミスリードだぁ…

見事にサボもコアラちゃんも「ドフラミンゴという存在」の認識という点に置いて出し抜かれてる。ドフラミンゴ凄いな…

本人の糸人形の精度の高さと本人自身の露出の少なさからくる情報の無さから糸人形のカラクリが本当にバレづらくなってる…タネを知ってしまえばなんてことはないけど、よく出来たトリックだ。


で、スモーカーさんが推測するに天竜人(ミョスガルド聖)が麦わらの一味を自身とドフラミンゴとの会食に招待しようとした意図とは『ドレスローザの件に関わった海賊連中と、おそらくおれ達海兵にも"知るチャンス"をやろう』という『思い付き』からなのではとの事。

…あれ、これはもしや"海兵も"って事はスモーカーさん達も天竜人の護衛的な名目で同席するのかな…?


しかしスモーカーさんは麦わらの一味…いやルフィとはローグタウンからヤーナムに至るまでに何度も会敵してますが、未だお縄につけることは出来ず。

ルフィ達は天運をその手に引き寄せる「何か」を持ってるようです。

それこそ、天竜人の会食に招待されるなんて事に行き着く程に。

ヤーナムでもスモーカーさん達としてはルフィ達に会ったら「ここで会ったが百年目」って感じなんでしょうが…

先は長そうだなぁ…



ドフラミンゴ

「どうやら麦わらと海峡のジンベエは禁域に居るようだ…今糸人形を向かわせてる。日没までには見つかるさ」


ドレーク

「禁域に?」


ドフラミンゴ

「グラディウスが上層であいつら(ルフィ達)を見たと言っていたからな。大方シュガー辺りの入れ知恵だろう」


ヴェルゴ

「知っていて放置していたのか…」



・ルフィ達の行方と行く先を示唆した存在(シュガーの入れ知恵)を見越して尚、その時まで放置していた(泳がせていた?)ドフラミンゴ。


・禁域ってつまり入っては行けない場所なのでは…?と真っ当な意見と共に疑問符を浮かべてそうなドレークさん。


・ルフィ達の事を知ってて敢えて放置していたドフラミンゴの所業に眉間を抑えるヴェルゴさん。


いやー三者三様の反応が実に楽しいですね!

ドレークさんの真っ当な意見にも「いいじゃねえか。秘密は甘いもんだろう?」と楽しげに笑うドフラミンゴ。

「秘密は甘いもの」…ブラボプレイヤーとしては中々にニヤリとしてしまう台詞回し…作者様の小粋な演出に感謝を。



「冒険好きにゃいい街だ。」

…ドフラミンゴはそんな言葉でこの話を締めくくった。

聖堂街の一角、掃き出し窓へと向かうドフラミンゴはスモーカーさん達に背を向ける。

窓を超える手前、彼は足を止めた。


「ヴェルゴ」


先程までの楽しげな声はなりを潜め、静かな声でドフラミンゴが背中越しにヴェルゴ中将を呼ぶ。


「なんだ」


「ヘムウィックから"獣を見た"という連絡が上がっている」


「獣?……馬鹿な」


傍目であるスモーカーさんからしてみても、狩人の獲物である"獣"がこの街にいるというのは、ヴェルゴさん達の反応からして「ありえねえこと」らしい。

彼らのやり取りに内心に"ドレスローザの件以降気がかりはいくつもある"と前置きしつつ、ヴェルゴさんはその一端を知っているのか否か…と思案する。


…そういえばスモーカーさんやドレークさんはヴェルゴさんが海軍本部中将であると同時にヤーナムの狩人であるという事を知っているのでしょうか…?

反応からして多分知ってなさげ…かな?

ヴェルゴさんが「獣…?馬鹿な」って言ってるのは「自分達はヤーナムに駐在して長いが獣を見たなんて報告は初めて聞いたぞ」…みたいな反応にスモーカーさんは受け取ったのだろうか。

海兵と狩人は「加盟国ヤーナムを守る」という大きな大義は同じだけど、彼らが腕を振るう対象が海兵は対人、狩人は対獣って感じで住み分けされているだろうし…


で、続くドフラミンゴの


「…お守りで動けねえなら部下を散らしておけ。今は駐在する狩人の数もそれなりだが、海兵サマと違って新入りにゃ入れねえ場所もあるんでな」


…って台詞を内約するなら、


「…お守り(天竜人一行の護衛)で(お前(ヴェルゴ)達が)動けねえなら(ヴェルゴ、お前の)部下を(ヤーナムに)散らしておけ。今は駐在する狩人の数もそれなりだが、海兵サマ(ヴェルゴやデリンジャー達)と違って新入り(新米、或いは若手の狩人)にゃ入れねえ場所もあるんでな」


って感じになるんじゃないかな、とか。


それに対して「……そうしよう」って答えるヴェルゴさん。

「ヤーナムにいない筈の獣が現れた」って話題自体は短いけれど、ドフラミンゴとヴェルゴの間での認識と、その話を聞いていたヤーナムの外から来たスモーカーさんやドレークさんとの認識の間では大分交わされた言葉の解釈というか内容の理解度に隔たりがありそうだなぁという印象。


スモーカーさんやドレークさんの認識だと「現在のヤーナムに"獣"が現れるのはあり得ない事らしい」ぐらいの認識だろうけど…


ドフラミンゴとヴェルゴとの間では

「ロー達の治験と治療により根絶された獣(獣の病)の筈なのに、何故今頃?」

「もしや狩り漏らした天竜人の落とし子か?」

…とか他様々な要因が検討されてたりするんだろうな、とか。

天竜人がヤーナムに来訪したこのタイミングでの発見報告だし、余計に混乱が生まれてたりしないかちょいと心配。



ドレーク

「ヴェルゴさん、スモーカーさん、市民に危害が及ぶ危険性があるのならおれが…」


ヴェルゴ

「いや、君はこの街に明るくないだろう。ウチの部下に任せてくれ」


ドレーク

「しかし…」


スモーカー

「ドレーク、お前はヴェルゴさんの部下より早くヘムウィックに到着できんのか?」


ドレーク

「いえ…失礼しました」



…この一連のやり取りも、それぞれのキャラが立っていて凄く好きですね。

ドレークさんは市民に危害が及ぶのを危惧して、本当に善意から申し出たんだろうなってのが滲み出てるのが…

それをやんわりと、しかし「君は地理に明るくないだろう?だからこの件はウチらに任せてくれ」と断るヴェルゴさんも、言葉は厳し目だけど「地理に明るくない自分達では戦力になれるか怪しいし、餅は餅屋に任せとけ」と諌めるスモーカーさんも凄く『らしく』ていいなぁ…と。

先輩中将達の言葉をちゃんと飲み込んで下がれるドレークさんもイイ…

原作では交わることが無かった海軍将校の三人ですけど、きっとこんなやり取りをするだろうなと思わせてくれる作者様の巧みな描写力に感服です。


そんな海軍将校達のやり取りを耳にした去り際のドフラミンゴは、バルコニーから振り返り、雲にイトを繋いで口角を引き上げた。


「"そっち側"にやって正解だったな。お前は」


スモーカーさんが「何の話だ」と尋ねる前に、ドフラミンゴの姿は夕闇に霞んで消えた。

ドレークさんの息を呑む音だけが、奇妙に音の響かない部屋に残されていた……



素敵な物語をありがとうございます…!


最後の最後で爆弾落として去っていきやがりましたよあの兄上!!

そりゃヴェルゴさん以外には「何の話だ」案件な話だけどさぁ!!

もー!その話を投げでも大丈夫だって確信があったから投げたんでしょ兄上!!

兄上はうっかりヴェルゴの立場が危うくなるような真似はしないもんね相棒だからね!!

好きです!!!


…失礼。最推しに対して感情が爆発してしまいました。


今回は狩長with海軍将校ズって感じのお話でしたが。さらりと他の話での重大なネタバラシが含まれてたりと大変楽しませて頂きました…!


そうかー禁域の湖に来た兄上は糸人形だったのかー…その考えに至らなかった自分が悔しい…影騎糸……

糸の塊に「血」が宿る筈もなく、故に「血」に宿る力によって支配する蹄の刻印の、いわばその逆探知範囲に入らないのは本当にお見事。


ドフラミンゴとミョッさんの会食はルフィ達に海兵達も加わる事が確定してるっぽくてオラわくわくすっぞ!状態。

天竜人・元天竜人・一海賊(Dの血族)・海兵(海軍将校)…更に周りには革命軍に革命軍に協力をしている狩人に…会食ではどんな波乱が待ち受けているのやら。


後、地味にスモーカーさん達のヴェルゴさんに対する呼び名が「ヴェルゴさん」で律儀に統一されてるのが好き。


そしてヴェルゴさんの『秘匿』の話。

海軍本部中将にして、その正体はドフラミンゴを『王』と戴き、その血を『拝領』し生まれた『狩人』にして『血族』…という解釈をしてるのですが、大丈夫ですかね…?


そうなると、現在のヤーナムでは

『狩長/穢れた血族/ドフラミンゴの血』を拝領した『狩人/血族の狩人』

『聖血/凪の血』を拝領した『医療教会の狩人』の二種類の狩人がいることになるんでしょうか…?

まぁ『血族の狩人』はヴェルゴとデリンジャー・バッファロー・ベビー5の現状4名だけでしょうが…。


しかし『語る獣』で出てきた件のヘムウィックの喋るわ燃えるわの獣の件…段々と大事になって来ている気がしてならない…

多分連絡を上げたのって革命軍の協力者やってる若い狩人さんだよね…

大丈夫かな"先生"…個人的には"先生"の正体はローだと思ってるんですが、ワンチャンシーザーの置き土産の可能性もなくは…いや無いと信じたい。

でも"先生"がローだったらそれはそれで複雑な気持ち……


…そういえば。

最後のシーンの「奇妙に音の響かない部屋」って描写は、ヤーナムの島内は凪の上位者の影響からそうなっているのか、はたまたドフラミンゴが青ざめた珀血花か何かを使って擬似的に"サイレント"していただけなのか…ちょっと気になる。

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