真実
結婚式を終えて1ヶ月が経った。
「だいぶ大きくなったわね?体調はどう?」
「うん大丈夫!みんなのおかげだよ。」
ナミはウタの大きくなったお腹を撫でながらウタの体調を聞いていた。
ウタは今幸せの絶頂だった。エレジアでの悲劇を境に全ての幸せから見放されたような人生を送り世界を道連れにする事件を起こすまで追い込まれた。
だがかつての幼馴染…ルフィは罪に塗れた私を救ってくれた。
事件後二人が結ばれるのはそんなに時間はかからなかった。あの夜のことは今でも忘れない。今でも感謝してる。お前は生きていてもいいと言ってくれた彼に。彼とこのお腹の子供に会わせてくれたこの世界に。
「あ用事があったんだちょっと席外すね。」
ウタは現在ルフィの依頼で船に乗ってチョッパーと共に自分を診てくれているローに色々聞きたいことがあったことを思い出した。
「おう!階段降りる時はちゃんと手すり使えよ。」
医務室の近くに来てなにやら話し声がするのが聞こえた。
「この声?サボさん?」
今日はルフィの義理の兄のサボが来ていた。笑顔で自分達を祝福してくれたが一瞬見せた影のある顔が今でも気になっていた。
なにを話してるんだろ?
ウタは扉を開けようとした
「本当なのか…⁉︎麦わら屋と歌姫屋が…姉弟(きょうだい)というのは…」
ドアノブに伸びていた手が止まった
「ああ…ドラゴンさんから聞いた。俺もその後で調べたが間違いない。あの娘はルフィの姉さんだ…」
なに…言ってるの…?
「そうだとしたら色々と検査しなきゃいけなくなる。近親間の子供の奇形率や病気の抵抗力の低下の問題があるからな…」
なんで…
「このことあの二人には?」
「まだ言ってない…時期を見てルフィに言うつもりだが…今はまだ黙った方が…」
どうして…
ガタ
「ッ⁉︎誰だ!」
ガチャッ
ローが扉を開けたがそこには誰もいなかった。
視界が歪む…
ウタはフラフラと船内を彷徨っていた。
私と…ルフィが…きょうだい…?…近親相姦…?
望まれない子供…?…奇形…?病気…?
ウタの頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。自分とルフィが姉弟であることに…生まれてくる子供が不幸になるかもしれないことに…
なんで?
彼女は誰とも会うことなく後部の甲板に向かっていた。
なんで…?
甲板に出たら外はまるで自分の心のように曇り空だった。
私…
手すりにつかまったウタは崩れ落ちる。
幸せになっちゃいけないの…?
「ヴアアアアアアアァアアアアア!!!!」
終