相談がありますスレ用駄文
88星野ルビー。俺の双子の妹であり、前世ではただ最期を看取ることしかできなかった女の子、天童寺さりなちゃんの生まれ変わりでもある。
そんな彼女は今……
「おにいちゃ…んぁっ」
俺の腕の中で、歪な”性教育”の真っ最中だった。
あの日、お互いの前世を確信してからと言うもの、ルビーの態度は誰の目にも明らかに変わり、俺がルビーに嫌われるべく行動を始めたそれ以前よりも軟化した。
それは俺を見かけるたびに抱きついてきたり、俺が読書をしていれば膝に乗ってきたり、俺の飲みかけのジュースを横から勝手に飲んだり、他にも挙げればキリが無いが、側から見れば過剰なスキンシップである。
人前でもお構いなしの為、有馬やMEM、ミヤコさんの前では軽く鬱陶しそうに振舞いつつも、さりなちゃんが、今はルビーとして笑顔でいてくれる事を密かに喜びながら、娘を見守る父とはこんな感じだろうか、などと考えていたものだ。
しかしそんな日常が数日続いたある日、それは起こった。
読書の最中、いつものように膝に座るルビーだったが、暫く経った頃、その座る膝に違和感を覚える。
(湿ってる?)
飲んでいたジュースでも溢したのだろうとルビーに目をやると、いつもと様子が違うことに気づく。
「ルビー?」
顔をほんのりと赤らめ、呼吸が僅かに荒い。
そしてルビーは飲料の類を何も持っておらず、仮に飲み物を溢したとしてピンポイントでは濡れえない膝の真上のみ、すなわちルビーの座っているその中央一点だけに湿り気があったのだ。
「おにいちゃん……最近変なの……」
不安げな顔で立ち上がるルビー、その姿は最近新調した部屋着で、
「濡らしちゃってゴメンね……?でもお漏らしじゃないよ!?」
履いているのは薄手のものとはいえショートパンツである、
「最近ね、おにいちゃんと一緒にいたり、おにいちゃんの事を考えてるとね……」
そのクロッチ部分が、
「こう、なっちゃうの……病気なのかなぁ……」
はっきりと湿っていた……。
当然といえば当然だが、結論から言うとルビーは病気ではない。
ここ最近過労気味ではあるが、怪我や病魔に冒されていないと言う意味では健康そのものだ。
ルビーが健康でいる、そんな他者からすればごく普通の事に、かつてを想い返してえも言われぬ感動を覚え……ているのは事実だが、今それは現実逃避でしかない。
「病気じゃないんだね……?良かったぁ……」
ルビーの顔が安堵の表情と共に再び赤くなる。落ち着かせる目的で頭を撫でていたのだが、効果は安堵だけに留まらなかったようだ。
ルビー自身の言葉、触れ合っている際の反応が語る。
過去の、17年以上前の事ではあるが、経験から考えてもルビーは興奮している。それも性的なものだ。
それ自体は問題どころか、年頃の娘ならむしろ健全とすら言えるだろう。
問題は、処女受胎など妙な知識や性行為そのものは知っているはずのルビーが、この歳まで自慰どころか性的興奮すら未経験だった為に自身の状況もその鎮め方も知らない事。
そしてその興奮対象が血を分けた双子の兄である事。
こうあっては迂闊に他者に相談することも出来ず、かと言って適当にお茶を濁す訳にもいかない。
迂闊に他者に相談させてしまった場合、無難な落としどころとして俺たちは距離を置かされる可能性がある。
今のルビーが俺と引き離された場合、精神の安定を欠く可能性は非常に高い。
それも十分望ましくないが、もし誰にも相談できず溜め込んでしまったら、それで悪い人間に弱みを握られたり、スキャンダルの原因になってしまったらそれこそ目も当てられない。
ならばどうするか? ……俺が教えるしかない。
本来は兄が教えるようなものでは無いだろう。
だがルビーの、さりなちゃんの夢が潰える可能性とでは天秤にかけるまでも無い。
「少し言いにくいんだが、今ルビーは性的興奮状態にある」
「性的……これがそうなの?」
「ああ。それと下着を濡らしてるのはバルトリン腺液と言う性交の為の潤滑液で、身体に本来備わってる機能だ。どこもおかしな所はないから安心していい」
「性交……潤滑……それって私、その、えっちな気分になってる、ってこと……?」
「まあ……一応そうなる……」
「そっか、これがそうなんだ……」
ルビーがモジモジしながらこちらを見る。
「それで、その……これってどうしたらいいの……?」
「そうだな、自慰行為で発散するのが一般的、かな」
「じい?」
「そうか……そこも教えないとか……」
「平気か?ルビー」
「はぁっ……なんかっ、そわそわする……っ」
そして今、自身が背もたれになるような姿勢で、ルビーの下腹部を撫でている。
(教えてもらったようにやってみたけど、どうもならないって言うか、よくわかんなくて……。だからその、お願いなんだけど……、おにいちゃんがやって……?)
普通の兄妹がするような事ではないその懇願を、俺は拒まなかった。
俺の中の、ルビーを拒んじゃいけないという使命感は、ルビーの願いを聞いてやりたいと言う想いは、常識よりもずっと強いらしい。
流石に直接女性器や胸に触れるのは躊躇われたので、下腹部を中心に首筋や腰、手など、性感帯になりうる箇所を刺激する事にした。のだが……
「んっ……自分じゃこんな感じにならなかった、あっ……」
予想しなかったわけではない。だがその予想以上にルビーが感じている。
別に俺の技術が優れているわけではない。
結局清い付き合いに終始したあかねには使う機会はなくブランクは実に18年以上、自信もなにもあったもんじゃない、にも関わらずこの反応だ。
俺を見るルビーの瞳に宿るその感情、それがわからないほど鈍くはない。
元々の想いは親に甘える子のソレや、大きくなったらパパと結婚する、のようなものだったろう。
だがルビーは、さりなちゃんだった時から20年近くもその想いを温め続けて来た。
そしてあの時、
(アイよりずっと眩しかった)
あの言葉に嘘偽りはなかった。
だがその言葉はアイを至上としていた俺たちにしてみれば、君が世界一と言うにも等しい殺し文句でしかない。
あれ以降、ルビーの想いはより強く実感を伴ったモノに変わった。
「なんかっ、おなかの奥がきゅうってするっ……んっ!」
ルビーの恋心が、未だ自覚の薄い情欲が、俺の愛撫を勝手に増幅していく。
「なんか来るっ!あぁっ、なんか怖いよ!あ、あ、おにいちゃんっ!」
迫る初めての絶頂を怖がるルビーを少しでも安心させるべく、左腕で強くルビーを抱きしめ、しかし右手は止めない。
「くるっ!きちゃうっ!おにいちゃんすきっ!だいすきっ!あっ、あぁ゛ッーーー!!」
絶頂に震え悶えるルビーを落ち着くまで抱きしめる。
背筋に走ったぞわりとした感覚、今はそれを無視して。
結局あれ以来、ルビーは事あるごとに愛撫を求めるようになった。
どうしても俺の手じゃないと達しないそうだ。
そしてもう一つ、いわゆるイくという言葉を教えてないせいもあってか、
(おにいちゃんすきっ!だいすきっ!)
毎回ルビーは、そう叫びながら絶頂を迎える。正直これがかなりマズい。
ルビーの愛と欲、その証拠が強く聴覚に訴えかけて来るからだ。
いやそれだけじゃない。
愛らしいルビーが情欲に駆られる姿に視覚が、
抱きしめる瑞々しくも柔らかな身体に触覚が、
その身体から香る普段の甘い匂いと発情する牝(オンナ)の匂いに嗅覚が、
味覚以外の五感が、雄の本能にルビーの存在を苛烈に刻みつけてくるのだ。
それでも俺の想いと使命感はルビーを拒むことを許さない。
「ねえおにいちゃん、今日もお願いしていい……?」
「ああ、もちろん」
平静を装いながら、今日もルビーの求めに応じる。
理性が崩れ去る時、その足音が近づいている事に気付きながら……。