直球題名ひざ枕 お昼どきのぜいたく 登場人物全員頭ピンクパート2

直球題名ひざ枕 お昼どきのぜいたく 登場人物全員頭ピンクパート2



『食ったァーーーーーーーー!!!!!』


両こぶしを天に突き上げて大きく叫ぶ『ルフィ』。


今、わたしたちはみんなとお昼を一緒にしている。いつもは夜に集まることが多いけど、都合をつけて今回はじめてお昼に集まってみることにしたのだ。


『寝る!!!!!』


さらにそう叫んで近くの木陰に走り去っていく『ルフィ』。

あっちの『ルフィ』も元気だな…そう思っていると、


『ウタァーーーーー!!!!!ひざァーーーーー!!!!!』


三回目の大声が飛んできた。


『いつもひざ枕をしてあげているの?』


と、呼ばれている『わたし』にそう問いかける海兵の『わたし』。


『うん、お昼の時はね。なにも問題がない平和な時は、だけど。』

『歌姫のひざ枕をご所望とはゼータクだね~』


ドリンクにささっているマドラーを回しながら、そう返す麦わら帽子の『わたし』と、


『ウタァーーーーー!!!!!早くしろォーーーーー!!!!!』


大きな木の下で両腕を振り回しながら地団駄を踏んでいる『ルフィ』。


『子供か…』


それを見て呆れたようにつぶやく歌姫の『わたし』は、

ごめんねみんな、ちょっと行ってくるね。そう言って立ち上がり『彼』のもとへと歩いてゆく。


「うん。」

『ええ、いってらっしゃい。』

『いってらー』


そうして『彼』のもとにたどり着き、座ってひざを差し出して。


『おまたせ。いいよ、おいでルフィ。』

『おう!』


ニシシ!笑顔でそのひざに頭をのせる『ルフィ』は、とても嬉しそうだ。


『うっわ、すっごい嬉しそう。』

『そうね…。』


ほかの『わたし』たちも同じことを思ったみたい。

ひざ枕をしてあげている姿はたしかに様になっていて、あの二人の関係をあらためて感じさせてくれた。


『ウタ!なにか歌ってくれ!ウタの歌が聞きてェ!』

『いいよ。なにがいい?』

『ウタが歌いたいヤツでいい!』

『そっか、わかった。なにがいいかな?…よし、風のゆくえにしよっか。』

『おう!』


そう言って歌いはじめる『わたし』。

『彼女』の歌声が風に乗ってわたしたちのもとまで届く。



……。



~♪



……。



…あの『わたし』は本当に歌うのが上手だ。歌姫といわれるだけあって、『わたし』たちのなかで一番美しく、きれいに歌う。


『……。』

『……。』


他の『わたし』たちも静かに聞き入っている。

がつがつといまだにお肉を食べ続けているルフィたちも、一瞬動きが止まって聞き耳を立てるほど。大人の『ルフィ』も、へェ…とつぶやいて耳を傾けていた。

すると、


『すごい…!あの『私』から大人の魅力をひしひしと感じる…!待っててねルフィ!私もあんな大人の魅力を手に入れてひざ枕してあげられるようになるから!』


ふんふん!と鼻息あらく立ち上がって机に手をつき、身をのり出して食い入るように見つめはじめた麦わら帽子の『わたし』。

『彼女』のすごいと思うところは、なにか自分をより良くする素晴らしいものを見つけた時に、貪欲に学び取ろうとするところだ。

わたしも見習わなきゃな…そう思いながら、もう一度『彼ら』を見やる。


歌姫と称されるまでに洗練されたそれを、大好きな人のために歌ってあげられるときの気持ちは、いったいどのようなものなのだろう?

優しい手つきで『ルフィ』の頭をなでながら、優しいまなざしでその寝顔を見つめながら、優しく子守唄を紡ぎ続ける歌姫の『わたし』を見てそう思っていると——


「ウタ!おれにもあれしてくれ!」


そうルフィに言われて手を取られ、『彼ら』とは別の木陰に連れていかれた。

ちらと振り返ると、とても優しいまなざしで歌姫の『わたしたち』を見つめる海兵の『わたしたち』の姿が目にはいった…



ルフィにひざ枕をしてあげながら思う。わたしもあの『わたし』のように歌を歌ってあげたい。

そうだ、あの『わたし』に、歌姫の『わたし』に教えてもらおう。

あの『ルフィ』に負けない笑顔でひざ枕を楽しんでくれている幼馴染を見つめながらそう決意する。

あの『わたし』は、こころよく引き受けてくれて、おしみなく『わたしたち』に教えてくれるだろう。そう確信しているわたしがいた。



おわり













ちょっと長めのオマケ


『ハラへったァーーーーーーーー!!!!!』


起きてきた『ルフィ』がそう言いながら残っているお肉を平らげはじめる。


「おい!それはおれの肉だぞ!」

『早いものがちだ!!!』


わたしのところのルフィもそう言いながら負けじと食べ始めると、おれも食うか!と海兵の『ルフィ』も参加してきた。

より一層激しさを増すお肉争奪戦(二回目)。

それを呆れた目で見る歌姫の『わたし』と海兵の『わたし』。


『ルフィは食べないの?』


麦わら帽子の『わたし』が大人の『ルフィ』にたずねる。


『おれはさっき歌を聴かせて貰いながら自分の分は食べたからなァ、あいつらに譲るよ。』


そうだったんだ。


『さっすがダーリン!おっとな~!』


そう言いながらぴょんと抱きつき、待っててね!早く私もあんなひざ枕をしてあげられるようになるからね!とちゅっちゅっとキスの雨をふらせる麦わら帽子の『わたし』。

そんな『わたし』にはもう慣れっこなのか、大人の『ルフィ』は抱きとめてそのまま麦わら帽子の『わたし』の好きにさせてあげていた。








あれからルフィにお昼のあとにひざ枕をねだられるようになったのは、また別のおはなし。








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