目障りな存在
ここだけゾロがルナーリア族Part2の145※閲覧注意
※【ここだけゾロがルナーリア族】のスレより
※ゾローリアの更にIFネタ
※ファンタジスタした幼少ゾロがキングに拾われ百獣海賊団所属√
※幼少ゾロはくいなと約束する前
※くいな生存&麦わらの一味√
※CPはゾロ×日和
※IFネタの派生⇒百獣√
※キャラエミュが微妙
※文才なしの駄文
※捏造設定あり
※それでも良い方のみ、お読み下さい
ある日突然、カイドウ様と大看板の御三方が小さい子供を連れてきた。
「こいつはキングの養い子、名をワイルドだ!!」
そう紹介された小さい子供はワイルドと言う名前で、子供からすれば威圧感のある海賊に敵意は無いとはいえ一斉に視線を向けられているだろうに、何事も無い様に佇んでいる。
フード付きのマントとフェイスベールで顔が判別出来ず、着物と馬乗袴を着ていて腰には刀を二振り、足は草履や下駄ではなくブーツを履いていた。
キング様と同じ様に、上から下まで真っ黒で…手は隠していないのか、日に焼けた色合いの小さな手が袖から出ている。
そんな風に子供を観察していたら、我等にとって信じ難い事を宣言された。
「このワイルドは、キング、クイーン、ジャックに次ぐ大看板候補!未だ正式な任命じゃあねぇが、今の段階で飛び六胞と同程度の権限を預けてある!!この意味がわからねぇ奴はいねぇな!!!!」
息を呑む者、唖然とする者、驚愕を露わにする者…様々いたが、大多数は自分と同じ様に殺気混じりの敵意を抱いていて。
「おれはカイドウさんが言うなら問題は無いぜ」
「異論はありません」
「ワイルドを傷付けたら焼き尽くす」
しかし、大看板の御三方が口々に肯定するのだから、声を上げる者はおらず。
そして、子供は殺気混じりの敵意など意に介さずに、フードの下から此方を見ている様だった。
「キング様の養い子だからって、カイドウ様も権限を与え過ぎだ」
いつもの面子で酒を飲みながら愚痴をこぼしあう。
愚痴の内容は、数ヶ月前に突然現れた餓鬼の事で。
「百獣海賊団は弱肉強食を謳う完全実力主義じゃないのかよ」
ここには自分達しか居ないから、表では言えない事も好きな様に言える。
「……あんなちびっこい餓鬼なら、倒せるんじゃねぇか?」
不意に仲間が呟くように、息を潜める様に言う。
「あ?」
他の面子と同じ様に首を傾げる…こいつ酔い過ぎたのか?
そんな事を思うも、仲間は続ける様に自分達へと問い掛ける。
「餓鬼で養い親がキング様、それだけで実は強く無いんじゃないか?」
仲間のコイツは、ワイルドを集団暴行してしまえと言っているのか?
大看板候補だとカイドウ様が宣言した子供を…?
「…だが、傷付けたらキング様が焼き尽くすって」
比較的慎重な奴が止める様にキング様の名前を出すが、仲間は尚も言い募る。
「要するに、鍛錬なら良いんだよ鍛錬なら」
ニヤリと歪んだ笑みを浮かべる仲間に、自分達は知らず知らず同じ様な歪んだ笑みを浮かべていた。
「嘘だろ」
思わず口に出る。
あの話し合いの後に、仲間の半分がワイルドを鍛錬場へと連行して来て。
もう半分が、同じ様に不満を抱いていた奴等を“証人”として見物させる為に呼び出した。
仲間でワイルドを囲って、多対一の鍛錬という名の集団暴行をする筈だった。
そう、その筈だったんだ。
それなのに、この状況は何だ?
刀の銀色が閃く度に、赤い血が舞って。
マントの黒色が靡く度に、仲間が倒れていく。
気が付けば、自分一人だけが立っていて。
それが信じられずに仲間達に目を向ければ、指一本も動かせずに呻き声を上げる事しか出来なくされていて。
「何だ…こんな程度なんだな。百獣海賊団に所属しているなら、もっと手強いのかと思った」
何時の間にか目の前に移動して来ていたワイルドが、そんな事を言う。
息1つも乱れておらず、黒衣に返り血すら付いていない、その姿が“異質”なものに思えて。
「ヒッ」
喉の奥から引き攣った様な声が出た。
ドサリ…と、尻餅をついてワイルドを…ワイルド様を見上げる。
「まぁ、当たり前だよな。上昇志向もなく、自身より弱い者にしか強がれない。ましてや、相手の力量すら見抜けない…そんな人間は、カイドウさんの下に…百獣海賊団には必要ない」
ワイルド様が緩慢な動作で刀を振り上げていくのを、ただただ見つめる。
「オメェ等、目障りなんだよ」
刀が振り下ろされる間際に、黒いフードの合間から酷く冷たい銀月が覗く…その冷たさを、何処かで見た気がして。
斬り裂かれながら、思い出した。
あぁ…黒いマスクから覗く、キング様の紅い目と…よく、にているのか…。