目覚め始めた恋心

目覚め始めた恋心



最近トレーナーさんと視線が合わない…トレーナーさんの方を見るとすぐに顔を逸らされてしまう。それに練習が終わった時に頭を撫でてくれなくなった。なかなか結果を出せなくて嫌われたのかと思っていたけど、僕と話している時の声はいつも通り優しいままで、いろんな感情がぐちゃぐちゃしておかしくなってしまいそうだった。


我慢の限界が来てしまったある日の事、トレーナーさんに一言言おうと思って顔をよく見ていたら気づいてしまったんだ。トレーナーさんの顔がちょっと赤くなっている事に…

その時はもし体調が悪いのに無理をしていたんだったらどうしようって思い、おでこを当てて熱を測っていた。

幸い熱はなかったからその日は何事もなくトレーニングをして終わったんだけど、その日以降トレーナーさんが顔を逸らす時はちょっと赤くなっている事に気がついて…もしかしたら照れているだけなのかなと、それを確かめるためにワザと何も気が付いていないフリをしておでこを当ててみたんだ。

久しぶりにトレーナーさんと視線があったから、長いこと見つめていたと思う。顔はどんどん赤くなっていって、目は少しとろんとしていて、その様子を見てトレーナーさんは僕のことを好きなんだって確信した。その後 自室のベッドでなんてことをしてしまったんだと転がりながら、力なく俯くトレーナーさんの様子を思い出してそれまでに経験した事ない感情が渦巻いたのを覚えている。


【誰にも渡したくない】って。


だからトレーナーさんには僕の全部を好きになってもらわないといけない。レース中の僕も、トレーニング中の僕も、それ以外の僕も、全部。

今まで避けようとしてきたトレーナーさんが悪いんです。覚悟してて、くださいね。

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