百物語してる麦わらの一味2
百物語ああナミさん、安心してくれ。怖い話じゃなくておれも不思議な話さ。
昔バラティエにいた頃の話なんだけど、経費削減の為によく釣りをしてたんだ。
それである夜、1人で釣りをしてたら奇妙な魚を釣った事があってさ。どんな魚だと思う?
それがさ、三枚おろしにされてたんだよ。
ホラ、腕のいい料理人が綺麗に捌いた魚は自分が死んでる事に気が付かないって言うだろ?
だからもしおれがあの時アイツを釣らなかったら……もしかしたらまだ生きていられたのかもしれねェなって、今でもたまに思うよ。
どう?怖くなかったでしょナミさん?
次はロビンちゃんのお話が聞きたいな♡
ふふ、任せてちょうだいサンジ。
これはアラバスタに来る前の話よ。
私はとある国の小さな図書館で読書をしていた時、途中で終わってるお話を読んだ事があったわ。
途中まではすごく良いお話だったのに途中でプツッとお話が途切れてしまっている、そんな奇妙なお話。
けれど妙に続きが気になったから勝手に色々考えようと思ってその本を借りて帰る事にしたの。そしたらその日の夜、夢にそのお話の主人公が現れて「どうか続きを書いてはくれませんか」と言われたわ。
それで次の日続きを書いてお話を終わらせてあげたんだけど、何故かその夜の夢で「あなたに頼んだのは失敗でした」って彼に泣かれたわ。
……え?どんな話を書いたのかって?
ふふ、それは彼と私だけの秘密よ。
じゃあ次、ゾロお願いね。
面倒くせェ……。
あ?わーったよそんな怒るなよ、ナミ。
……昔、おれが村の夏祭りに行った時の話だ。
屋台の飯たらふく食って満足したから帰ろうとしたんだが、ふと気付いたらガキが1人おれの後を着いてきてたんだよ。
暗くて顔はよく見えなかったが……まぁ村のガキの誰かだろうと思ったからとりあえず無視しておれはさっさと帰る事にした。
で、そのまままっすぐ家に帰ったらそいつが「なんで迷わないんだ?」って言って舌打ちしやがってな。
ぶっ飛ばしてやろうと思って後ろ見たらそのガキいなくなってたんだよ。
だから今度会えたら必ずぶん殴ってやると決めてる。
おれの話はこれで終わりだ。
じゃウソップ、次お前が話せ。
いやいや待てゾロ!お前もし再会出来ても絶対ぶん殴ったりすんなよ!そういう事したらきっと祟られるぞ!いいから!絶対やめとけ!いいな!?
……よし。でまぁおれの話なんだけど、結構短いぞ。
「やっちゃいけない事」ってあるよな?
ウチの村だと"壁にあるマークを描いてはいけない"ってのがあったんだ。なんでダメなのか理由を聞いても誰も教えてくれなくってさ。
けどおれは勇敢なる海の戦士!やっちゃいけない事だろうとやってやるぜ!……って感じで描いてみたんだ。
まぁその時は何ともなかったんだけど問題はその日の夜。おれは妙な寝苦しさで目が覚めた。
そしたらおれのベッドを囲む人みたいな影が何人もいたんだよ。
で、その内の1人がおれの顔を覗き込もうとしてきて……おれはそのまま気を失っちまった。翌朝すぐに例のマークを消したよ。
これでおれの話はおしまいだ。
んじゃ次ブルック頼むぜ!
いやもう私怖い話大嫌いです!
肝が冷えちゃいますよ!まぁ私冷える肝が無いんですけど!ヨホホ!
……ですが、不思議な話ならいくつかありますね。せっかくですから今夜はその中の1つをお話しましょうか。
これは漂流中に何度も何度も聞いた例のトーンダイヤルのお話です。
もちろん録音ですから中身はいつも一緒。ですが長い長い間、私の心をずっと支えてくれたかけがえのない大切なものです。
……なんですが、たった一度。たった一度だけ私の知らない言葉が入っていた事があったんです。
「もう少しだから頑張れ」って、死んだはずの皆の声で。
……これはあなたたちとお会いするほんの数日前の出来事ですよ。
ヨホホ!私のお話はこれでおしまい!
ではルフィさん、どうぞお話し下さい。
おう、任せとけ!
昔よ、フーシャ村のゴミ山で死んでる人が埋められてた事があったんだ。
まぁそういう事はよくあったし別に気にしてなかったんだけどさ、1週間くらい後にまた見かけたら全然腐ってねェんだ。
それから何日経っても腐らなくてさ、そんな不思議な事あるんだなーってダダンに話したらよ、塩と酒ぶっかけられて「二度とそいつを見るな!」ってめちゃくちゃ怒られたんだよ!
でもさ、そんな風に言われたらやっぱり気になるじゃんか。だからエースとサボに「腐らない死体を3人で見に行こう」って言ったら2人からもすっげェ怒られてよ。
んで結局それっきりになったんだけど、アレなんだったか分かる奴いるか?誰も教えてくれねェんだよ。
これでおれの話……ん?おいなんだよウソップ、お前さっき話したじゃねェか。
いや、悪い。
どうしてもこれだけは話させてくれ。頼むよルフィ。
さっきのおれの順番の時、これから何話そうか考えてたら何故かいつの間にか始まってたんだけどよ。
……おれの番の時話してたの誰だ。
終