白鉛

白鉛


※何かしら設定が違うかもしれない 

※推敲あんましてないから読みにくいかもしれない 

※キャラ崩壊があるかもしれない

※セリフを結構どっかから引用し てる

※短い

それでも良い人はどうぞ!





………久しぶりに悪夢を見なかった。

ここ最近はずっとあいつの悪夢で魘されていた。

おれがただ甚振られるだけならまだ悪夢でも悪夢にはなりきらない。

おれがいつも見るもの、それは愛した仲間たちが甚振られ、殺される瞬間。

今の、現在のおれなら反抗出来るのに、夢の中のおれの体は震えるだけで動かせなかった。

それが余計に悪夢と化す要因となる。

いつものあいつらなら、ずっと馬鹿をして楽しそうに笑っているのに、夢の中のあいつらは悲しそうに笑っている。

そんなところにあの悪魔野郎の拷問なんざ入ってくるんだから当然おれだって疲弊する。

この夢はあいつの記憶だからか、不思議と痛みも伴っている。

いつもなら、おれの仲間たちが生きているから、余裕で耐えられた筈なのに。

夢の中だと気付けないから、絶望のまま、痛みがずっと襲いかかってくる。

痛みだけじゃない。

痩せ細ったあいつの身体。四六時中寒いし、日によっちゃ罪悪感のようなものも押し寄せてくる。

そんないつもいつも見る忌々しい悪夢を、今日は見なかった。

おれとあいつが別世界に別れたからだ。

あの夢にいつも出てくるクソ野郎が今度は現実で出てきやがった。

それで戦闘になれば、あいついきなり人質とりやがったもんだから、入れ替わりでおれがこっちにやって来た。

こっちのおれにクルーを頼んだと麦わら屋に伝言を任せた為、あいつらはまあ大丈夫だろう。

麦わら屋はならないようで頼りになるしな。

いらん動きもするせいで計画は水泡と帰すがな。


そんなことを考えていれば、おれが起きたのに気付いたのかクソ野郎が話しかけてきた。

「よぉロー。お目覚めか?随分と長く眠っていたが、やっぱりよく眠れていないんじゃないか?」

何いってんだ主にテメェのせいだろうがこの野郎

「…」

「フッフッフ、無視か?反抗的な態度をとるのは懐かしいなあ」 

二年前のお前を見ているようで。と付け加えられた言葉に苛つきが増す。ふざけんなテメェがあいつをああしたんだろうが。

するとドフラミンゴは指を動かして糸で出来た鳥かごを解体した。 

足も拘束されている所為で床に落ちた時着地出来なかった。

すると今度はもっと近付き、ドフラミンゴがしゃがんでおれの四肢を抑えつけようとして来た。

だが、ここは夢の中じゃない。    現実であり、反抗出来る。     

おれの身体は震えない。

「ッッ!?」

「オラァ!」

その瞬間に力に任せたおれの拳がそいつの顔面を捉える。

見事に吹っ飛ばされたそいつは、何処か不満そうに笑い出した。

「フッフッフ、流石30億の首だ。海楼石の枷が付いていてもこれだけの力は出せるのかァ?」

「枷が付いていようとこれくらいの力は出せる。怠いがな。ざまあ見ろこの野郎」

まあ今までのを考えると全然足りねぇが一発かましてやるだけでもこれまでの悪夢じゃ出来なかった事だ。

……だがまあ当然そんなことしたら何かしらして来るだろうがな。

「………」

目を鋭くして睨みつける。一応あいつが何してくるかはよく観察していた方が良いだろう。

「そうか。なら… ―――糸で全身抑えつけるまで。」

「!!」

突然地面から出て来た大量の糸が、おれの四肢に絡みついて離れない。

流石に鬼哭も無ぇ海楼石の枷が付いたこの身体じゃあどれだけ力んでもその拘束は緩まなかった。

「フッフッフ!流石に30億の首でもここまですれば動けねえようだなあ?」

「ふざけんな!離しやがれこのッ…!!!」

「まあ落ち着け。そうだロー。これは何か分かるか?」

「?……ッッ!!!!」

そいつが右手に持っていたものはおれの夢にも出て来たあの白い飴だった。あれは確か、えげつねぇほど濃縮された珀鉛の飴。

あれを食べた後は、確か珀鉛病が再発していた。

本来珀鉛病は中毒だ。だから人が百年近くの年月で体内に溜め込まれた珀鉛が、少しずつ身体を蝕んでいく。

だが、どうやったのかその珀鉛を濃縮した飴は数十個程でも食べれば本来の珀鉛病と同じように発症する。 

夢の中のおれは普通の飴でも致死量じゃないかと疑うほどには食べさせられていた。

実際あいつがおれたちの世界に来て、治療をした時これでもかというほどの珀鉛を体内に蓄積していた。

本当に腹ただしい。

……すると、ドフラミンゴはその瓶の蓋を開け、中から2、3個程取り出した。

すぐにその意図がわかり抵抗しようとする。

だが、封じられた手足は動かせなかった。

そうしているとドフラミンゴがおれの上に座り、口を開けようと手を突っ込んで来たのでその手を全力で噛んでやった。       このまま食い千切ってやりてえところだが生憎そんなに首は動かない。それどころか今度は糸でこじ開けてその飴をおれの口内へ放り込んだ。

「!!!」

「その反応は知っているなァ?おれのローにでも教えてもらったのか?」

にやにやと笑っているそいつを他所に、必死に吐き出そうとするが、何処から出て来たのか口枷まで付けられてしまった為に吐き出せなくなった。

……それに、この味は。


脳内に、あの悪夢がチラつく。

夢の中で、珀鉛の飴だけじゃなく珀鉛で出来た口枷を付けられた。

そしてストレスの所為か、甘味中毒となってその口枷を噛むようになった。

それであいつは珀鉛病が余計に酷くなった。

「フッフッフ!その口枷は珀鉛製なんだ。気に入ったようだなあロー?これからは毎日その飴と口枷をやるから楽しみにしていろ、今日は寝てていい」

また頭上に忌避感しか無いあの小さな鳥かごが作られる。

その中におれはまた入れられた。

口枷は付いたまま。その所為で煽り立てることすら出来やしねえ。

四肢が自由になった為必死に外そうとしても、何故かその枷は堅くすぎて外れない。

海楼石がついて無くとも取れなさそうなそれに驚愕する。

そして、おれは少しずつ少しずつ溶けゆくその甘味に、焦りを覚えたのだった。

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