白百合の散華 前日譚 中編

白百合の散華 前日譚 中編


「んぎひぃぃぃぃぃ!!!」


迸る愛液が壁にまで飛び散り、線状の跡が照明の光を受けてテラテラと輝く。

背を仰け反らせながら絶頂する私の傍には、私への焼印や抜歯の施術を行った女性がいた。

彼女はケラケラと笑いながら、私の女陰をイボ付きグローブで虐め続ける。


「あははっ、すっごーい!壁まで届いたじゃん!」


服従を宣言し、自らを娼館に売り渡してしまったあの日から暫く。

この様な快楽責めを受ける日々が続いていた。

私が限界だと判断されると例の甘くて臭いガスを吸わされ就寝。

起床時には毎度ラバースーツで拘束されており、その拘束が解かれると調教が再開する。

調教では身体の開発の他に、反抗心の喪失や言葉遣いの矯正などもされた。

今となっては淫語を口にすることはもちろん、アナルで腕より太いディルドを咥え込むことすら出来る有様だ。


「ほぅら、もっとイっちゃえ〜♪」


「お“ぉ”っ!!お“、お”、ほお“ぉぉぉぉ!!!」


しかし、そんな私にもまだ殆ど触れられていない箇所があった。

それはまさしく、今責められているおマンコ。

ここまでされておきながら未だ未通なのは、”売れるから”としか説明されていない。

そして今日の調教は売る前の最後の仕上げなのだとか。

自慰とは何もかもが異なる、情け容赦の全く感じられない責め。

ゾリゾリと膣肉を擦り上げられる度、少しの痛みと脳をミキサーにかけられているのかと錯覚する程の快楽を感じる。


「やす、休ませ、てぇ…!ひあぁぁぁぁぁ!!!」


ぐちゅぐちゅと指の腹で嬲られる膣肉。

媚薬でヒタヒタのグローブにこそぎ上げられる度、滲みる感覚が酷くなっていく。

グローブのイボにはヤスリが付いており、私の膣肉を深く傷つけずに無数の細かい傷を作っているのだ。

そしてそこに媚薬が滲み込み、更なる疼きと熱を帯びさせていく。

おかげで痛みは殆ど伴っていないが、傷だらけになった膣肉は薄らと赤を滲ませていた。

しかしながら嬲る彼女は表情一つ変えず、見向きもしない。

それどころか、粘性のある液体をグローブにたっぷりと含ませているではないか。


「しっかりマンコでも砂糖とお薬の味、覚えましょうね~♡」


「ね、練り込まな…!?がっっっ!?!?!?」

「んぎゃあぁぁぁ!?!?おマ”ンコ焼けるう”うぅぅぅぅぅ!?!?!?」


「お、言葉遣いもちゃんとしてるね。えらいえらい!」


再度膣内に沈められる手。

途端に脳に走ったのは死を明確に想起させる程の快楽だった。

全身の血管が一気に冷え、手足に至っては無くなったかと錯覚する。

それとは対照的に、おマンコは本当に燃えているかの様だった。

今までの絶頂など、児戯に過ぎなかったのだと分からされていく。


「死ぬっっ!!!死”ぬ”う”ぅぅぅぅぅぅ!!!!!」


「大丈夫、死ぬにはもうちょい足りないから。…それにしても、砂糖ができてからここに来れてよかったねぇ。」

「私の時はもっとヤバくてさ、砂糖があればあの子も…いや、この話はよそうか。」


私の悲鳴に返される言葉も快楽が強すぎて理解ができない。

体内に侵入した砂糖入りの薬液による刺激を脳が処理する事で精一杯だったからだ。


「かっ…!!ゔ…ふ…」


体力が限界を迎え、暗転していく意識の中で私は悟った。

今のこの快楽は死ぬまで忘れられず、生涯私に渇きを与えるのだろうと。


──────────────────────


『…現在1億5千万です。他にはいらっしゃいませんか?』


「ぅ………ぁ………」


眼前に広がる薄暗い客席。

視線を落とせば、ガニ股の恰好で金属のフレームに拘束されている身体。

壇上で吊るされながらスポットライトを当てられている私は、一糸纏わぬ姿を衆目に晒されている。

如何に恥じらおうとも状況は何も変わらず、翼までガッチリと拘束されている以上は為す術も無かった。

故に疼く身体に小さく呻き声を上げる事しかできない。


『○○様、落札です。おめでとうございます!』


カーン、と木槌が打ち据えられる音が聞こえる。

仕上げの調教から僅か数日、私はオークションにかけられていた。

だが競られていたのは私自身ではなく、私への行為の権利。

具体的に言ってしまえば、私の処女だった。


『それでは鍵などをお渡ししますので、壇上へどうぞ。』


自分自身の身体を、それも純潔を切り売りされている。

まともな思考をしていれば眩暈すら感じるあまりに屈辱的状況。

だというのに、私の心には安堵があった。


『今回も数日前から砂糖を抜いております。存分にお楽しみ下さい。』


やっと…そう、やっとなのだ。

あの日から私は、砂糖を一切貰っていない。

薬液で私の身体は性的快楽と砂糖の齎す幸福感を結びつけられてしまった。

もう少し端的に言えば、今の私の身体は砂糖で満たされる事でようやく満足のいく絶頂を覚える。

逆に砂糖が欠乏すれば、砂糖を求める薬物探索行動と同様に際限なく性欲が高まってしまうのだ。

極めつけは仕上げによって覚えさせられた、死を想起するほどの絶頂。

あれが、あの瞬間が忘れられない。


(早く…早くぅ…!!)


この数日間は本当に辛く、苦しかった。

仕上げ後のおマンコは膣肉が腫れて肥大化したのか、以前よりも張って感度も凄まじく高いまま。

少しオナニーをしていればあっという間に達するのだが、やはり砂糖無しではあの瞬間には到底届かず満たされない。

もちろん砂糖の離脱症状による酷い頭痛や不眠、抑うつ状態といった諸症状もある。

その苦しみを誤魔化す為にもオナニーをしているため、やりすぎて腱鞘炎や脱水症状をも起こしたりもした。

だがそれも今日で終わる。砂糖を今日、やっともらえる。

言うとおりにすれば、あの強烈な快楽をもってこの渇きを癒せる。

だからそうする。この苦しみから解放されるなら、処女など安いものだと自分に言い聞かせながら。

そう思いながら壇上に上がってきた人物を見遣ると、なんと見覚えがあった。


「久しいな、桐藤ナギサ嬢。」


「…!」


トリニティ自治区内屈指の商工会の会長、その人だった。

彼にはティーパーティーのホストとして会合の場で何度か会っていた。

脳裏に浮かぶのは物腰低く、柔和な笑顔を見せる人当たりの良い人物。

しかし、以前に会った時と同一人物とは思えなかった。

何せ、その表情は私を見下し、嘲笑をも含んだ笑みを浮かべていたのだから。

人は見かけによらないものだと、身をもって学ばされる事となった。


「君がホストになった時から目をつけていたが…嬉しい誤算だよ。」

「ほら、これが欲しいんだろ?」


「ぁ…くらさい、下さいぃ…!」


だが、今の私には相手が誰であろうが関係が無い。

目の前で振られたのは例のガスが入ったスプレー缶。

ちゃぷちゃぷと音を立てるそれが欲しくて欲しくて堪らないのだ。

私は辛抱堪らずフレームをガチャンガチャンと鳴らしてもがく。

気づけば口の端からは涎が垂れ、おマンコからは愛液をプシッ、プシッと噴いていた。

それはプライドの一切を捨てた、あまりに浅ましい雌の無様な踊りだった。


「私の機嫌が良ければくれてやるかもしれんなぁ?」


「なんでもっ、なんでもします!だからぁ…!」


衆人環視であろうと関係無く媚びる私。

彼はそれを満足気に見ると私に首輪とリードをつけ、フレームの拘束から私を解放する。

私は四つん這いでリードに引かれ、観客席にケツを振ってべちょべちょのおマンコを晒しながら会場を後にした。


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


「…さて、言わずともわかるな?自分で挿れろ。」


「は、はいぃ…!」


リードを引かれ、着いた先は娼館の中でもかなり広めの客室。

所謂スイートルームと言われる一室だった。

豪勢な内装の中、ベッドに仰向けに寝そべるお客様。

私はお客様の下着に手を掛けて下ろし、屹立したおチンポ様を露わにする。

知識としては知っていたが、見るのは初めてだ。

初めて見るソレのグロテスクな見た目に気圧される。

だが、それ以上に私はあることに気づいてしまった。


(これぇ…ガスの、臭いぃ…!)


下着にしまわれて蒸れていたおチンポ様。

その臭いが解き放たれて鼻孔を突き抜けた瞬間に気が付いた。

私がこれまで吸わされていたあのガスの、甘さを抜いた臭いがこれだと。

完全に一致するわけではないが間違いない。

あのガスは、男性特有の体臭を模したものだったのだ。


「…何をしている、これが欲しくないのか?」


「っ!も、申し訳ありません…!」


再度チラつかされたあのスプレー缶。

今嗅いだ本物の臭いだけでも十分に幸福感に浸れたが、より多くもらうために私は動く。

私はお客様の上に体重をかけないように跨り、騎乗位の姿勢で身を晒す。

そこに理性なんてものは無く、疼く子宮に言われるがままだ。

女性器は既にしとどに濡れているため、前戯は不要。

ならば後は単純だ。

私はおマンコを左右に手で広げ、おチンポ様にヒクつくマンコ穴を当てる。

そして───


「ふっ─────お”、お”ぉ、お”お”ぉぉぉぉ…!!!」


「っ…はは…!お前の初めては、私のものだ。この味、死ぬまで覚えておけ。」


ミヂ、ミチミチ、じゅぷぅ。

中の空気が隙間から抜ける間抜けな音を奏でながら、私は自らの純潔を散らした。

途端に脳には多大な快楽が走り抜け、脳細胞がパチパチと音を立てて弾け飛んでいる。

明滅する視界。

破瓜によりツウ、と鮮血が流れ落ちるが、その痛みですら今の私には気持ちが良かった。


「そら、お待ちかねだ。」


そこにお客様は私が待ち望んだものを遂にくださった。

口元に当てられたマスク付きのスプレー缶が噴射され、マスクの内側にガスが満ちていく。


「ッスゥゥ………っはぁぁぁぁぁ…♡」


大きく深呼吸を繰り返す。

何度も、何度も、何度も。

これまで断たれていた分を取り戻すかの様に。

脳が幸福感に満ちていく。世界がぐるぐると廻る。

トんでしまいそうになる意識。

ゴム製の歯では食いしばることもままならず、そのまま仰け反り倒れそうになる。

だが、私を現世に繋ぎ止めるものがあった。


「んあっ…!はぁ、あ、あぁぁぁぁぁ…!!」


それは私を真っ直ぐに貫く肉の杭。即ち、おチンポ様だった。

仰け反った拍子にそれは臍側の膣肉をぐりんと抉り、肉悦による絶頂を以て気つけとなる。

この絶頂は砂糖を得た上で至ったものであったため、仕上げによって覚えさせられたものと同格のものであった。


「全く、挿れただけでこの始末か。恥を知れこの淫売が!」


「んお”ぁっ!?」


絶頂を享受して恍惚としている私は、突如罵られながら乳首をつねり上げられる。

敏感にされた身体は当然の様に跳ね、天に向かって舌を突き出し、破瓜の血交じりの愛液を撒き散らす。

そしてお客様は私の乳房を手綱の様に見立てて掴み、上下に引っ張って動かし始めた。


「ごっ!?お”、お”ぉぉ…!あ”お”ぉ…!!」


ごちゅん、どちゅん、と突き上げられる度に絶頂し、体中から体液が流れ出る。

そして、砂糖で満たされている時のセックスの快楽が本当に気持ちが良いものなのだと脳が覚えていく。

ああ、ダメだ。これはダメだ。こんなの知ったら戻れない。

淑女としてありえない姿で、顔で、声で、醜態を晒しているのに。

身体が、脳が、言うことを聞いてくれない。

もっと、もっと欲しいと求めてしまう。

お客様は当然私の事情など知ったことではない。

そのまま抽挿を続けて、その身の昂ぶりをより高めていく。

そんな時、更なる誘惑の声が聞こえてきた。


「良い具合だ…!そこなガスよりも良いものがあるが…欲しいか?」


「っ!ほ、本当お”っ!?れ、すかぁ…!?」


「あぁ、これだ。」


そう仰ってお客様が取り出したのは液状の何かが入った個包装の何か。

お客様はその封を開けると近くにあった空の灰皿に粘性のある雫を数滴垂らす。


「ぁ…あぁ…!!」


それを見た瞬間にわかった。

あれは、かなりの高純度・高濃度の砂糖だ。

砂糖に侵され、肉欲とその快楽を求める脳が反射的に解を告げる。


「…く、くらさい!!お砂糖っ!お砂糖欲しいのっ!!」


「クク…そうか。ほれ、しっかり味わえ。」


「やったぁ…!」


手渡された個包装の袋。

その中身をじゅるじゅると啜る。

中から出てきた甘い汁が舌に絡みつき、この世のものとは思えない程の美味を感じる。

ガスとは異なり、即効性は無い。

だが、あまりに美味しくて私はいつの間にか袋を開いて中身まで舐めとっていた。

はしたない行為ではあると思う。

だが、その考えはやめる理由足り得ない程に優先順位は下がっていた。

そうして砂糖を啜りながらも、セックスは続いていく。


「はぁ”っ!あ、あぁ!!ぎ、もぢ、イイぃ…!!」


「初物だというに、素晴らしい具合だ…!」

「大枚を叩いて、買った甲斐が、あったというもの…!!」


初めはパン、パン、パチュン、という肉同士がぶつかり合う破裂音だけだった。

それが今や、聞こえてくるのは溢れ出過ぎた愛液によってぶじゅう、ぶじゅん、ずじゅん、と鳴る下品な水音。

絶頂から下りれないままに抽挿を続けられているが故に、突かれる度にイって愛液を分泌しているためだ。

数十分に渡る絶頂状態は着実に私の知能指数を低下させ、脳を破壊していた。

先程まであった思考は全て消失し、あったのは”気持ちいい”と”イク”の二つだけ。

だが、それも終わりの時が遂に来た。


「ッ…!出すぞ…!」


「はっ、はぁ”っ、へ…?あぁぁぁ!?!?」


お腹の中で熱湯が溢れ出したかの様な感覚。

そう、男性の絶頂時に出る、射精だった。

粘性を持ったザーメンが、どぷっ、とぷっ、とぷんとお腹の中に溜まっていく。

胎から伝わる熱と同時に、私の絶頂の最高値もまた更新される。

あぁ、こんなに幸せなことが、満たされることがあるんだ、と他人事の様にすら感じていた。

この時の私の脳内はその幸福感に満たされすぎて、妊娠の事など欠片も脳内に無かった。

ただひたすらに、この快楽をずっと享受していたい。その一心だったから。


「あ…あぁ………げぁっ!?!?が、ぎぎぎぎぃぃぃぃ…!!!」


絶頂と胎の精液の熱の余韻に浸っていた私に、遅れてやってきた砂糖の快楽がトドメを刺す。

ブチブチブチ、血管が破れる様な音を聞いた私は次の瞬間には鼻血と血涙を流していた。

恐らくだが、強すぎる砂糖の効能で一気に血圧が上昇してしまったのだろう。

肉悦による快楽の最高値の更新中に完全にキマってしまった私は限界を迎える。


「くひゅっ」


短い悲鳴と共に、私の初夜は何度目かもわからない暗転で幕引きとなった。


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


「………ぁ”…………」


目が、漸く覚めた。

全身が軋むように痛い。声も酷く枯れていた。

上体を起こして辺りを見渡せば私が気絶する直前にいた部屋のベッドの上で、お客様はもういなかった。

手足や乳房には大きな手形がくっきりと残っており、ベッド周りには羽が散乱している。

どうやら私は、気絶後もそのまま犯され続けていたらしい。


「っ…!!!」


見下ろした秘部…おマンコからは、白濁液と私の血が混じったピンク色の液体で水たまりができていた。

その上、お腹の中はずっしりと重く、ワレメからはその水たまりを広げるように液が流れ続けているではないか。


「私、は………私はぁ…!」


自身を翼と両腕で抱き、その場に蹲る。

私は一人、さめざめと涙を流していた。

その涙の理由には自身の失われた貞操や、尊厳の悲しみがある。

だがそれ以上にあの恐ろしいまでの快楽に全く抗えず、自分がもう完全に手遅れの領域にまで堕ちていることを再認識させられた事が、何よりの理由だった。


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