白旗の攻防
※リコの「ゆうわく」に何とか耐えた通常フリード(白フリード)の話(正規√)
※リコがえっちな選択肢を多く引き当てたため、IFより温いですがえっちです
退くどころか、頬を染めてうっとりした表情で緩急をつけながら腰を動かすリコにフリードは狼狽えるが、リコが与える刺激のあまりの気持ち良さに脳が痺れて、口から甘い声が漏れる。
「ん、ふ、うぁッ……!」
「フリード、可愛い……」
そんなフリードを見て興奮したのか、リコは荒い息を吐きながら自分の人差し指を咥えると、腰の動きをより大胆で、厭らしいものへと変えてゆく。
何度も何度もリコに欲情して破壊された理性が「襲ってしまえ」と囁くが、フリードは奥歯を強く噛むことで耐える。
「う、グッ……リコ、待ってくれ」
「何で? フリードの、んっ、ここは、とても喜んでるよ。ぁん……♡」
自ら腰を動かしているリコ自身も感じるのか、艶っぽい声を漏らして腰の動きを止めると、身体をぴくんぴくんと震わせて目を閉じた。
そこで満足して終わりにしてくれとフリードは願うが、リコは深呼吸をして息を整えると、再び目を開けて動きを再開した。
(俺じゃなかったらとっくに襲われてるぞ……! どこで覚えたんだ、そんなエロい腰使い!)
服を着ているとはいえ、愛している女性が自分に跨って時折感じながら腰を振る様はその手の動画よりもずっと刺激的で、フリードは両手で顔を覆った。
視界が遮断された分リコの息遣いや感触を強く感じ取ってしまうが、フリードはこれ以上目の前のリコを視界に入れるのはまずいと思った。
顔を覆ったフリードに、リコは甘く声を掛ける。
「……ン、ねぇ。みて、フリード」
「見たら確実に喰っちまうから駄目だ」
「フリード、ならっ……たべても、いいよ?」
「……ッ、駄目なものは駄目だ。ただでさえ人が多い施設の中なんだ、頼むから馬鹿なことは止めて退いてくれ!」
欲望のままにリコに触れて、無茶苦茶に抱いて泣かせて傷付けたくない。
そんな想いからフリードが強い口調で言うと、リコの動きが止まった。
ほっとして大きく深呼吸をするフリードの耳にすすり泣く声が聞こえ、ぎょっとしてフリードが顔を覆っていた手を放すと、リコの目から大粒の涙が止めどなく零れていた。
「やっぱり私って、魅力ない……?」
「リコ? 何を言って」
「フリード、周りにいっぱい人がいたのに金髪の綺麗な人に抱き着かれて、キ、キスされて笑ってた。でも私は、駄目なの? 本当は何の魅力もない、私みたいな子供より……あの人が好、」
たとえリコ本人であってもリコを卑下する言葉を聞きたくなくて、自分がどれ程強くリコを愛しているか知ってほしくて、フリードは卑怯な方法だと自覚した上でリコの耳を塞ぎ、唇に深くキスをして強制的に黙らせた。
「んぅっ!?」
突然のフリードのキス——それも、山小屋から出た時に2分でリコを腰砕けにしたものよりも、更に情熱的で深いキスにリコの目が驚きで大きく見開かれ、頬はじわじわと赤く染まり焼けてしまうくらい熱くなる。
「ゃ……、あっ♡ ~~~~ッ♡♡♡」
30秒程経ち、フリードが唇を離すと腿に跨っていたリコの身体が後ろへと力なく傾き始める。リコが倒れる前に後頭部と背中を手で支えたフリードは、リコの顔を覗き込むと頭を下げた。
「悪い、リコ。……やりすぎた」
「すごいとっくん(キス)」でオーバーヒートしてしまったのか、真っ赤な顔のまま気絶しているリコの頭を膝の上に乗せて、椅子の上に身体を横たわらせる。
起きた時にビンタのひとつやふたつと共に怒られるのを覚悟して、フリードはリコの髪を撫でながら目覚めるのを待つのだった。