白ひげ海賊団とモブ幼女

白ひげ海賊団とモブ幼女


 私の島には白い鯨が来る。

 時たま現れるそれを沖合に見つけると、お父さんもお母さんも近所のおじさんも、みんな両手を挙げて歓迎の支度を始める。まるで幸運のしるしのように丁重に迎え入れられた鯨は、たくさんの人を吐き出して、それから宴だと叫ぶのだ。

 鯨から出てくる人はその時によって違う。キラキラして硬い人、剣を二つ持ったシルクハットの人、鳥になれる人にリーゼントの人、黒いひげの人と最近見るようになった燃える人。

 でも、私が一番好きなのは一番大きくて白いひげのおじいちゃん。地鳴りのような笑い声が響くと皆がぱっと笑ってそちらを見上げる。その大きな膝によじ登って、頭を撫でられるのが好きだった。

 でも、ある時から鯨は姿を見せなくなって、かわりに黒ひげのおじさんが島に来た。また遊びに来てくれたのかと駆け寄った私は誰かに突き飛ばされて眠ってしまった。

 目が覚めて起き上がれば、島はメラメラと赤く染め上がる。

 炎を出すお兄さんに会いたくなった。


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